食べ物の名前の意外な語源|由来を知ると面白い
毎日の食卓に並ぶ食べ物の名前には、意外な語源や面白い由来が隠されています。名前の成り立ちを知ると、その食べ物に対する見方が変わるかもしれません。ここでは、身近な食べ物の語源を紹介します。
和食の語源
おにぎり・おむすび
「おにぎり」は「にぎる」(握る)に丁寧の「お」をつけた言葉です。一方、「おむすび」は「むすぶ」(結ぶ)に由来し、古くは神様の力を結び込めるという意味がありました。「産霊(むすひ)」という日本神話の創造の力と関連づける説もあります。
地域によって呼び方が異なり、関東では「おにぎり」、関西では「おむすび」が多いとされますが、明確な線引きはありません。
天ぷら
天ぷらの語源には複数の説があります。有力なのはポルトガル語の「tempero」(調味料、料理)に由来するという説です。また、スペイン語の「templo」(寺院)から来ているとする説や、中国語の「天麩羅」に由来するという説もあります。
16世紀に南蛮貿易を通じて日本に伝わった調理法とされ、当初は「長崎天ぷら」と呼ばれる衣の厚い揚げ物でした。現在のような薄い衣の天ぷらは江戸時代に発展したものです。
寿司
「寿司」の語源は「酸し(すし)」で、酸っぱいという意味です。寿司の原型は魚を塩と飯で発酵させた「なれずし」で、発酵による酸味が特徴でした。
漢字の「寿司」は当て字で、「寿(ことぶき)を司(つかさどる)」と縁起の良い字が選ばれています。他にも「鮨」「鮓」という漢字が使われることがあります。
きんぴらごぼう
「きんぴら」は、江戸時代の人形浄瑠璃に登場する「坂田金平(さかたのきんぴら)」に由来します。金平は坂田金時(金太郎)の息子という設定の架空の人物で、非常に強くたくましいことで知られていました。
唐辛子のピリッとした辛さを金平の勇猛さに見立てて、この料理の名前がつけられました。
たくあん
「たくあん」は臨済宗の僧侶・沢庵宗彭(たくあんそうほう)に由来するという説が広く知られています。沢庵和尚が大根の漬物の製法を考案したとされますが、これは俗説であるという見方もあります。
別の説では、「貯え漬け(たくわえづけ)」が変化して「たくあん」になったとも言われています。
洋食の語源
カレー
カレーの語源はタミル語の「kari」(ソース、汁)とされています。これが英語の「curry」になり、日本には明治時代にイギリス経由で伝わりました。インドの本場のカレーとイギリス式カレーは異なるもので、日本のカレーライスはイギリス式をさらに独自にアレンジしたものです。
コロッケ
フランス料理の「croquette(クロケット)」に由来します。「croquer」は「カリカリとかむ」という意味のフランス語です。明治時代に日本に伝わり、「クロケット」が「コロッケ」に変化しました。
日本では肉屋で売られる庶民の味として定着しましたが、本場フランスのクロケットはベシャメルソース(ホワイトソース)をベースにした上品な料理です。
ハンバーグ
ドイツのハンブルク(Hamburg)に由来します。18世紀頃、ハンブルクでタルタルステーキ(生の挽肉料理)を焼いて食べる料理が広まり、これがアメリカに渡って「ハンバーグステーキ(Hamburg steak)」と呼ばれるようになりました。
ハンバーガーも同じ語源で、ハンバーグステーキをパンに挟んだものです。
お菓子・飲み物の語源
羊羹(ようかん)
「羊羹」は漢字の通り、元々は中国の「羊(ひつじ)の羹(あつもの=スープ)」でした。中国で羊肉のスープを意味する言葉が、日本に伝わる過程で変化しました。
禅僧が中国から持ち帰った際、日本では肉食が忌避されていたため、小豆や葛粉を使った植物性の食品に作り変えられました。それが現在の甘い羊羹へと発展したのです。
カステラ
ポルトガルから伝わった菓子で、スペインの「カスティーリャ(Castilla)王国」のパンを意味する「pao de Castella」が語源とされています。16世紀にポルトガル人が長崎に伝えた南蛮菓子の一つです。
ただし、現在のカステラはポルトガルやスペインの菓子とは異なり、日本独自に発展したものです。
サイダー
英語の「cider」に由来しますが、英語圏で「cider」はリンゴの果汁や果汁酒を指します。炭酸飲料としてのサイダーは和製英語に近い用法です。
日本で最初のサイダーは1868年に横浜で外国人居留地向けに製造されたもので、当初はレモネードに近い飲み物でした。
| 食べ物 | 語源 | 由来する言語 |
|---|---|---|
| 天ぷら | tempero | ポルトガル語 |
| カレー | kari | タミル語 |
| コロッケ | croquette | フランス語 |
| カステラ | Castella | ポルトガル語 |
| パン | pao | ポルトガル語 |
食べ物の語源を知る意味
食べ物の語源を辿ると、日本の食文化がいかに多様な文化の影響を受けてきたかがわかります。ポルトガルやオランダとの南蛮貿易、明治時代の西洋文化の流入、中国との長い交流など、食を通じた文化交流の歴史が名前に刻まれています。普段の食事の中に、こうした歴史の足跡を見つけてみてはいかがでしょうか。