読み間違いやすい熟語ランキング
日本語には、多くの人が読み間違えている熟語が数多くあります。文化庁の「国語に関する世論調査」でも、読み間違いの多い語句が定期的に調査されています。ここでは読み間違いが多い熟語をランキング形式で紹介します。
読み間違いが多い熟語ランキング
第1位~第5位
| 順位 | 熟語 | 正しい読み方 | よくある間違い |
|---|---|---|---|
| 1位 | 間髪を容れず | かんはつをいれず | かんぱつをいれず |
| 2位 | 独壇場 | どくだんじょう | どくせんじょう |
| 3位 | 既出 | きしゅつ | がいしゅつ |
| 4位 | 早急 | さっきゅう | そうきゅう |
| 5位 | 固執 | こしつ/こしゅう | こしつ |
「間髪を容れず」は「かん、はつをいれず」と区切るのが正しく、「かんぱつ」とは読みません。「間」と「髪」の間に一髪の隙間もないという意味で、非常に短い時間を表します。
「独壇場」は興味深い例です。本来「独擅場(どくせんじょう)」だった言葉が、「擅」の字が「壇」に誤用されて「独壇場(どくだんじょう)」として定着しました。現在ではどちらの読み方も辞書に記載されています。
第6位~第10位
| 順位 | 熟語 | 正しい読み方 | よくある間違い |
|---|---|---|---|
| 6位 | 漸く | ようやく | ざんく |
| 7位 | 更迭 | こうてつ | こうそう |
| 8位 | 端的 | たんてき | はしてき |
| 9位 | 逝去 | せいきょ | いきょ |
| 10位 | 破綻 | はたん | はじょう |
「早急」は本来「さっきゅう」が正しい読み方ですが、「そうきゅう」という読みも広く普及しており、現在では慣用読みとして認められています。NHKでは「さっきゅう」を優先していますが、「そうきゅう」も許容しています。
「破綻」の「綻」は「たん」と読みます。「綻びる(ほころびる)」という訓読みがあるため、「はじょう」と間違えることはあまりありませんが、「綻」の字自体が読めないという人は少なくありません。
第11位~第15位
| 順位 | 熟語 | 正しい読み方 | よくある間違い |
|---|---|---|---|
| 11位 | 貪欲 | どんよく | たんよく |
| 12位 | 脆弱 | ぜいじゃく | きじゃく |
| 13位 | 恣意的 | しいてき | しゅいてき |
| 14位 | 出納 | すいとう | しゅつのう |
| 15位 | 約定 | やくじょう | やくてい |
「出納」は「しゅつのう」ではなく「すいとう」と読みます。金銭や物品の出し入れを意味する会計用語です。「出」を「すい」と読むのは「出納」特有の読み方で、他の熟語ではこの読みは使われません。
「脆弱」は情報セキュリティの分野でよく使われる言葉です。「きじゃく」と読み間違える人がいますが、「ぜいじゃく」が正しい読み方です。「脆い(もろい)」の音読みが「ぜい」です。
第16位~第20位
| 順位 | 熟語 | 正しい読み方 | よくある間違い |
|---|---|---|---|
| 16位 | 月極 | つきぎめ | げっきょく |
| 17位 | 発足 | ほっそく | はっそく |
| 18位 | 境内 | けいだい | きょうない |
| 19位 | 廉価 | れんか | けんか |
| 20位 | 添付 | てんぷ | そえつけ |
「発足」は「ほっそく」が正しい読み方です。「はっそく」と読む人も多く、慣用読みとして認められつつありますが、正式には「ほっそく」です。「新しい委員会が発足した」のように使います。
「境内」は「きょうない」ではなく「けいだい」と読みます。寺社の敷地内を意味する言葉で、「境」を「けい」と読むのは呉音です。
慣用読みと本来の読み方
読み間違いの中には、長い年月をかけて慣用読みとして定着したものもあります。
| 本来の読み方 | 慣用読み | 状況 |
|---|---|---|
| さっきゅう(早急) | そうきゅう | 両方認められている |
| こしゅう(固執) | こしつ | 「こしつ」が一般化 |
| ほっそく(発足) | はっそく | 「はっそく」も増加中 |
| ちょうふ(貼付) | てんぷ | 両方使われている |
言語は時代とともに変化するものであり、かつての「間違い」が新しい「正しさ」になることもあります。ただし、公式な場面では本来の読み方を使う方が無難です。
読み間違いが起きやすいパターン
読み間違いにはいくつかの共通パターンがあります。
一つ目は、見慣れた漢字の別の読み方を知らないケースです。「出納」の「出」を「すい」と読むことや、「境内」の「境」を「けい」と読むことは、日常ではあまり使わない読み方です。
二つ目は、類似する別の熟語の読み方に引きずられるケースです。「凡例」を「ぼんれい」と読むのは「凡人」「平凡」の「ぼん」に引きずられています。
三つ目は、漢字の形が似ている別の字と混同するケースです。「更迭」の「迭」を「送」と見間違えて「こうそう」と読んでしまうなどがあります。
まとめ
読み間違いやすい熟語は、特殊な読み方や慣用読みの定着など、さまざまな理由で生まれます。「間髪を容れず」「出納」「境内」「発足」などは特に注意が必要です。正しい読み方を知ることは、日本語の教養を深める上で大切なことです。