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お盆にまつわる迷信と由来|海に入るなは本当?

お盆 迷信 言い伝え 年中行事
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お盆は日本の夏の代表的な年中行事であり、先祖の霊を迎え供養する期間です。お盆にはさまざまな迷信や言い伝えが伝わっており、中には現代の生活にも影響を与えているものがあります。ここでは、お盆にまつわる迷信の由来と意味を解説します。

お盆の基本

お盆の時期

お盆の時期は地域によって異なります。

地域時期備考
東京など一部地域7月13日~16日新盆(しんぼん)
全国の多くの地域8月13日~16日旧盆(きゅうぼん)
沖縄など旧暦7月13日~15日旧暦に基づく

お盆の由来

お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」で、サンスクリット語の「ウランバナ(ullambana)」に由来するとされています。仏教の経典『盂蘭盆経』に記された目連尊者(もくれんそんじゃ)が餓鬼道に落ちた母を救う物語が起源とされています。

「お盆に海に入ってはいけない」

お盆にまつわる最も有名な迷信のひとつが「お盆に海(川)に入ってはいけない」というものです。

迷信の内容

お盆の時期に海や川で泳ぐと、あの世から戻ってきた霊に足を引っ張られて溺れるという言い伝えがあります。特に「地獄の釜の蓋が開く」とされる7月16日(または8月16日)前後は危険とされています。

実際のリスク

この迷信には科学的な根拠はありませんが、お盆の時期に水の事故が増えやすい要因は実際に存在します。

  • お盆の時期はクラゲが増える季節にあたる
  • 台風シーズンと重なり、離岸流が発生しやすい
  • 水温が表面と深層で大きく異なり、冷水による体調不良が起きやすい
  • 帰省やレジャーで普段泳がない人が海に入ることが増える
  • 土用波と呼ばれるうねりが入りやすい時期

「海に入ってはいけない」という迷信が、結果的に水難事故の予防につながっている側面はあります。

迎え火と送り火

迎え火

お盆の初日(13日)の夕方に焚く火を「迎え火」といいます。先祖の霊が迷わず家に帰ってこられるように道しるべとするためです。麻の茎(おがら)を焙烙(ほうろく)の上で燃やすのが一般的です。

送り火

お盆の最終日(16日)に焚く火を「送り火」といいます。お盆の間家に滞在していた先祖の霊をあの世に送り返すための火です。

大規模な送り火の行事として有名なのが京都の「五山送り火」で、「大」の字をはじめとする文字や形が山に灯されます。

精霊流し

送り火の代わりに、灯籠やお供え物を川や海に流す「精霊流し」を行う地域もあります。長崎の精霊流しは爆竹を鳴らす派手な行事として知られています。

精霊馬の迷信

精霊馬とは

お盆に作る「精霊馬(しょうりょううま)」は、きゅうりとなすに割り箸や楊枝を刺して作る馬と牛の飾りです。

野菜動物意味
きゅうりあの世から早く帰ってくるように(速い馬に乗って)
なすあの世にゆっくり帰るように(遅い牛に乗って)

迎えは馬で早く来てほしい、帰りは牛でゆっくり帰ってほしいという、先祖への思いが込められています。

精霊馬の処分

精霊馬の処分方法にも言い伝えがあります。かつては川に流したり土に埋めたりしていましたが、現代では環境上の理由から塩で清めてから通常のごみとして処分することが多くなっています。

お盆にやってはいけないとされること

お盆期間中にはさまざまな禁忌が伝えられています。

殺生をしてはいけない

お盆の期間中は殺生を避けるべきとされています。仏教の不殺生戒に基づくもので、虫を殺すことも避けるべきとする厳格な考え方もあります。これは先祖の霊が虫や動物の姿で現れるかもしれないという信仰にも関連しています。

水辺に近づいてはいけない

前述のとおり、海や川だけでなく池や用水路にも近づかないほうがよいとされています。霊が水辺に集まるという信仰が背景にあります。

引っ越しをしてはいけない

お盆の時期に引っ越しをすると先祖の霊が新しい家を見つけられなくなるという言い伝えがあります。実用的には、お盆は帰省シーズンであり引っ越しには不向きな時期でもあります。

大きな買い物を避ける

お盆中に車や家などの大きな買い物をすると縁起が悪いとされることがあります。先祖供養に集中すべき期間であるという考えが背景にあります。

新盆(にいぼん・しんぼん)

故人が亡くなって初めて迎えるお盆を「新盆(にいぼん・しんぼん)」または「初盆(はつぼん)」と呼びます。新盆は通常のお盆よりも丁寧に供養を行うとされ、以下のような特別な習慣があります。

  • 白い提灯(白紋天)を飾る
  • 僧侶に棚経(たなぎょう)を依頼する
  • 親族や知人を招いて法要を行う

白い提灯を使うのは新盆だけで、翌年からは絵柄入りの提灯に変わります。白い提灯は新盆が終わったら送り火で燃やすか、菩提寺に納めるのが一般的です。

地域による違い

お盆の迷信や風習は地域によって大きく異なります。

  • 東北地方:「ねぶた(ねぷた)」祭りはお盆の行事に由来するとされる
  • 四国:精霊馬を作らない地域もある
  • 沖縄:「エイサー」の踊りで先祖を供養する
  • 長崎:爆竹を鳴らして精霊流しを行う

まとめ

お盆にまつわる迷信の多くは仏教の思想と日本の祖霊信仰が混ざり合って形成されたものです。「海に入ってはいけない」のように結果的に安全面で意味のある言い伝えもありますが、科学的根拠に基づくものではありません。お盆の風習は先祖を大切にする日本人の精神性を反映した文化的伝統として、現代にも受け継がれています。

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