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霊柩車を見たら親指を隠す?日本独特の迷信の由来

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「霊柩車を見たら親指を隠せ」という迷信は、日本で広く知られている言い伝えの一つです。子どもの頃に教わった記憶がある方も多いのではないでしょうか。ここではこの迷信の由来と背景を詳しく紹介します。

迷信の基本的な内容

親指を隠す理由

霊柩車を見かけたら、すぐに親指を手のひらの中に握り込んで隠すというものです。隠さないと「親が早死にする」「親の死に目に会えない」といった不幸が訪れるとされています。

地域によるバリエーション

この迷信は地域によって細かな違いがあります。

地域言い伝えの内容
関東親指を隠さないと親が早死にする
関西親指を隠さないと親の死に目に会えない
東北両手の親指を隠す
九州霊柩車だけでなく葬列でも隠す

迷信の由来

親指と「親」の関係

この迷信の最も直接的な由来は、「親指」という名前そのものにあります。「親」の「指」だから、それを隠さないと「親」に災いが及ぶという、言葉の連想に基づいた迷信です。日本語の言葉遊びから生まれた典型的な迷信と言えます。

親指は魂の出入り口

日本の民間信仰では、親指は体から魂が出入りする場所とされていました。死者の霊が近くにいるとき(霊柩車が通るとき)に親指を隠すことは、自分の魂を守る行為だと考えられていたのです。

死穢を避ける思想

日本には古くから「死穢(しえ)」を避ける思想があります。死に関わるものは穢れ(けがれ)を持つとされ、それに触れないようにする風習が多くありました。霊柩車は死者を運ぶ車であり、その穢れから身を守るために親指を隠すという解釈もあります。

霊柩車の歴史

宮型霊柩車の誕生

金色の装飾が施された宮型霊柩車は、大正時代に日本で誕生しました。それ以前は棺を担いで運ぶ葬列が一般的でした。宮型霊柩車は神社仏閣を模した装飾が施されており、その独特の外観が死を連想させることから、迷信と結びつきやすかったと考えられます。

現代の霊柩車事情

近年では宮型霊柩車は減少し、外見上は一般の車と区別がつかない洋型霊柩車が主流になっています。宮型霊柩車の減少に伴い、「霊柩車を見たら親指を隠す」という迷信を実践する機会も減りつつあります。

宮型霊柩車が減少した理由

宮型霊柩車が減少した理由の一つは、火葬場周辺の住民からの苦情です。死を連想させる派手な車が頻繁に通ることへの抵抗感から、多くの自治体で宮型霊柩車の乗り入れが制限されるようになりました。

類似する世界の迷信

墓地を通るときの風習

世界各地に墓地を通る際の風習があります。アメリカでは墓地を通るときに息を止めるという迷信があり、霊が口から体に入るのを防ぐためとされています。日本の親指を隠す風習と、体に霊が入ることを防ぐという目的は共通しています。

ヨーロッパの死にまつわる迷信

ヨーロッパにも葬列に出会ったら帽子を脱ぐ、十字を切るなどの風習があります。死者への敬意と自己防衛の両方の意味が込められており、死に対する畏怖は文化を超えて共通するものです。

科学的な解釈

心理的な自己防衛

親指を隠す行為は、不安に対する心理的な自己防衛行動として解釈できます。死に対する恐怖を感じたとき、何か具体的な行動を取ることで不安を軽減しようとする心理が働いています。

おまじないの心理学

不安なときに特定の行動を取ることで安心感を得る心理は、スポーツ選手のルーティンなどにも見られます。科学的な効果はなくても、「守られている」という感覚が心の安定につながることはあります。

子どもへの死の教育

この迷信は、子どもが死という概念に初めて触れるきっかけにもなります。霊柩車を見たときに「親指を隠しなさい」と教えることで、死の存在を間接的に伝え、死を畏れ敬う感覚を育てる効果があったとも考えられます。

まとめ

霊柩車を見たら親指を隠すという迷信は、「親指」という名前にまつわる言葉の連想、魂の出入り口としての親指の信仰、死穢を避ける思想が複合的に作用して生まれたものです。宮型霊柩車の減少とともにこの迷信を実践する機会は減っていますが、死に対する日本人の感覚を伝える興味深い文化として記憶されています。

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