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ペトラ遺跡|バラ色の岩窟都市の歴史と見どころ

ペトラ ヨルダン 文化遺産 ナバテア人
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ヨルダン南部の砂漠地帯に眠るペトラ遺跡は、紀元前4世紀から紀元後2世紀にかけてナバテア人が築いた岩窟都市です。1985年にユネスコ世界文化遺産に登録され、「新・世界七不思議」のひとつにも選ばれたこの遺跡は、バラ色の砂岩に刻まれた壮大な建築群で訪問者を圧倒します。

ペトラの歴史

ナバテア王国の繁栄

ペトラを築いたナバテア人は、もともとアラビア半島北部の遊牧民でした。紀元前4世紀頃からこの地に定住し、アラビア半島とエジプト、シリア、地中海世界を結ぶ交易路の要衝としてペトラを発展させました。

ナバテア人は乳香、没薬、香辛料などの高価な交易品を扱い、莫大な富を蓄えました。その富を背景に、断崖を削り出して壮大な神殿や墓廟を建設したのです。最盛期のペトラには約3万人が暮らしていたとされ、精巧な水利システムによって砂漠の中で都市生活を維持していました。

ローマ帝国による併合

106年、ローマ帝国のトラヤヌス帝によってナバテア王国は併合されました。ペトラはローマ帝国のアラビア属州の一部となりましたが、交易路の変化によって徐々に衰退していきました。363年の大地震で大きな被害を受け、その後は住民が減少し、やがて砂漠の中に忘れ去られていきました。

西洋世界への再紹介

1812年、スイスの探検家ヨハン・ルートヴィヒ・ブルクハルトがアラブ人の服装に変装してペトラに潜入し、遺跡の存在を西洋世界に報告しました。以来、ペトラは考古学者や冒険家たちの注目を集め、「失われた都市」として名を馳せるようになりました。

主な見どころ

シーク(峡谷の参道)

ペトラ遺跡の入口から続く約1.2キロメートルの狭い峡谷です。両側にそそり立つ岩壁は高さ80メートルに達する場所もあり、ナバテア人が刻んだ水路や祭壇の痕跡を見ることができます。シークの幅はわずか数メートルの場所もあり、見上げると空が細い線のように見えます。

この狭い峡谷を歩くこと自体が、期待感を高める劇的な演出になっています。そしてシークの出口に差しかかったとき、岩の隙間からエル・ハズネが姿を現す瞬間は、ペトラ訪問のハイライトです。

エル・ハズネ(宝物殿)

高さ約40メートル、幅約25メートルの壮大なファサード(正面部分)を持つエル・ハズネは、ペトラ遺跡のシンボルです。紀元前1世紀頃、ナバテア王アレタス4世の霊廟として建設されたと考えられています。

「宝物殿」という名前は、頂部に置かれた壺の中にファラオの財宝が隠されているというベドウィンの伝説に由来します(実際には空の壺です)。ギリシア・ローマ建築の影響を受けたコリント式の列柱と、ナバテア独自の装飾が融合したデザインは、文化の交差点としてのペトラの性格を物語っています。

映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のクライマックスシーンのロケ地としても有名で、映画を通じてペトラの知名度は世界的に高まりました。

王家の墓群

エル・ハズネから先に進むと、ウム・アル・ビヤラの岩壁に沿って壮大な墓廟群が並んでいます。

  • 壺の墓: 最も大きな墓のひとつ。ビザンツ時代にはキリスト教の教会として使用されました。
  • シルクの墓: 色鮮やかな砂岩の縞模様が美しい墓。
  • コリント式の墓: ギリシア建築の影響を強く受けた装飾が特徴。
  • 宮殿の墓: ナバテア建築とローマ建築が融合した3層構造の壮大な墓。

エド・ディル(修道院)

遺跡の奥部、約800段の階段を登った先にあるエド・ディルは、エル・ハズネよりもさらに大きなファサード(幅約47メートル、高さ約48メートル)を持つ建造物です。1世紀に建設された王の墓廟で、のちにキリスト教の修道院として使用されたことから「修道院」の名がつきました。

階段の登りは30分から1時間ほどかかりますが、頂上からの眺望は素晴らしく、労力に見合う報酬が待っています。

大神殿・柱廊通り

ペトラの中心部には、ローマ時代に整備された柱廊通りと大神殿の遺構があります。かつてのペトラが単なる墓地ではなく、活気ある都市であったことを示す重要な遺構です。

世界遺産としての価値

登録基準

  • 基準(i): 人類の創造的才能を表す傑作。岩盤を削り出して造られた独特の建築は他に類を見ません。
  • 基準(iii): ナバテア文明の独特な文化的伝統を示す証拠。
  • 基準(iv): 先史時代からの建築と都市計画の発展を示す顕著な見本。

ペトラは、東西の文化が交差する地点で独自の文明を築いたナバテア人の創造性と技術力を伝える、かけがえのない遺産です。

観光の実用情報

アクセス

  • 日本から: アンマンのクイーンアリア国際空港へ。直行便はなく、ドバイやイスタンブール経由が一般的。
  • アンマンから: 車で約3時間(約230キロメートル)。公共バスの「JETT」がアンマンとワディ・ムーサ(ペトラ最寄りの町)を結んでいます。
  • アカバから: 車で約2時間。ヨルダン南部の紅海リゾート地から日帰りも可能。

入場情報

項目内容
1日券50 JD(約10,000円)
2日券55 JD
3日券60 JD
ペトラ・バイ・ナイト17 JD(月曜・水曜・木曜のみ)
開場時間夏季 6:00~18:00 / 冬季 6:00~16:00

※ヨルダン・パス(観光パス)を利用すると、ペトラ入場料とビザ代が含まれてお得です。

見学のポイント

  • 所要時間: 主要スポットだけでも最低1日、エド・ディルまで含めると2日間は欲しいところです。
  • ペトラ・バイ・ナイト: 夜間にシークからエル・ハズネまでをキャンドルライトの中で歩くツアー。幻想的な体験ですが、混雑することもあります。
  • 服装と装備: 歩きやすい靴は必須。日差しが強いため帽子・日焼け止め・十分な水を持参しましょう。エド・ディルへの階段もあるため、体力に余裕を持った計画を。
  • ベストシーズン: 3月~5月と9月~11月が気候的におすすめ。夏(6月~8月)は気温が40度を超えることもあります。
  • 早朝入場: 開場直後に入ると、シークとエル・ハズネを人の少ない状態で楽しめます。

ペトラは、砂漠の中に眠る壮大な歴史ドラマの舞台です。バラ色の岩壁に刻まれたナバテア人の遺産は、2,000年以上の時を超えて私たちに文明の底力を見せてくれます。シークの先に現れるエル・ハズネの姿は、一生忘れられない瞬間となるでしょう。

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