数字の回文|回文数の不思議な性質と見つけ方
数字の回文、つまり「回文数」をご存知でしょうか。121、1331、12321のように、前から読んでも後ろから読んでも同じになる数のことです。言葉の回文と同じ原理ですが、数字の世界では驚くべき法則や不思議な性質が数多く発見されています。この記事では、回文数の基本から興味深い性質まで幅広く解説します。
回文数とは
回文数(かいぶんすう、palindromic number)は、十進法で表したときに前から読んでも後ろから読んでも同じ数字の並びになる自然数のことです。
1桁の回文数
1から9までのすべての1桁の数は回文数です。前から読んでも後ろから読んでも同じ数字だからです。1桁の回文数は9個あります。
2桁の回文数
2桁の回文数は、11、22、33、44、55、66、77、88、99の9個です。すべて同じ数字が2つ並んだ「ゾロ目」になります。
3桁の回文数
3桁の回文数は、101、111、121、131のように、1桁目と3桁目が同じ数字で、真ん中の数字は何でもよいという形です。百の位が1〜9の9通り、十の位が0〜9の10通りなので、3桁の回文数は90個あります。
4桁以上の回文数
4桁の回文数は1001、1111、1221、1331のような形で、90個あります。5桁になると900個、6桁でも900個です。桁数が増えても、回文数の個数にはパターンがあることがわかります。
回文数の個数の公式
n桁の回文数がいくつあるかは、以下のように計算できます。
1桁のとき9個です。2桁のとき9個です。3桁のとき90個です。4桁のとき90個です。5桁のとき900個です。6桁のとき900個です。
パターンが見えてきましたか。奇数桁のn桁の回文数の個数は9掛ける10の(n-1)/2乗です。偶数桁のn桁の回文数の個数は9掛ける10の(n/2-1)乗です。
つまり、桁数が1つ増えるごとに個数が同じか10倍になるという規則があります。
回文数の面白い性質
性質1:回文素数
回文数の中で素数であるもの(他の数で割り切れないもの)を「回文素数」と呼びます。
2桁の回文素数は11だけです。3桁の回文素数は101、131、151、181、191の5個です。4桁の回文素数は存在しません。実は、偶数桁の回文数は必ず11で割り切れるため、11を除く偶数桁の回文素数は存在しないのです。
これは興味深い性質です。たとえば4桁の回文数ABBAを考えると、1001A+110Bとなり、これは11の倍数です。このため、4桁の回文数は必ず11で割り切れます。
性質2:回文数の掛け算
特定の数の掛け算が回文数を生み出すことがあります。
1掛ける1は1です。11掛ける11は121です。111掛ける111は12321です。1111掛ける1111は1234321です。
レピュニット(1が並ぶ数)の二乗は、必ず回文数になります。しかも、1から順に数が増えてまた戻るという美しいパターンを示します。
性質3:196問題
任意の数について「その数と、その数を逆に読んだ数を足す」という操作を繰り返すと、いつかは回文数にたどり着くのではないか、という予想があります。
たとえば、59を例にとりましょう。59+95=154。154+451=605。605+506=1111。3回の操作で回文数1111にたどり着きました。
しかし、196だけは何度この操作を繰り返しても回文数にならないのではないかと考えられています。コンピュータで数十億回以上の操作を行っても回文数に到達しておらず、「196問題」として未解決のまま残っています。
性質4:日付の回文数
日付を数字で表したときに回文数になる日があります。西暦の年月日をYYYYMMDDの形式で表すと、20200202(2020年2月2日)は回文数です。
次の回文日はいつでしょうか。21120112(2112年1月12日)です。かなり先の未来ですが、こうした回文日を探すのも面白い遊びです。
ただし、MMDDYYYY形式やDDMMYYYY形式など、表記方法によって回文日は変わります。
性質5:回文数と各桁の和
3桁の回文数ABCは、A+B+C(各桁の和)で分類することができます。各桁の和が3の倍数であれば、その回文数は3の倍数です。各桁の和が9であれば、その回文数は9の倍数です。
たとえば、回文数252の各桁の和は2+5+2=9なので、252は9の倍数です。実際、252÷9=28です。
日常に潜む回文数
回文数は数学の世界だけでなく、日常生活の中にも潜んでいます。
車のオドメーターが回文数になる瞬間
車の走行距離計(オドメーター)の数字が回文数になる瞬間に気づいたことはありますか。12321キロメートルや45654キロメートルなど、走行していると回文数に出会えます。次に回文数が現れるのは何キロ先かを計算するのも面白いでしょう。
電話番号の回文数
電話番号が回文数になっているものは、覚えやすいとして重宝されることがあります。たとえば「012-3210」のような並びです。
時刻の回文数
デジタル時計の表示で回文になる時刻があります。12時21分や23時32分などです。24時間表記で考えると、1日に何回回文時刻が訪れるか数えてみるのも良いでしょう。
回文数を使った遊び
遊び1:回文数探しゲーム
1から順に数を数えていき、回文数を見つけたら手を叩くというゲームです。1、2、3、…、9、(ここまで全部回文)、10(回文ではない)、11(回文)、…という具合に進めます。
遊び2:回文数の足し算チャレンジ
好きな2桁以上の数を選び、その数と逆さの数を足す操作を繰り返して、何回で回文数にたどり着くか挑戦します。
たとえば、68からスタートすると68+86=154です。154+451=605です。605+506=1111で、3回で回文数に到達しました。
89からスタートすると、なんと24回もかかります。2桁の数の中では最も回数がかかるのが89です。
遊び3:回文年月日を探す
自分の誕生日は回文数になっているかを調べてみましょう。YYYYMMDDやMMDDYYYYなど、いろいろな形式で試してみると面白いです。
遊び4:回文数の掛け算パターン
1掛ける1、11掛ける11、111掛ける111のパターンを電卓で計算して、結果が回文数になることを確認してみましょう。1111111111(10個の1)の二乗まで試すと、美しいパターンが見えてきます。
プログラミングと回文数
回文数の判定は、プログラミングの入門課題としても人気があります。
基本的な判定方法
数を文字列に変換し、その文字列を反転させたものと元の文字列が一致するかどうかを調べるのが最もシンプルな方法です。
効率的な判定方法
文字列変換を使わずに、数値演算だけで回文数を判定する方法もあります。数の後ろから1桁ずつ取り出して新しい数を組み立て、元の数と一致するかを確認します。
回文素数の探索
回文素数を見つけるプログラムは、回文数の判定と素数判定を組み合わせて作ることができます。大きな回文素数を探す挑戦は、コンピュータサイエンスの面白いテーマのひとつです。
回文数に関する未解決問題
196問題(再掲)
前述の通り、196に「逆さにして足す」操作を繰り返しても回文数にならないという予想は、数学の未解決問題です。2023年時点で10億桁以上まで計算されていますが、回文数は見つかっていません。
回文素数の無限性
回文素数は無限に存在するのかどうかも、まだ証明されていない問題です。非常に大きな回文素数が発見され続けていますが、無限に存在することの数学的証明はなされていません。
まとめ
数字の回文「回文数」の世界を探検しました。1桁のシンプルなものから、何億桁にも及ぶ未解決問題まで、回文数は実に奥深い世界を持っています。日常の中で回文数を見つける楽しみを知ると、数字に対する見方が少し変わるかもしれません。時計の数字、車の走行距離、電話番号など、身の回りの数字に回文数が潜んでいないか、探してみてはいかがでしょうか。