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「させていただく」の正しい使い方と誤用例

させていただく 謙譲語 過剰敬語 ビジネス
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「させていただく」は、ビジネスシーンで最も多用される敬語表現の一つです。しかし、あまりに多用されているため、本来の使い方から外れた誤用も非常に多く見られます。この記事では、「させていただく」が正しく使える条件と、よくある誤用パターンを解説します。

「させていただく」の正しい使い方

文化庁の「敬語の指針」によれば、「させていただく」は以下の二つの条件を満たす場合に適切に使える表現です。

二つの条件

  1. 相手の許可を得て行う行為であること
  2. その行為によって自分が恩恵を受けること

例えば、「会議の日程を変更させていただきます」は、相手の許可を得た上で日程を変更し、その変更が自分にとって都合が良いという場面であれば適切です。

正しい使用例

例文適切な理由
本日は休業させていただきます客の了承のもと休業し、自社に恩恵がある
資料を拝見させていただきます相手の許可のもと資料を見せてもらう
先に退席させていただきます相手の許可を得て退席する

よくある誤用パターン

パターン1: 許可が不要な場面での使用

自分の判断で自由にできることに「させていただく」を使うのは不自然です。

誤用正しい表現
私が担当させていただいている田中です担当の田中です / 担当しております田中です
東京に住まわせていただいております東京に住んでおります
御社のホームページを拝見させていただきました御社のホームページを拝見しました

自分がどこに住むか、ホームページを見るかは相手の許可を必要としません。「させていただく」は不要です。

パターン2: 一文に複数の「させていただく」

一つの文や会話の中で「させていただく」を連発すると、くどく不自然な印象を与えます。

誤用例: 「本日司会を務めさせていただきます田中と申します。それでは会議を始めさせていただきます。まず資料を配布させていただきます。」

改善例: 「本日司会を務めます田中です。それでは会議を始めます。まず資料を配布いたします。」

パターン3: 一方的な行為への使用

相手に選択の余地がない通知や報告に「させていただく」を使うと、形式的で不誠実に聞こえることがあります。

誤用正しい表現
料金を値上げさせていただきます料金を改定いたします
サービスを終了させていただきますサービスを終了いたします

値上げやサービス終了は企業側の一方的な決定です。「させていただく」を使っても丁寧さは伝わらず、かえって責任回避の印象を与えかねません。

パターン4: 「いたします」で十分な場面

「させていただく」の代わりに「いたします」で十分な場面は非常に多いです。

させていただく(過剰)いたします(適切)
ご説明させていただきますご説明いたします
ご連絡させていただきますご連絡いたします
ご報告させていただきますご報告いたします
確認させていただきます確認いたします

なぜ「させていただく」が多用されるのか

「させていただく」が多用される背景には、できるだけ丁寧に見せたいという心理があります。「いたします」よりも「させていただきます」のほうが丁寧に聞こえると感じる人が多いのです。

また、自分の行為に対して相手の許可を得ているというニュアンスを出すことで、押しつけがましさを避けたいという意図もあります。しかし過剰に使うと、かえって回りくどく自信のない印象を与えてしまいます。

適切な使い分けのコツ

「させていただく」を使うか迷ったら、以下のチェックポイントで判断しましょう。

  1. この行為に相手の許可は本当に必要か
  2. 「いたします」に置き換えて不自然ではないか
  3. 同じ文章や会話の中で「させていただく」が多すぎないか

迷ったときは「いたします」を使うのが安全です。「いたします」は謙譲語として十分な敬意を表しつつ、簡潔で聞き取りやすい表現です。

まとめ

「させていただく」は正しく使えば丁寧で上品な表現ですが、乱用すると回りくどく不自然な敬語になります。「相手の許可」と「自分の恩恵」という二つの条件を意識し、不要な場面では「いたします」を使うことで、スマートな敬語表現が身につきます。

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