電話対応の敬語ガイド|受け方・かけ方・取り次ぎ方
電話対応は声だけのコミュニケーションのため、敬語の正確さがそのまま会社の印象に直結します。対面では表情や身振りで補えますが、電話ではすべてを言葉で伝えなければなりません。この記事では、電話の受け方・かけ方・取り次ぎ・不在時対応について、実際に使える敬語フレーズを紹介します。
電話を受けるときの敬語
電話に出るフレーズ
3コール以内に出た場合:
- 「お電話ありがとうございます。株式会社ABCの田中でございます」
- 「はい、株式会社ABC営業部でございます」
3コール以上で出た場合:
- 「お待たせいたしました。株式会社ABCの田中でございます」
- 「大変お待たせいたしました。株式会社ABCでございます」
相手の名前を確認するフレーズ
- 「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
- 「失礼ですが、どちら様でしょうか」
- 「恐れ入りますが、もう一度お名前をお聞かせいただけますか」
聞き取れなかった場合:
- 「恐れ入ります。お電話が少々遠いようですが、もう一度お名前をお願いできますでしょうか」
- 「申し訳ございません。もう一度おっしゃっていただけますか」
用件を聞くフレーズ
- 「どのようなご用件でしょうか」
- 「ご用件をお伺いいたします」
電話を取り次ぐときの敬語
取り次ぎの基本フレーズ
担当者がいる場合:
- 「少々お待ちくださいませ。ただいまおつなぎいたします」
- 「鈴木でございますね。少々お待ちください」
- 「営業部の鈴木におつなぎいたします。少々お待ちくださいませ」
注意:社外の相手に自社の人間のことを話すときは、呼び捨てにします。
- 誤:「鈴木部長は今いらっしゃいます」
- 正:「鈴木はただいま席におります」
担当者が不在のときのフレーズ
不在の理由別に使い分けます。
外出中:
- 「あいにく鈴木は外出しております。本日は16時頃に戻る予定です」
- 「申し訳ございません。鈴木は終日外出しております」
会議中:
- 「鈴木はただいま会議に出ておりまして、15時頃に終了予定でございます」
離席中:
- 「鈴木はただいま席を外しております。戻り次第、折り返しご連絡いたしましょうか」
休暇中:
- 「申し訳ございません。鈴木は本日休みを取っております」(「お休み」と美化語を付けない。自社の人間の休暇に「お」は不要)
電話中:
- 「あいにく鈴木は別の電話に出ております。終わり次第、折り返しご連絡いたしましょうか」
退社後:
- 「鈴木は本日すでに退社いたしました。明日でよろしければ、ご連絡させていただきます」
折り返しを提案するフレーズ
- 「鈴木が戻り次第、折り返しご連絡いたしましょうか」
- 「こちらから改めてご連絡いたします。お電話番号をお教えいただけますでしょうか」
- 「折り返しお電話いたしますので、ご都合のよいお時間帯を教えていただけますか」
伝言を承るフレーズ
- 「よろしければ、ご伝言を承ります」
- 「お伝えしたいことがございましたら、お申し付けください」
- 「確認いたします。〜ということでよろしいでしょうか」(伝言内容を復唱する)
電話をかけるときの敬語
電話をかけるときの名乗り
- 「いつもお世話になっております。株式会社ABCの田中でございます」
- 「お忙しいところ恐れ入ります。株式会社ABCの田中と申します」(初めてかける場合)
取り次ぎを依頼するフレーズ
- 「営業部の山田様はいらっしゃいますでしょうか」
- 「恐れ入りますが、山田様をお願いできますでしょうか」
担当者に代わった後のフレーズ
- 「お忙しいところ恐れ入ります。〜の件でお電話いたしました」
- 「先日の〜の件について、ご確認させていただきたくお電話いたしました」
- 「お時間は大丈夫でしょうか」(長くなりそうなとき)
相手が不在だった場合のフレーズ
- 「かしこまりました。では、改めてお電話いたします」
- 「お戻りのお時間をお教えいただけますでしょうか」
- 「恐れ入りますが、折り返しお電話をいただけますでしょうか」
- 「では、メールにてご連絡いたします」
電話を切るときの敬語
基本の切り方
- 「それでは、失礼いたします」
- 「お忙しいところありがとうございました。失礼いたします」
- 「今後ともよろしくお願いいたします。失礼いたします」
ビジネスマナーとして、かけた側が先に切るのが一般的です。ただし、相手がお客様や目上の方の場合は、相手が切るのを確認してから切りましょう。
電話対応でよくある間違い
自社の人間に敬称・尊敬語を使う
社外からの電話で自社の人間について話すとき、尊敬語や敬称を使うのは間違いです。
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誤:「鈴木部長はいらっしゃいません」
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正:「鈴木はただいま不在でございます」
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誤:「鈴木部長にお伝えします」
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正:「鈴木に申し伝えます」
「もしもし」を使う
ビジネスの電話では「もしもし」は使いません。代わりに「お電話ありがとうございます」「はい」で始めます。
「すみません」を連発する
「すみません」は謝罪にも感謝にも使われますが、ビジネス電話では曖昧な印象を与えます。
- 感謝のとき:「ありがとうございます」
- 謝罪のとき:「申し訳ございません」
- 依頼のとき:「恐れ入りますが」
と使い分けましょう。
「お名前を頂戴できますか」
「名前をもらう」という表現は不自然です。
- 不自然:「お名前を頂戴できますか」
- 自然:「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
ただし「お名刺を頂戴できますか」は、名刺という物を受け取る意味で自然な表現です。
「なるほどですね」
電話でのあいづちとして使いがちですが、目上の人に対しては不適切とされることがあります。
- 避けたい:「なるほどですね」
- 適切:「おっしゃる通りです」「さようでございますか」「承知いたしました」
電話対応の心得
明るくはっきりと話す
電話では声のトーンが印象を大きく左右します。やや高めのトーンで、はっきりと話しましょう。
メモを取る
電話中は必ずメモを取りましょう。用件、相手の名前、電話番号、折り返しの要否などを記録します。
復唱して確認する
重要な情報は必ず復唱して確認します。
- 「確認いたします。6月15日の14時にお伺いするということでよろしいでしょうか」
- 「お電話番号は03-1234-5678でよろしいでしょうか」
保留は30秒以内に
保留が長くなる場合は、一度電話に出て状況を伝えましょう。
- 「お待たせして申し訳ございません。確認に少々お時間がかかっておりますので、折り返しお電話してもよろしいでしょうか」
まとめ
電話対応の敬語は、受け方・かけ方・取り次ぎ・不在時対応の4つのパターンを覚えれば、基本的な場面はカバーできます。自社の人間には謙譲語を使うこと、「もしもし」を使わないことなど、電話特有のマナーも忘れずに押さえましょう。声だけのコミュニケーションだからこそ、正確な敬語が信頼につながります。