3月のお祭り一覧|ひな祭りから春の伝統行事まで紹介
3月は冬から春への移り変わりの時期であり、春の到来を祝う祭りや伝統行事が各地で開催されます。桃の節句として知られるひな祭りをはじめ、東大寺のお水取り、各地の春祭りなど、日本の季節感を味わえる行事が目白押しです。この記事では、3月に行われる代表的なお祭りの歴史・見どころ・アクセスをご紹介します。
3月の祭りの背景
3月は旧暦では「弥生(やよい)」と呼ばれ、草木が芽吹き始める季節です。農耕文化に根ざした日本では、春の到来は一年の農作業の始まりを意味し、豊作を祈願する祭りが各地で行われてきました。
また、3月3日の上巳(じょうし)の節句は、中国から伝わった厄除けの行事が日本で独自に発展し、女の子の健やかな成長を祈る「ひな祭り」として定着しました。
東大寺二月堂お水取り(奈良県奈良市)
歴史と由来
東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)は、752年(天平勝宝4年)に実忠和尚が始めて以来、一度も途絶えることなく続いている行事です。「不退の行法」と呼ばれ、1200年以上の歴史があります。
正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」で、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる11人の僧侶が、人々に代わって十一面観音に罪を懺悔し、天下泰平・万民豊楽を祈ります。
「お水取りが終わると奈良に春が来る」と言われるように、奈良の人々にとっては春の訪れを告げる大切な行事です。
見どころ
修二会は2月の修行期間を経て、3月1日から14日まで本行が行われます。一般に最も知られているのが、毎晩行われる「お松明(おたいまつ)」です。
練行衆が二月堂に上堂する際の道明かりとして、童子と呼ばれる世話役が長さ約6〜8メートルの松明を持って先導します。松明が二月堂の舞台で大きく振り回されると、火の粉が夜空に舞い散り、幻想的な光景が広がります。
特に3月12日の「籠松明(かごたいまつ)」は通常よりも大きく、この日だけは11本の松明が次々と上がります。また、12日深夜(13日未明)には、二月堂下の若狭井(わかさい)から「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われます。これが「お水取り」の名前の由来です。
堂内で行われる声明(しょうみょう)や「走り」「達陀(だったん)」などの秘儀的な行法も、修二会の重要な要素です。
アクセス
近鉄奈良駅から徒歩約25分、またはバスで大仏殿春日大社前下車、徒歩約10分です。
観覧のコツ
3月12日は最も混雑し、入場制限がかかることもあります。1日〜11日、13日・14日は比較的ゆったり見学できます。お松明は19時頃から始まりますが、12日は19時30分開始です。二月堂下の広場での観覧は無料ですが、場所取りは早めに行いましょう。
かつうらビッグひな祭り(千葉県勝浦市)
歴史と由来
かつうらビッグひな祭りは2001年に始まった比較的新しい祭りですが、その規模と華やかさから全国的な人気を集めています。徳島県勝浦町から約7000体のひな人形が寄贈されたことをきっかけに始まりました。
開催期間は2月下旬から3月上旬頃で、期間中は約30000体のひな人形が市内各所に飾られます。
見どころ
最大の見どころは、遠見岬(とみさき)神社の60段の石段に約1800体のひな人形が飾られる光景です。石段いっぱいに並ぶひな人形は壮観で、夕暮れからはライトアップされて幻想的な雰囲気に変わります。
市内の商店や民家の軒先にもひな人形が飾られ、街全体がひな祭り一色に染まります。勝浦市芸術文化交流センター「キュステ」にも大規模なひな人形の展示があります。
地元の海の幸を使った「ひな寿司」や「ひな御膳」などの特別メニューも期間限定で提供されます。
アクセス
JR外房線勝浦駅から徒歩約10分です。東京からJR特急わかしおで約1時間40分です。
観覧のコツ
週末は非常に混雑するため、平日の訪問がおすすめです。石段のひな人形は雨天時は屋内に移されるため、天気予報を確認してから訪れましょう。
東大寺二月堂修二会以外の3月の奈良の行事
春日大社の春日祭(3月13日)
春日大社の例祭「春日祭」は、葵祭・石清水祭と並ぶ三大勅祭の一つです。天皇の使者である勅使が派遣され、国家安泰を祈る厳粛な祭儀が行われます。一般参列はできませんが、参道沿いで行列を見学することは可能です。
高尾山火渡り祭(東京都八王子市)
歴史と由来
高尾山薬王院の火渡り祭は、毎年3月の第2日曜日に開催される修験道の行事です。山伏(やまぶし)たちが護摩の火を焚き、燃え盛る火の上を素足で渡る荒行が行われます。
見どころ
山伏たちが法弓、法剣、法斧などの作法を行った後、護摩壇に火が点じられます。火勢が収まった後、山伏たちが火の上を素足で渡り、続いて一般参加者も火渡りを体験できます。
火渡りに参加すると無病息災のご利益があるとされ、毎年多くの人々が列をなして火の上を渡ります。修験道の厳粛な雰囲気と、火渡りのスリルを同時に体験できる貴重な行事です。
アクセス
京王線高尾山口駅から徒歩約5分の高尾山麓・自動車祈祷殿前広場が会場です。新宿から京王線で約50分です。
観覧のコツ
開始は13時頃ですが、11時頃から場所取りが始まります。一般の火渡り参加は15時頃からで、参加費は無料です。足の裏に傷がある場合は参加を控えましょう。
水戸の梅まつり(茨城県水戸市)
歴史と由来
水戸の梅まつりは、偕楽園と弘道館で毎年2月中旬から3月下旬にかけて開催されます。偕楽園は金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つで、約100品種・3000本の梅が植えられています。
1842年(天保13年)に水戸藩第9代藩主・徳川斉昭によって造られた偕楽園は、「偕(とも)に楽しむ」の名の通り、藩士や庶民にも開放された先進的な庭園でした。
見どころ
早咲きの品種は1月下旬から、遅咲きの品種は3月下旬まで楽しめるため、長期間にわたって梅の花を堪能できます。特に3月上旬は多くの品種が見頃を迎え、園内は梅の甘い香りに包まれます。
期間中は「観梅デー」として野点茶会やライトアップ、物産展などのイベントが開催されます。夜のライトアップでは、梅の花が幽玄な光に照らされ、昼間とは異なる美しさを見せます。
アクセス
JR常磐線水戸駅からバスで約15分です。梅まつり期間中の土日祝日には偕楽園臨時駅に一部の列車が停車します。
観覧のコツ
3月上旬の週末が最も混雑します。平日や朝の早い時間帯が比較的ゆったり鑑賞できます。園内は広いため、歩きやすい靴で訪れましょう。
深大寺だるま市(東京都調布市)
歴史と由来
深大寺だるま市は毎年3月3日・4日に開催される、日本三大だるま市の一つです。深大寺の「厄除元三大師大祭」に合わせて行われ、約300の露店が境内に並びます。
見どころ
境内一面に並ぶだるまの露店は壮観です。大小さまざまなだるまが所狭しと並び、購入しただるまに僧侶が目を入れてくれる「開眼(かいがん)」の儀式が行われます。
深大寺名物の「深大寺そば」も欠かせません。門前にはそば店が軒を連ね、打ちたてのそばを楽しめます。
アクセス
京王線調布駅からバスで約15分、JR吉祥寺駅からもバスで約25分です。
観覧のコツ
3日の午前中が最も賑わいます。だるまを購入する場合は、値引き交渉が文化の一部として楽しまれています。深大寺そばのランチは混雑するため、早めの時間帯がおすすめです。
3月の祭りを楽しむためのポイント
服装
3月は三寒四温の時期で、日によって気温差が大きくなります。重ね着で調整できる服装が基本です。夜のお水取りやライトアップの観覧には、まだ冬用の防寒着が必要です。
春の味覚
3月の祭りでは、桜餅、草餅、甘酒、ひなあられなど春ならではの和菓子を楽しめます。各地の祭り会場周辺では、地元の旬の食材を使った料理も提供されます。
花の見頃との組み合わせ
3月は梅や早咲きの桜が見頃を迎える時期です。祭りの前後に梅林や桜の名所を訪れるプランを立てると、より充実した旅になります。
まとめ
3月のお祭りは、冬の終わりと春の始まりを告げる特別な行事です。お水取りの厳粛な炎、ひな祭りの華やかさ、火渡り祭の修験道の荒行、梅まつりの春の香り、だるま市の活気――それぞれが日本の春を多面的に彩っています。
寒さが和らぎ始める3月は、屋外の祭りも過ごしやすくなる時期です。春の訪れを感じながら、各地のお祭りをぜひ楽しんでみてください。