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日本の紫系伝統色10選|藤色から紫苑色までの色コード

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紫は、古来より日本で最も高貴な色とされてきました。冠位十二階で最高位に位置づけられたことからもわかるように、紫は権力・気品・神秘の象徴です。しかし「紫」と一口に言っても、日本の伝統色には淡い藤色から深い紫紺まで、実に多彩なバリエーションが存在します。この記事では、日本の紫系伝統色のなかから代表的な10色を厳選し、HEXコードやRGB値、歴史的背景をまとめて解説します。

紫系伝統色10選 一覧

まず、この記事で紹介する10色を一覧で確認しましょう。

No.色名読みHEXRGB系統
1藤色ふじいろ#BBA8D2187,168,210青紫系
2藤紫ふじむらさき#A387BE163,135,190青紫系
3江戸紫えどむらさき#6E3381110,51,129青紫系
4京紫きょうむらさき#893B8F137,59,143赤紫系
5古代紫こだいむらさき#895B8A137,91,138赤紫系
6菖蒲色あやめいろ#674598103,69,152青紫系
7紫苑色しおんいろ#9767AB151,103,171青紫系
8杜若色かきつばたいろ#5B309491,48,148青紫系
9滅紫けしむらさき#5A374890,55,72赤紫系
10二藍ふたあい#6B4A71107,74,113青紫系

1. 藤色(ふじいろ)

藤の花のような淡く柔らかい青紫色で、紫系伝統色のなかでも特に人気の高い色です。

項目内容
色名藤色
読みふじいろ
HEXコード#BBA8D2
RGBR:187 G:168 B:210
HSLH:267 S:30% L:74%
CMYKC:11 M:20 Y:0 K:18
由来フジ(藤)の花の色

歴史・由来

藤色の名は、マメ科のつる植物であるフジの花に由来します。藤は万葉集にも詠まれ、平安時代には藤原氏の象徴として特別な意味を持ちました。源氏物語にも「藤の衣」として登場し、上品で儚い美しさの象徴として愛されてきました。紫根染めではなく、藍と紅花の掛け合わせで再現されることも多い色です。

デザインでの活用

藤色は柔らかく上品な印象を与えるため、女性向けブランドや美容関連のデザインに適しています。白やクリーム色と合わせると清楚な雰囲気に、グレーと組み合わせるとモダンで洗練された印象になります。


2. 藤紫(ふじむらさき)

藤色よりやや濃く、紫みが強い色です。藤色と江戸紫の中間に位置する色といえます。

項目内容
色名藤紫
読みふじむらさき
HEXコード#A387BE
RGBR:163 G:135 B:190
HSLH:271 S:27% L:64%
CMYKC:14 M:29 Y:0 K:25
由来藤色と紫の中間色として命名

歴史・由来

藤紫は、藤色の系統でありながらより深みのある色として、江戸時代の染色文化のなかで名付けられました。薄い紫よりも存在感があり、しかし江戸紫ほど重くないため、季節の変わり目(春から初夏)の着物の色として好まれました。

デザインでの活用

藤色では軽すぎる、江戸紫では重すぎるというときに藤紫が活躍します。Webデザインではホバー状態やセカンダリボタンの色として、藤色からの変化を表現するのに適しています。


3. 江戸紫(えどむらさき)

江戸の粋を象徴する、やや青みを帯びた鮮やかな紫です。

項目内容
色名江戸紫
読みえどむらさき
HEXコード#6E3381
RGBR:110 G:51 B:129
HSLH:285 S:43% L:35%
CMYKC:15 M:60 Y:0 K:49
由来江戸で流行した紫の染色

歴史・由来

江戸紫は、江戸時代に武蔵野で採れたムラサキ草の根(紫根)を使って染められた紫色です。京都の京紫が赤みの強い紫であるのに対し、江戸紫は青みが強く、江戸っ子の「粋」を体現する色として歌舞伎や手拭い、鉢巻きなどに広く使われました。「助六」の鉢巻きの色としても知られ、歌舞伎を象徴する色の一つです。

江戸紫と京紫の比較

項目江戸紫京紫
HEX#6E3381#893B8F
色相青紫寄り赤紫寄り
印象粋、洗練、都会的雅、優美、伝統的
産地江戸(関東)京(関西)
染料紫根(武蔵野産)紫根(京都近郊産)

4. 京紫(きょうむらさき)

京都に伝わる、赤みを帯びた気品ある紫色です。

項目内容
色名京紫
読みきょうむらさき
HEXコード#893B8F
RGBR:137 G:59 B:143
HSLH:296 S:42% L:40%
CMYKC:4 M:59 Y:0 K:44
由来京都で染められた赤みの紫

歴史・由来

京紫は、平安京(京都)で伝統的に用いられてきた紫色です。冠位十二階で最高位に定められた「深紫(こきむらさき)」の系譜を受け継ぐ色で、紫根の赤み成分をより引き出した染色が特徴です。王朝文化の雅さを体現する色として、十二単の重ね色目にも多用されました。

デザインでの活用

京紫は高級感と伝統を同時に表現できる色です。和菓子のパッケージ、旅館のWebサイト、伝統芸能に関するデザインなどに適しています。金色(#C8A84E)との組み合わせは格式の高さを演出します。


5. 古代紫(こだいむらさき)

灰みを帯びた落ち着いた紫で、古の時代を思わせる渋い色調です。

項目内容
色名古代紫
読みこだいむらさき
HEXコード#895B8A
RGBR:137 G:91 B:138
HSLH:299 S:21% L:45%
CMYKC:1 M:34 Y:0 K:46
由来古代の紫根染めを連想させる色

歴史・由来

古代紫は、明治以降に化学染料で鮮やかな紫が作れるようになったことで、それ以前の天然紫根染めの色合いを「古代紫」と呼ぶようになったものです。天然の紫根染めは時間とともに退色し、灰みを帯びた独特の風合いを持つことから、その渋く深みのある色が「古代」の名にふさわしいとされました。

デザインでの活用

古代紫は主張しすぎない品の良い色で、年配層をターゲットにしたデザインや、落ち着いた和のテイストを表現したい場合に適しています。ベージュ(#D4C5A9)や鼠色(#7D7D7D)と合わせると渋みのある配色になります。


6. 菖蒲色(あやめいろ)

菖蒲の花のような、鮮やかで深みのある青紫色です。

項目内容
色名菖蒲色
読みあやめいろ
HEXコード#674598
RGBR:103 G:69 B:152
HSLH:265 S:38% L:43%
CMYKC:32 M:55 Y:0 K:40
由来アヤメ(菖蒲)の花の色

歴史・由来

菖蒲色の名はアヤメの花に由来します。アヤメは古くから端午の節句に飾られる花で、邪気を払う力があるとされてきました。平安時代の重ね色目にも「菖蒲」があり、初夏(旧暦五月)に着用される色目として定められていました。表は紫、裏は白(または薄紫)という組み合わせです。

デザインでの活用

菖蒲色は知的でクリエイティブな印象を与えます。紫系でありながら適度な鮮やかさがあるため、アート関連やクリエイター向けのポートフォリオサイト、文化イベントのビジュアルなどに活用できます。


7. 紫苑色(しおんいろ)

秋に咲く紫苑の花のような、明るく華やかな青紫色です。

項目内容
色名紫苑色
読みしおんいろ
HEXコード#9767AB
RGBR:151 G:103 B:171
HSLH:282 S:29% L:54%
CMYKC:12 M:40 Y:0 K:33
由来シオン(紫苑)の花の色

歴史・由来

紫苑はキク科の多年草で、秋に薄紫色の花を咲かせます。平安時代には秋の重ね色目として「紫苑」が設定されており、表は薄紫、裏は青(または薄青)という配色でした。今昔物語にも紫苑にまつわる説話が登場し、親を想う子の心を象徴する花として語り継がれています。

デザインでの活用

紫苑色は藤色よりも存在感がありながら、江戸紫ほど重くない、バランスの取れた紫です。秋のキャンペーンビジュアルや、エレガントでありつつ親しみやすさも必要なブランドカラーとして適しています。


8. 杜若色(かきつばたいろ)

カキツバタの花のような、青みの強い濃い紫色です。

項目内容
色名杜若色
読みかきつばたいろ
HEXコード#5B3094
RGBR:91 G:48 B:148
HSLH:266 S:51% L:38%
CMYKC:39 M:68 Y:0 K:42
由来カキツバタ(杜若)の花の色

歴史・由来

カキツバタはアヤメ科の植物で、水辺に群生して美しい紫の花を咲かせます。伊勢物語の「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」の歌は、各句の頭文字で「かきつはた」と読める折句として有名です。尾形光琳の「燕子花図屏風」(国宝)にも描かれ、日本美術を代表するモチーフの一つです。

デザインでの活用

杜若色は深く鮮やかな紫で、デジタルデザインではプレミアム感のある表現に向いています。ダークモードのアクセントカラーとして使うと、画面に奥行きと華やかさが加わります。


9. 滅紫(けしむらさき)

紫が褪せて暗くなったような、渋く沈んだ赤紫色です。

項目内容
色名滅紫
読みけしむらさき
HEXコード#5A3748
RGBR:90 G:55 B:72
HSLH:331 S:24% L:28%
CMYKC:0 M:39 Y:20 K:65
由来「滅ぶ(消える)」ほどに暗くなった紫

歴史・由来

「滅」は色彩用語で「暗く沈んだ」を意味します。紫根染めで染めた布は、時間の経過とともに色が褪せて暗くくすんでいきます。その褪色した状態の紫を「滅紫」と呼びました。滅紫は僧侶の衣にも用いられた色で、仏教的な無常観を感じさせる深い色合いです。

デザインでの活用

滅紫はダークで落ち着いた色のため、シックなブランディングやミステリアスな雰囲気の演出に適しています。ダークブラウンやモスグリーンとの組み合わせで、ヴィンテージ感のある配色が作れます。


10. 二藍(ふたあい)

藍と紅花の二つの染料を掛け合わせて作る、灰みのある青紫色です。

項目内容
色名二藍
読みふたあい
HEXコード#6B4A71
RGBR:107 G:74 B:113
HSLH:291 S:21% L:37%
CMYKC:5 M:35 Y:0 K:56
由来藍と紅花の「二つの藍」で染めた色

歴史・由来

二藍は、藍染めと紅花染めの二つの工程を重ねて作られる色です。「藍」はかつて染料全般を指す言葉でもあり、藍(青の染料)と紅花(赤の染料)の「二つの藍」を意味します。平安時代の文献に頻出する色で、延喜式にも染色法が記録されています。藍と紅の配合比によって青寄りから赤寄りまで幅広い色味が生まれるのが特徴です。

デザインでの活用

二藍は中間色的な紫で、派手さを抑えつつも個性を出したい場面に向いています。自然素材を活かしたブランドや、クラフト系のプロダクトデザインとの親和性が高い色です。


紫系伝統色の比較チャート

10色を明度順に並べた比較表です。

色名HEX明度(L値)彩度(S値)色相傾向
藤色#BBA8D274%30%青紫
藤紫#A387BE64%27%青紫
紫苑色#9767AB54%29%青紫
古代紫#895B8A45%21%赤紫
菖蒲色#67459843%38%青紫
京紫#893B8F40%42%赤紫
杜若色#5B309438%51%青紫
二藍#6B4A7137%21%青紫
江戸紫#6E338135%43%青紫
滅紫#5A374828%24%赤紫

紫系の色をデザインで使うコツ

Webデザインでの配色例

用途配色パターン効果
和風サイト藤色 (
#BBA8D2) + 白 (
#FFFFFF) + 金 (
#C8A84E)
優雅で格調高い印象
高級感のあるLP江戸紫 (
#6E3381) + 黒 (
#1A1A1A) + 銀 (
#C0C0C0)
プレミアム感の演出
ナチュラル系古代紫 (
#895B8A) + 生成色 (
#F5F0E8) + 鼠色 (
#7D7D7D)
落ち着いた和モダン
フェミニン系藤色 (
#BBA8D2) + 桜色 (
#FEEEED) + 灰桜 (
#E8D3D1)
柔らかく華やかな印象

アクセシビリティの注意点

紫系の色は彩度や明度によってコントラスト比が大きく変わります。テキスト色として使う場合は、WCAG 2.1のコントラスト比4.5:1以上を確保することが重要です。

背景色テキスト色コントラスト比判定
白 (
#FFFFFF)
江戸紫 (
#6E3381)
7.2:1合格(AAA)
白 (
#FFFFFF)
藤色 (
#BBA8D2)
2.4:1不合格
白 (
#FFFFFF)
菖蒲色 (
#674598)
7.8:1合格(AAA)
黒 (
#000000)
藤色 (
#BBA8D2)
8.8:1合格(AAA)

藤色のような明るい紫はテキスト色には向かないため、背景色やアクセントカラーとして使い、テキストには江戸紫や菖蒲色などの暗い紫を選ぶのがポイントです。

まとめ

日本の紫系伝統色は、藤色の淡い優雅さから滅紫の深い渋みまで、驚くほど豊かなバリエーションを持っています。紫根という一つの染料から生まれながら、染め方や配合によって青紫にも赤紫にもなり、さらに時間の経過による退色までもが新たな色名として愛されてきました。江戸紫と京紫の東西対比、藍と紅花を掛け合わせた二藍の工夫など、色の一つひとつに日本の美意識と技術が詰まっています。デザインの現場では、これらの紫を適切に使い分けることで、和の格調や繊細さを効果的に表現できるでしょう。

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