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盆踊りガイド|歴史・踊り方・全国の有名盆踊り紹介

盆踊り お盆 阿波おどり 郡上おどり 西馬音内盆踊り
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盆踊りは、お盆の時期に先祖の霊を供養するために踊られてきた日本の伝統的な踊りです。現在では娯楽としての側面が強くなり、全国各地でそれぞれの個性豊かな盆踊りが受け継がれています。この記事では、盆踊りの歴史から基本の踊り方、全国の有名な盆踊りまで詳しくご紹介します。

盆踊りの歴史

起源と発展

盆踊りの起源は、平安時代の僧侶・空也上人が始めた「踊り念仏」にあるとされています。念仏を唱えながら踊ることで、仏の教えを民衆に広めようとしたのが始まりです。

鎌倉時代には一遍上人が「踊り念仏」を全国に広め、室町時代になると先祖供養の盆行事と結びついて「盆踊り」の形が確立しました。江戸時代には庶民の娯楽として大いに発展し、各地で独自の盆踊りが生まれました。

お盆との関係

盆踊りは本来、お盆に帰ってきた先祖の霊を慰め、あの世へ送り出すための踊りです。死者の霊が踊りの輪に加わると信じられており、誰でも参加できるように顔を隠す(編み笠をかぶる)習慣がある地域もあります。

現代では宗教的な意味合いは薄れ、地域コミュニティの交流の場、夏の風物詩として親しまれています。

盆踊りの基本

基本の踊り方

盆踊りは、やぐらを中心に輪になって踊るのが基本です。時計回りに進むのが一般的ですが、地域によって異なる場合もあります。

踊りの基本は「手の動き」と「足の運び」です。多くの盆踊りでは、手を前に出す・引く・回すなどの単純な動作の繰り返しで構成されており、見よう見まねでも踊れるのが盆踊りの良さです。

代表的な盆踊り曲「炭坑節」の基本ステップは以下の通りです。「月が出た出た」で両手を右上に突き出し、「月が出た」で反対に、「掘って掘って」で手を下に向けて掘る動作、「担いで担いで」で担ぐ動作を繰り返します。

定番の盆踊り曲

全国的に踊られる定番曲には、「炭坑節」「東京音頭」「河内おとこ節」「ダンシングヒーロー」などがあります。近年では各地域のオリジナル曲やJ-POPのアレンジも増えています。

日本三大盆踊り

阿波おどり(徳島県徳島市)

阿波おどりは日本最大規模の盆踊りで、毎年8月12日から15日まで開催されます。約400年の歴史を持ち、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」の囃子言葉で全国的に知られています。

「連」と呼ばれるグループ単位で踊られ、三味線・太鼓・鉦・笛のお囃子に合わせて踊ります。男踊りは低い姿勢で力強く跳ね、女踊りは優雅で艶やかな所作が特徴です。

有名連の踊りは芸術的な域に達しており、「阿呆連」「娯茶平」「天水連」などの踊りは一見の価値があります。「にわか連」として飛び入り参加もでき、踊りの輪に加わる楽しさを体験できます。

JR徳島駅から各演舞場まで徒歩約5分。有料演舞場の前売り券は7月頃から販売されます。

郡上おどり(岐阜県郡上市)

郡上おどり(郡上八幡の盆踊り)は、7月中旬から9月上旬まで約30夜にわたって開催される長期間の盆踊りです。日本一長い盆踊りとも呼ばれ、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

最大の見どころは8月13日から16日の「徹夜おどり」です。午後8時から翌朝5時まで夜通し踊り続けるもので、全国から数万人の踊り好きが集まります。

郡上おどりの曲は「かわさき」「春駒」「三百」「猫の子」など10曲あり、それぞれ異なる振付で踊ります。観光客も地元の人も一緒に輪になって踊るのが郡上おどりの真骨頂で、上手下手は関係なく、踊りの輪に入ることが大切です。

下駄を履いて踊るのが郡上おどりの特徴で、石畳にカランコロンと響く下駄の音が独特の情趣を醸し出します。

長良川鉄道郡上八幡駅から徒歩約15分。徹夜おどり期間中は周辺の宿泊施設が満室になるため、早めの予約が必須です。

西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)

西馬音内(にしもない)盆踊りは、毎年8月16日から18日まで開催される、約700年の歴史を持つ盆踊りです。国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

最大の特徴は、踊り手が「編み笠」や「彦三頭巾(ひこさずきん)」で顔を隠して踊ることです。彦三頭巾は黒い頭巾で顔の上半分を覆うもので、その姿は幻想的で、あの世とこの世の境界を感じさせる独特の雰囲気を醸し出します。

踊りの衣装にも特徴があり、端縫い(はぬい)と呼ばれる色鮮やかな着物のパッチワークや、藍染めの浴衣を身にまとった踊り手たちが、篝火の灯りの中で優雅に踊る姿は「亡者踊り」とも呼ばれる幽玄な美しさがあります。

お囃子は「音頭」と「がんけ」の2曲で、「がんけ」のゆったりとした旋律は哀愁を帯びた独特の美しさがあります。

JR湯沢駅からバスで約25分。宿泊施設が限られるため、横手市や湯沢市に宿泊する方法もあります。

全国の特色ある盆踊り

おわら風の盆(富山県富山市八尾町)

おわら風の盆は、9月1日から3日まで開催される格調高い盆踊りです。胡弓の哀切な音色と、編み笠で顔を隠した踊り手の優美な舞が特徴です。坂の町・八尾の風情ある街並みにぼんぼりが灯り、静かに踊る姿は「日本の盆踊りの最高峰」とも評されます。

男踊りは力強く、女踊りは艶やかで、見る者を幽玄の世界に引き込みます。

JR越中八尾駅から徒歩約10分。前夜祭は8月下旬から行われ、本祭より空いているためおすすめです。

花園神社の盆踊り(東京都新宿区)

新宿・花園神社の境内で行われる盆踊りは、都心で楽しめる本格的な盆踊りとして人気です。歌舞伎町のネオンを背景に踊る独特の雰囲気があり、外国人観光客も多く参加します。

エイサー(沖縄県)

沖縄の盆踊りである「エイサー」は、旧盆の時期に各地で行われます。太鼓を打ちながら踊る勇壮な踊りで、沖縄の伝統音楽に合わせた独特のリズムが特徴です。沖縄市の「沖縄全島エイサーまつり」は最大規模の大会で、各地の青年会が技を競います。

盆踊りを楽しむためのマナーとコツ

参加のマナー

盆踊りは基本的に誰でも参加できますが、以下のマナーを守りましょう。踊りの輪の流れに逆らわない、周囲の人にぶつからないよう注意する、写真撮影は周囲の迷惑にならないように配慮する、ゴミは持ち帰る、といった基本的なことが大切です。

服装

浴衣で参加すると雰囲気が出ますが、動きやすい服装であれば普段着でも全く問題ありません。足元は下駄や草履が雰囲気に合いますが、長時間踊る場合はスニーカーの方が足への負担が少ないです。

初心者の楽しみ方

初めての盆踊りでは、まず輪の外側から踊りを観察し、基本の動きを覚えてから輪に入るのがおすすめです。多くの盆踊りでは、同じ振付が繰り返されるため、2〜3回見ればおおよその動きがわかります。間違えても気にする必要はなく、楽しく踊ることが一番大切です。

まとめ

盆踊りは、先祖供養の信仰から生まれた日本固有の文化であり、地域の絆を深める大切な行事です。阿波おどりの華やかさ、郡上おどりの一体感、西馬音内盆踊りの幽玄さ、おわら風の盆の格調――日本各地の盆踊りはそれぞれに深い魅力を持っています。

誰でも気軽に参加できるのが盆踊りの最大の魅力です。踊りの輪に入り、太鼓のリズムに身を委ねてみれば、日本の夏の風情を全身で感じることができるでしょう。

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