年金の受給開始年齢と手続き|繰上げ・繰下げ受給
公的年金は、老後の生活を支える重要な制度です。受給開始年齢や手続き方法を理解しておくことで、将来の生活設計に役立てることができます。ここでは、年金の受給開始年齢、繰上げ・繰下げ受給の仕組み、受給手続きの方法について解説します。
公的年金の種類
日本の公的年金制度は2階建ての構造になっています。
国民年金(基礎年金)
日本に住む20歳から60歳までのすべての人が加入する年金です。自営業者、フリーランス、学生などが第1号被保険者として保険料を自分で納めます。会社員や公務員の配偶者で一定の要件を満たす方は第3号被保険者として保険料の負担がありません。
厚生年金
会社員や公務員が加入する年金です。国民年金に上乗せする形で、給与に応じた年金を受給できます。保険料は労使折半(会社と従業員が半分ずつ負担)です。
受給開始年齢
原則の受給開始年齢
老齢年金の受給開始年齢は原則65歳です。65歳になったら年金の請求手続きを行い、受給を開始します。
受給資格期間
年金を受給するには、保険料を納めた期間(免除期間を含む)が合計10年以上必要です。2017年8月の法改正により、それまでの25年から10年に短縮されました。
繰上げ受給
繰上げ受給とは
繰上げ受給は、65歳より前に年金の受給を開始する制度です。60歳から64歳の間で受給を開始でき、月単位で選択できます。
減額率
繰上げ受給を選択すると、受給額が減額されます。減額率は1か月あたり0.4%です(1962年4月2日以降生まれの方の場合)。
| 受給開始年齢 | 繰上げ月数 | 減額率 |
|---|---|---|
| 60歳0か月 | 60か月 | 24.0% |
| 61歳0か月 | 48か月 | 19.2% |
| 62歳0か月 | 36か月 | 14.4% |
| 63歳0か月 | 24か月 | 9.6% |
| 64歳0か月 | 12か月 | 4.8% |
繰上げ受給の注意点
- 減額された年金額は生涯変わらない(後から元に戻せない)
- 障害基礎年金を請求できなくなる場合がある
- 国民年金の任意加入ができなくなる
- 寡婦年金の受給権がなくなる
繰下げ受給
繰下げ受給とは
繰下げ受給は、65歳より後に年金の受給を開始する制度です。66歳から75歳の間で受給を開始でき、月単位で選択できます。
増額率
繰下げ受給を選択すると、受給額が増額されます。増額率は1か月あたり0.7%です。
| 受給開始年齢 | 繰下げ月数 | 増額率 |
|---|---|---|
| 66歳0か月 | 12か月 | 8.4% |
| 67歳0か月 | 24か月 | 16.8% |
| 68歳0か月 | 36か月 | 25.2% |
| 69歳0か月 | 48か月 | 33.6% |
| 70歳0か月 | 60か月 | 42.0% |
| 75歳0か月 | 120か月 | 84.0% |
繰下げ受給の注意点
- 増額された年金額は生涯適用される
- 繰下げ待機中は年金を受給しないため、その間の収入源を確保する必要がある
- 加給年金や振替加算は繰下げによる増額の対象外
- 税金や社会保険料が増える可能性がある
年金額の目安
国民年金(老齢基礎年金)
40年間(480か月)すべて保険料を納めた場合の満額は、年間約816,000円(2024年度の場合、月額約68,000円)です。納付期間が短い場合は、その割合に応じて減額されます。
厚生年金
厚生年金の受給額は、加入期間と加入中の報酬(給与)によって異なります。平均的な収入で40年間働いた場合の目安は、老齢基礎年金と合わせて月額約15万円〜16万円程度です。
受給手続きの方法
手続きの時期
65歳の誕生日の3か月前頃に、日本年金機構から「年金請求書」が届きます。届いたら必要事項を記入し、65歳の誕生日の前日以降に手続きを行います。
提出先
年金請求書は、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。郵送での提出も可能です。
必要書類
- 年金請求書
- 年金手帳またはマイナンバーカード
- 戸籍謄本(配偶者や子どもがいる場合)
- 住民票
- 所得証明書(課税証明書)
- 受取先金融機関の通帳のコピー
- 届出人の本人確認書類
受給開始までの期間
手続き完了から約1〜2か月後に「年金証書」が届き、その後さらに1〜2か月後に最初の年金が振り込まれます。年金は偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、前2か月分がまとめて支払われます。
ねんきん定期便の活用
ねんきん定期便とは
日本年金機構が毎年誕生月に送付する通知で、これまでの年金加入記録や将来の年金見込額が記載されています。35歳、45歳、59歳の節目年齢には、より詳しい情報が記載された封書形式で届きます。
ねんきんネット
「ねんきんネット」を利用すると、インターネット上で自分の年金記録を確認したり、将来の年金見込額を試算したりできます。マイナポータルと連携して利用することも可能です。
まとめ
年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、繰上げ受給(60歳〜64歳)や繰下げ受給(66歳〜75歳)を選択することもできます。繰上げでは減額、繰下げでは増額となり、いずれも生涯にわたって適用されます。自分の年金記録はねんきん定期便やねんきんネットで確認し、将来の生活設計に役立てましょう。