三角比の基本と公式まとめ
三角比は高校数学Iで学ぶ重要な単元で、三角関数や物理学の基礎にもなります。ここではsin、cos、tanの定義から始めて、相互関係の公式、正弦定理・余弦定理まで体系的に解説します。
三角比の定義
直角三角形による定義
直角三角形において、角Aに対する三角比は次のように定義されます。
- sin A = 対辺 / 斜辺
- cos A = 隣辺 / 斜辺
- tan A = 対辺 / 隣辺
覚え方として「サイン(sin)は対辺を斜辺で割る」「コサイン(cos)は隣辺を斜辺で割る」「タンジェント(tan)は対辺を隣辺で割る」と整理するとよいでしょう。
代表的な角度の三角比
| 角度 | sin | cos | tan |
|---|---|---|---|
| 30度 | 1/2 | √3/2 | 1/√3 |
| 45度 | 1/√2 | 1/√2 | 1 |
| 60度 | √3/2 | 1/2 | √3 |
| 90度 | 1 | 0 | 定義なし |
これらの値は三角定規の形から導き出されます。30度-60度-90度の三角形は辺の比が1:2:√3、45度-45度-90度の三角形は辺の比が1:1:√2です。
鈍角の三角比
単位円による拡張
鈍角(90度より大きく180度より小さい角)の三角比は、単位円(半径1の円)を使って定義されます。
単位円上の点P(x, y)に対して、x軸の正の向きからの角をθとすると、
- sin θ = y
- cos θ = x
- tan θ = y/x
鈍角の三角比の符号
| 三角比 | 0度 < θ < 90度 | 90度 < θ < 180度 |
|---|---|---|
| sin θ | 正 | 正 |
| cos θ | 正 | 負 |
| tan θ | 正 | 負 |
補角の関係
θと180度-θの三角比には次の関係があります。
- sin(180度 - θ) = sin θ
- cos(180度 - θ) = -cos θ
- tan(180度 - θ) = -tan θ
例えば、sin 120度 = sin(180度 - 60度) = sin 60度 = √3/2 と求められます。
三角比の相互関係
三角比の間には重要な3つの関係式があります。
公式1:tan θ = sin θ / cos θ
タンジェントはサインをコサインで割った値です。
公式2:sin^2 θ + cos^2 θ = 1
これは三平方の定理から導かれる最も基本的な関係式です。
公式3:1 + tan^2 θ = 1 / cos^2 θ
公式2の両辺をcos^2 θで割ると得られます。
活用例
sin θ = 3/5 のとき(θは鋭角)、cos θ と tan θ を求めます。
公式2より:cos^2 θ = 1 - sin^2 θ = 1 - 9/25 = 16/25
θは鋭角なのでcos θ > 0より:cos θ = 4/5
公式1より:tan θ = (3/5) / (4/5) = 3/4
正弦定理
定理の内容
三角形ABCの外接円の半径をRとすると、
a / sin A = b / sin B = c / sin C = 2R
ここでa、b、cはそれぞれ角A、B、Cの対辺の長さです。
正弦定理の使い方
正弦定理は次のような場面で使います。
- 1つの辺と2つの角がわかっているとき、他の辺を求める
- 2つの辺と1つの角がわかっているとき、他の角を求める
- 外接円の半径を求める
例題
三角形ABCにおいて、A = 30度、B = 45度、a = 4のとき、bを求めます。
正弦定理より:a / sin A = b / sin B
4 / sin 30度 = b / sin 45度
4 / (1/2) = b / (1/√2)
8 = b√2 → b = 4√2
余弦定理
定理の内容
三角形ABCにおいて、
a^2 = b^2 + c^2 - 2bc cos A
同様に b^2 = a^2 + c^2 - 2ac cos B、c^2 = a^2 + b^2 - 2ab cos C も成り立ちます。
余弦定理の使い方
余弦定理は次のような場面で使います。
- 2辺とその間の角から残りの辺を求める
- 3辺から角を求める
例題
三角形ABCにおいて、b = 5、c = 7、A = 60度のとき、aを求めます。
a^2 = 25 + 49 - 2 x 5 x 7 x cos 60度
a^2 = 74 - 70 x (1/2) = 74 - 35 = 39
a = √39
三角形の面積
面積の公式
三角形ABCの面積Sは次の公式で求められます。
S = (1/2) bc sin A
2辺とその間の角がわかれば面積が求められるので、高さを直接求める必要がありません。
例題
b = 6、c = 8、A = 30度のとき、
S = (1/2) x 6 x 8 x sin 30度 = 24 x (1/2) = 12
まとめ
三角比の学習ポイントを整理します。
- sin、cos、tanの定義を直角三角形と単位円の両方で理解する
- 代表的な角度の三角比の値を確実に覚える
- 相互関係の3つの公式を使いこなせるようにする
- 正弦定理と余弦定理は使う場面を区別する
- 面積の公式は三角比の実用的な活用法として重要
三角比は数学IIの三角関数へとつながる重要な基礎です。公式の丸暗記ではなく、意味を理解して使えるようにしましょう。