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日本の緑系伝統色10選|若草色から鶯色まで

和色 伝統色 日本の色 カラーコード
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日本の伝統色のなかでも、緑系の色は驚くほど豊かなバリエーションを持っています。新緑を思わせる若草色、渋みのある鶯色、鮮やかな萌黄色。日本人は四季折々の自然に目を向け、植物や鳥の羽、苔や木の葉といった身近な存在から繊細な緑の違いを見出し、それぞれに美しい名前を付けてきました。この記事では、日本を代表する緑系伝統色を10色厳選し、HEXコード・RGB値とともに歴史や特徴を詳しく解説します。

緑系伝統色10色の一覧

まず、10色の全体像を一覧表で確認しましょう。

No.色名読みHEXRGB系統
1若草色わかくさいろ#A8C97F168,201,127明るい黄緑
2萌黄色もえぎいろ#AACF53170,207,83鮮やかな黄緑
3鶯色うぐいすいろ#6B7E3E107,126,62暗い黄緑
4若竹色わかたけいろ#6BBCA1107,188,161明るい青緑
5常磐色ときわいろ#007B430,123,67濃い緑
6千歳緑ちとせみどり#31674549,103,69暗い緑
7松葉色まつばいろ#688B63104,139,99くすんだ緑
8苔色こけいろ#696B3D105,107,61暗い黄緑
9青竹色あおたけいろ#00896C0,137,108青みの緑
10翡翠色ひすいいろ#38B48B56,180,139明るい青緑

1. 若草色(わかくさいろ)

早春に芽吹いたばかりの若い草の色。みずみずしく明るい黄緑色で、新しい命の息吹を感じさせます。

項目内容
HEXコード#A8C97F
RGBR:168 G:201 B:127
CMYKC:36 M:0 Y:52 K:0
マンセル値7.5GY 7/6
季節早春

歴史と特徴

若草色は平安時代の襲の色目にも登場する由緒ある色です。「若草」という言葉は古来から若々しさや初々しさの象徴として和歌にも多く詠まれてきました。「源氏物語」の「若紫」の巻にも若草のイメージが重ねられています。現代では、春のデザインやナチュラル系のブランディングに多用される色です。


2. 萌黄色(もえぎいろ)

春先に木々が一斉に芽吹くときの、鮮やかな黄緑色。若草色よりもさらに鮮やかで、強い生命力を感じさせる色です。

項目内容
HEXコード#AACF53
RGBR:170 G:207 B:83
CMYKC:35 M:0 Y:70 K:0
マンセル値5GY 7/10
季節

歴史と特徴

萌黄色は平安時代に誕生した色名で、「萌え出る黄緑」を意味します。武士の鎧の威(おどし)にも使われ、「萌黄威の鎧」は若武者の象徴として知られました。源平合戦で活躍した那須与一も萌黄威の鎧を着用していたと伝えられています。「萌黄」と「萌木」の二つの表記があり、いずれも新芽の生命力を表現しています。


3. 鶯色(うぐいすいろ)

ウグイス(鶯)の羽の色に由来する、くすんだ黄緑色。落ち着いた渋みのある色合いが特徴です。

項目内容
HEXコード#6B7E3E
RGBR:107 G:126 B:62
CMYKC:45 M:18 Y:75 K:20
マンセル値5GY 5/6
季節

歴史と特徴

鶯色は平安時代から使われてきた色名です。注意が必要なのは、実際のウグイスの羽色は一般にイメージされる鮮やかな黄緑ではなく、この鶯色のようなくすんだ暗い黄緑であるという点です。春に「ホーホケキョ」と鳴く鮮やかな緑の鳥はメジロであり、しばしば混同されています。鶯色は和菓子の「うぐいす餅」や抹茶に近い色として親しまれ、落ち着いた和の趣を表現するのに適しています。


4. 若竹色(わかたけいろ)

若い竹の幹の色に由来する、明るくさわやかな青緑色。みずみずしい清涼感が特徴です。

項目内容
HEXコード#6BBCA1
RGBR:107 G:188 B:161
CMYKC:55 M:0 Y:30 K:5
マンセル値2.5BG 7/6
季節初夏

歴史と特徴

若竹色は、成長したばかりの若い竹の清々しい色を表しています。竹は日本文化において成長・繁栄の象徴であり、松竹梅の一つとしても縁起の良い植物です。若竹色のさわやかな青緑は、夏の着物や和小物に好まれ、涼しげな印象を演出します。Webデザインではヘルスケアやウェルネス系のサイトで使いやすい色です。


5. 常磐色(ときわいろ)

常緑樹の葉のような、深く濃い緑色。季節を問わず変わらない常緑の力強さを表現しています。

項目内容
HEXコード#007B43
RGBR:0 G:123 B:67
CMYKC:85 M:15 Y:75 K:10
マンセル値5G 4/10
季節通年

歴史と特徴

「常磐」は「永久に変わらない岩」を意味し、転じて常緑樹の不変の緑を指すようになりました。松や杉といった常緑針葉樹の深い緑色を表し、永遠の繁栄や不変の美を象徴します。能の演目名や地名(常磐)にも見られるように、日本文化に深く根ざした概念です。格調高い印象があるため、伝統的なブランドや格式のあるデザインに適しています。


6. 千歳緑(ちとせみどり)

松の葉のような暗く渋い緑色。「千歳」の名が示すとおり、長寿や永遠を祝う色です。

項目内容
HEXコード#316745
RGBR:49 G:103 B:69
CMYKC:75 M:25 Y:65 K:30
マンセル値5G 4/6
季節通年

歴史と特徴

千歳緑は平安時代の襲の色目の一つで、主に冬から正月にかけて着用されました。松は千年の齢を保つ常緑樹として長寿の象徴とされ、この色はおめでたい場面で重用されてきました。現代でも慶事や正月飾りのデザインに取り入れると、格式と祝いの気持ちを表現できます。


7. 松葉色(まつばいろ)

松の葉の色に由来する、灰みを帯びた落ち着いた緑色。渋さと品格を兼ね備えた色です。

項目内容
HEXコード#688B63
RGBR:104 G:139 B:99
CMYKC:50 M:18 Y:50 K:15
マンセル値10GY 5/4
季節通年

歴史と特徴

松葉色は、千歳緑と似ていますがやや明るく灰みがかっている点が異なります。松の葉は新しい葉と古い葉で色が異なり、松葉色は時間を経た松葉のくすんだ緑を指します。茶道具や和室の設えに多く見られ、侘び寂びの美意識と調和する色です。和食器のデザインやパッケージにも好んで用いられています。


8. 苔色(こけいろ)

苔のような暗い黄緑色。湿り気を帯びた森の静けさと深い時間の流れを感じさせます。

項目内容
HEXコード#696B3D
RGBR:105 G:107 B:61
CMYKC:40 M:25 Y:70 K:30
マンセル値7.5GY 4/4
季節通年

歴史と特徴

苔は日本庭園に欠かせない要素であり、苔色は古来から日本人の美意識と深く結びついています。京都の西芳寺(苔寺)に代表されるように、苔は「時の流れ」と「侘び」の象徴です。苔色はアースカラーの一種として、ナチュラルなデザインやアウトドアブランドのカラーパレットに取り入れると、自然との調和を表現できます。


9. 青竹色(あおたけいろ)

成長した竹の幹の色に由来する、青みの強い緑色。若竹色より深く、涼やかな落ち着きがあります。

項目内容
HEXコード#00896C
RGBR:0 G:137 B:108
CMYKC:80 M:10 Y:50 K:10
マンセル値5BG 5/8
季節

歴史と特徴

青竹色は若竹色と対をなす色で、より成熟した竹の深い色合いを表します。竹は日本の工芸品や建築に欠かせない素材であり、青竹色はその清潔感と格調高さを色で表現しています。現代のデザインでは、ティール系カラーの和風版として、高級感と清涼感を両立させたい場面で効果を発揮します。


10. 翡翠色(ひすいいろ)

宝石の翡翠(ヒスイ)に由来する、透明感のある明るい青緑色。宝石のような気品を感じさせます。

項目内容
HEXコード#38B48B
RGBR:56 G:180 B:139
CMYKC:65 M:0 Y:40 K:0
マンセル値2.5BG 6/8
季節通年

歴史と特徴

翡翠色の名前は、宝石の翡翠に由来します。翡翠は縄文時代から日本で珍重されてきた宝石であり、新潟県糸魚川産の翡翠は世界最古の翡翠文化の一つとして知られています。翡翠の「翡翠」の字はもともとカワセミを指し、その美しい緑色の羽に由来しています。透明感のある美しい色合いから、ジュエリーブランドや高級感のあるデザインに好んで使われます。


10色の比較チャート

10色を色相・明度・彩度の観点で比較します。

色名HEX色相明度彩度印象
若草色#A8C97F黄緑みずみずしい、若々しい
萌黄色#AACF53黄緑鮮やか、生命力
鶯色#6B7E3E黄緑渋い、落ち着き
若竹色#6BBCA1青緑さわやか、清涼感
常磐色#007B43力強い、永遠
千歳緑#316745重厚、祝い
松葉色#688B63渋い、侘び
苔色#696B3D黄緑静寂、自然
青竹色#00896C青緑涼やか、格調
翡翠色#38B48B青緑透明感、気品

デザインでの活用例

緑系和色の配色パターン

緑系の伝統色を使った配色パターンを紹介します。

パターン名メインサブアクセント背景用途例
新緑の山萌黄色
#AACF53
若草色
#A8C97F
朱色
#D13A2A
白練
#F3F1E6
春のプロモーション
竹林の小径青竹色
#00896C
若竹色
#6BBCA1
金色
#C8A84E
白磁
#FCFCFC
旅館・和食サイト
苔むす庭苔色
#696B3D
松葉色
#688B63
砥粉色
#F0E2C0
墨色
#343434
日本庭園・茶道
常磐の森常磐色
#007B43
千歳緑
#316745
山吹色
#F8B500
生成色
#F5F0E8
環境・ヘルスケア
翡翠の輝き翡翠色
#38B48B
白緑
#D6E9CA
藤色
#A87BB5

#FFFFFF
ジュエリー・コスメ

Webデザインでの活用

緑系の伝統色はWebデザインにおいて、自然・安心・調和の印象を与えたい場面で効果的です。

用途推奨色組み合わせ効果
和食レストラン鶯色 + 松葉色生成色背景 + 墨色テキスト落ち着きと和の趣
オーガニック食品若草色 + 萌黄色白背景 + ダークグレーテキスト新鮮さとナチュラル感
旅館・ホテル常磐色 + 翡翠色白背景 + 金色アクセント格調高く清潔な印象
環境NPO千歳緑 + 若竹色ライトグレー背景 + 白テキスト信頼感と自然への敬意

まとめ

日本の緑系伝統色は、若草色のみずみずしさから苔色の深い静けさまで、驚くほど豊かな表情を持っています。これらの色はすべて、日本の自然や四季の移ろいから生まれたものであり、色名そのものが日本文化の奥深さを物語っています。デザインに緑系の和色を取り入れるときは、単に「緑」と括るのではなく、若草色・萌黄色・鶯色・常磐色といった個々の色が持つ歴史やニュアンスを理解した上で選ぶことで、より繊細で説得力のある表現が可能になるでしょう。

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