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スポーツ用語の語源と歴史|意外な由来を紹介

語源 スポーツ 由来 外来語
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スポーツの世界には、英語をはじめとする外来語や、明治時代に作られた日本語訳など、さまざまな語源を持つ用語があふれています。ここでは、身近なスポーツ用語の意外な語源と歴史を紹介します。

野球用語の語源

「野球」という言葉

「野球」は英語の「baseball」を日本語に翻訳した言葉です。この訳語を考案したのは、第一高等中学校(現在の東京大学の前身の一つ)の野球部員だった中馬庚(ちゅうまんかなえ)とされています。1894年に自著の中で初めて「野球」という表記を用いました。

「base」を「塁」、「ball」を「球」と訳す方法もありましたが、「野原で行う球技」という意味で「野球」が定着しました。それ以前は「ベースボール」とそのまま使われていたほか、正岡子規が「球」を「ベースボール」と読ませる表記を使っていたことでも知られています。

ストライクとボール

「ストライク(strike)」は「打つ」という意味の英語です。初期の野球では、バッターが打てる球を見逃した場合に審判が「Strike!(打て!)」と叫んだことに由来します。

「ボール(ball)」は、打てない球(悪球)に対して審判が判定を行う際に使われた言葉です。正式には「unfair ball(不正な球)」の省略形です。

セーフとアウト

「セーフ(safe)」は「安全な」という英語で、走者が塁に無事到達したことを意味します。「アウト(out)」は「外に出る」の意味で、守備側がプレーから退場させることを表しています。

デッドボール

「デッドボール(dead ball)」は和製英語です。英語では「hit by pitch」(投球に当たること)と言います。「dead ball」は英語の野球用語では「プレーが中断された状態の球」を指し、意味が異なります。

サッカー用語の語源

サッカーの語源

「サッカー(soccer)」は、正式名称「Association Football(アソシエーション・フットボール)」の「Association」の略称に接尾辞をつけたものです。19世紀のイギリスの学生が「Association」を「Assoc.」と略し、さらに「soccer」と呼ぶようになりました。

イギリスでは「フットボール」が一般的な呼び名であり、「サッカー」はアメリカ、カナダ、日本などで主に使われる呼称です。

ハットトリック

「ハットトリック(hat trick)」は元々クリケット用語です。1858年、クリケットの試合でH.H.スティーブンソンが3球連続でウィケットを奪った際、その功績を称えて帽子(ハット)が贈られたことに由来するとされています。

この言葉がサッカーに転用され、1試合で3点以上得点することを指すようになりました。

オフサイド

「オフサイド(offside)」は「(正しい)側から外れている」という意味の英語です。軍事用語に由来し、「自分の陣地から外れた位置にいる」ことを表しています。

格闘技・武道の語源

柔道

「柔道」の「柔」は「柔らかい」「しなやかな」という意味で、相手の力を利用して技をかける原理を表しています。「道」は「方法」「精神修養の道」を意味し、単なる格闘術ではなく人間形成を目指す道であることを示しています。

嘉納治五郎が1882年に柔術を体系化して創始した際、「術」ではなく「道」という言葉を選んだのは、技術だけでなく精神面の修養を重視する姿勢の表れです。

相撲(すもう)

「相撲」の語源は「争う」「競い合う」を意味する「すまひ(すまい)」に由来するとされています。古代では「すまひ」と呼ばれ、「相撲」という漢字は後から当てられたものです。

日本書紀には、垂仁天皇の時代に野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)が力比べをした記述があり、これが相撲の起源とされています。

空手(からて)

「空手」は「空(から)の手」、つまり武器を持たない素手の格闘術という意味です。元々は沖縄で「唐手(とうで)」または「唐手(からて)」と書かれ、中国の拳法の影響を受けた武術であることを示していました。

1930年代に、中国を意味する「唐」の字から「空」に改められました。これには仏教の「空(くう)」の思想も込められているとされます。

その他のスポーツ用語

マラソン

「マラソン(marathon)」は、紀元前490年のマラトンの戦いに由来します。ギリシャ軍がペルシャ軍に勝利した際、兵士フィディピデスがマラトンからアテネまで約40kmを走り、勝利を伝えた後に力尽きて亡くなったという伝承が元になっています。

1896年の第1回近代オリンピックで、この故事にちなんだ長距離走競技として「マラソン」が行われました。

ラグビー

「ラグビー(rugby)」は、イギリスのラグビー校(Rugby School)に由来します。1823年にラグビー校のフットボールの試合中に、ウィリアム・ウェブ・エリスという生徒がボールを手に持って走り出したことがラグビーの起源とされています。ただし、この逸話は史実かどうかについては議論があります。

用語語源由来
野球base + ball の翻訳中馬庚による造語
サッカーAssociation の略称イギリスの学生語
柔道柔(しなやか)+ 道嘉納治五郎が命名
マラソンマラトン(地名)古代ギリシャの戦い
ラグビーラグビー校イギリスの学校名

スポーツ用語の語源を知る楽しさ

スポーツ用語の語源を辿ると、そのスポーツが生まれた時代背景や文化を垣間見ることができます。明治時代の日本人が西洋のスポーツを取り入れる際に苦心して作った翻訳語や、古代ギリシャの故事に基づく名称など、それぞれに興味深い歴史があります。試合を観戦する際に、こうした語源の知識があると、スポーツをより深く楽しめるのではないでしょうか。

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