鉱物と岩石の違い|構成・分類・見分け方を解説
鉱物と岩石は日常会話では区別せずに「石」と呼ばれることが多いですが、地学では明確に異なる概念です。簡潔に言えば、鉱物は均一な化学組成を持つ物質であり、岩石は鉱物の集合体です。ここでは両者の違いを詳しく解説します。
基本的な定義の違い
鉱物とは
鉱物は天然に産出する無機物の結晶で、一定の化学組成と規則的な原子配列(結晶構造)を持つ物質です。石英(SiO2)、長石、雲母、かんらん石、輝石などが代表的な鉱物です。
鉱物の定義における重要なポイントは以下の通りです。天然に産出すること、無機物であること、固体であること(水銀は例外)、一定の化学組成を持つこと、結晶構造を持つことです。
岩石とは
岩石は1種類以上の鉱物が集まってできた天然の固体です。花崗岩(かこうがん)は石英、長石、雲母などの鉱物が集まったものであり、大理石は方解石(カルサイト)という鉱物の集合体です。
岩石は鉱物の集合体であるため、1つの岩石の中に複数の鉱物が含まれているのが一般的です。
関係性
| 概念 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 鉱物 | 均一な化学組成を持つ結晶 | 石英、長石、雲母 |
| 岩石 | 鉱物の集合体 | 花崗岩、玄武岩、砂岩 |
たとえるなら、鉱物はレンガに相当し、岩石はレンガを組み合わせて作った壁に相当します。
鉱物の分類
主な鉱物グループ
地球上には約5,000種類以上の鉱物が知られていますが、地殻を構成する主要な鉱物(造岩鉱物)は10種類程度に限られます。
ケイ酸塩鉱物が地殻の約90%以上を占めており、石英、長石、輝石、角閃石、雲母、かんらん石などがこのグループに属します。
鉱物の識別方法
鉱物の識別には色、光沢、硬度、へき開(特定の方向に割れやすい性質)、条痕色(すじあとの色)、比重などの物理的性質が利用されます。
モース硬度は鉱物の硬さを1(最も柔らかい)から10(最も硬い)の10段階で表す指標で、1が滑石、10がダイヤモンドです。
| 硬度 | 鉱物 | 身近な目安 |
|---|---|---|
| 1 | 滑石 | 爪で傷がつく |
| 3 | 方解石 | 銅貨で傷がつく |
| 5 | りん灰石 | ナイフで傷がつく |
| 7 | 石英 | ガラスに傷をつけられる |
| 10 | ダイヤモンド | 何でも傷をつけられる |
岩石の分類
火成岩
火成岩はマグマが冷え固まってできた岩石です。マグマが地表付近で急激に冷えたものを火山岩(玄武岩、安山岩、流紋岩など)、地下深くでゆっくり冷えたものを深成岩(花崗岩、閃緑岩、はんれい岩など)と呼びます。
火山岩は急冷されるため結晶が小さく(細粒)、深成岩はゆっくり冷えるため結晶が大きく(粗粒)なります。
堆積岩
堆積岩は砂や泥、生物の遺骸などが堆積し、長い時間をかけて固まった岩石です。砂岩は砂が固まったもの、泥岩は泥が固まったもの、石灰岩はサンゴや貝殻などの炭酸カルシウムが堆積したものです。
堆積岩には化石が含まれていることがあり、地球の歴史を読み解く重要な手がかりとなります。
変成岩
変成岩は既存の岩石が高温・高圧の環境で変質してできた岩石です。石灰岩が変成すると大理石になり、砂岩が変成すると珪岩になり、泥岩が変成すると結晶片岩になります。
| 分類 | 成因 | 代表例 |
|---|---|---|
| 火成岩 | マグマの冷却固化 | 花崗岩、玄武岩 |
| 堆積岩 | 堆積物の固結 | 砂岩、石灰岩 |
| 変成岩 | 高温高圧による変質 | 大理石、結晶片岩 |
宝石は鉱物か岩石か
宝石と鉱物の関係
宝石の多くは鉱物です。ダイヤモンドは炭素の結晶、ルビーとサファイアはコランダム(酸化アルミニウム)の結晶、エメラルドは緑柱石(ベリル)の結晶です。
宝石として価値があるのは、美しさ、硬さ、希少性を兼ね備えた鉱物です。同じ鉱物でも、不純物によって色が変わり、価値が異なります。コランダムにクロムが微量に含まれると赤くなりルビーとなり、鉄やチタンが含まれると青くなりサファイアとなります。
岩石からなる宝石
一部の宝石は岩石に分類されます。翡翠(ヒスイ)は鉱物(ヒスイ輝石)の微細な結晶が絡み合った岩石であり、ラピスラズリも複数の鉱物からなる岩石です。
鉱物資源としての利用
金属鉱物
鉄、銅、金、銀、アルミニウムなどの金属は、鉱物(鉱石)から精錬して得られます。赤鉄鉱や磁鉄鉱は鉄の鉱石、黄銅鉱は銅の鉱石です。
非金属鉱物
石英は半導体やガラスの原料として、石灰石はセメントの原料として、粘土鉱物は陶磁器の原料として利用されています。
建築材料としての岩石
花崗岩は建物の外壁や墓石に、大理石は床材や彫刻に、砂岩は建築資材として広く使われています。
まとめ
鉱物と岩石の最も基本的な違いは、鉱物が均一な化学組成と結晶構造を持つ単一の物質であるのに対し、岩石は鉱物の集合体であるという点にあります。岩石は火成岩、堆積岩、変成岩の3つに大別され、それぞれを構成する鉱物の種類や割合によって性質が異なります。鉱物と岩石の関係を理解することは、地球の成り立ちを知る基礎となる知識です。