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実は間違っている日本語10選|正しい意味と使い方

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日本語には、多くの人が正しいと思い込んで使っているものの、実は本来の意味とは異なる使い方をしている表現が数多くあります。文化庁の「国語に関する世論調査」でも、誤用が半数以上を占める表現がいくつも報告されています。ここでは、特に間違いやすい日本語を10個取り上げ、本来の正しい意味と使い方を解説します。

1. 「敷居が高い」

よくある誤用

「あの高級レストランは敷居が高い」のように、「レベルが高くて手が出しにくい」「高級で近寄りがたい」という意味で使う人が多くいます。

本来の意味

「敷居が高い」は、不義理や面目のないことがあって、その人の家に行きにくいという意味です。相手に対して後ろめたいことがあり、訪問しづらいという心理を表す言葉です。

正しい使い方の例

  • 借りたお金をまだ返していないので、あの人の家は敷居が高い。
  • 約束を破ってしまったから、先生のところは敷居が高い。

なお、「レベルが高い」「高級で気後れする」の意味で使いたい場合は「ハードルが高い」などの表現が適切です。

2. 「役不足」

よくある誤用

「私には役不足です」のように、「自分の力量では役目を果たせない」という意味で使われることがあります。

本来の意味

「役不足」は、本人の力量に対して役目が軽すぎることを意味します。つまり、実力がありすぎて与えられた役割では物足りないという意味です。

正しい使い方の例

  • あれだけの実力者にこの仕事は役不足だろう。
  • 彼女の能力からすれば、この役職は役不足に違いない。

自分の力量が足りないことを言いたい場合は「力不足」を使うのが正しい表現です。

3. 「確信犯」

よくある誤用

「わかっていてわざとやった」「悪いと知りながら行った」という意味で使われることが非常に多い言葉です。

本来の意味

「確信犯」とは、政治的・宗教的な信念に基づいて、自分の行為が正しいと確信して行う犯罪、またはその犯罪者を指す法律用語です。本人は悪いことだと思っていないという点が重要です。

正しい使い方の例

  • テロリストの犯行は確信犯的な性格を持つ。
  • 信仰上の理由から法を犯した確信犯の扱いは難しい。

「わざと悪いことをする」の意味では「故意犯」という言葉が適切です。

4. 「情けは人のためならず」

よくある誤用

「情けをかけると相手のためにならない」「甘やかすのはよくない」という解釈がされがちです。

本来の意味

「情けは人のためならず」は、「人に情けをかけるのは、その人のためだけではなく、いずれ巡り巡って自分に返ってくるものだ」という意味です。人への親切を勧める教訓的なことわざです。

正しい理解

この「ならず」は「ためではない」の意味であり、「ためにならない」とは異なります。文化庁の調査では、本来の意味を理解している人は半数に満たないという結果が出ています。

5. 「煮詰まる」

よくある誤用

「議論が煮詰まってしまった」のように、「行き詰まる」「結論が出ない」という否定的な意味で使うケースが増えています。

本来の意味

「煮詰まる」は料理用語から転じた表現で、十分に議論や検討が行われて結論が出る段階に達することを意味します。つまり、良い状態を表す言葉です。

正しい使い方の例

  • 長時間の会議を経て、ようやく議論が煮詰まってきた。
  • 企画が煮詰まったので、来週にはプレゼンができるだろう。

「行き詰まる」の意味で使いたい場合は、そのまま「行き詰まる」を使うのが適切です。

6. 「姑息」

よくある誤用

「姑息な手段」のように「卑怯な」「ずるい」という意味で使われることが多い言葉です。

本来の意味

「姑息」は「一時しのぎ」「その場逃れ」を意味する言葉です。「姑」は「しばらく」、「息」は「休む」を意味し、根本的な解決ではなく一時的にしのぐことを表しています。

正しい使い方の例

  • 姑息な対応ではなく、根本的な改革が必要だ。
  • その場しのぎの姑息な措置では問題は解決しない。

7. 「割愛する」

よくある誤用

「時間がないので詳細は割愛します」のように、「不要なものを省略する」という意味で使われることが多くあります。

本来の意味

「割愛」は「惜しいと思うものを手放す」「愛着のあるものを思い切って捨てる」という意味です。「愛」を「割く(さく)」と書くとおり、本来は惜しむ気持ちが含まれています。

正しい使い方の例

  • 素晴らしい内容ですが、紙面の都合上割愛させていただきます。
  • 愛着のある品々を割愛して引っ越しの荷物を減らした。

不要なものを省く場合は「省略する」が適切な表現です。

8. 「潮時」

よくある誤用

「もう潮時だ」のように、「物事の終わり」「引き際」「あきらめるべきタイミング」という否定的な意味で使う人が多くいます。

本来の意味

「潮時」は、もともと漁師の言葉で、潮の満ち引きのちょうど良い時を指します。転じて「物事を行うのにちょうど良い時期」「好機」という意味で使われます。必ずしもやめる時ではなく、何かを始める時にも使えます。

正しい使い方の例

  • 今がまさに独立する潮時だと判断した。
  • 転職するには良い潮時だろう。

9. 「世間ずれ」

よくある誤用

「世間ずれしている」を「世間の常識からずれている」「常識がない」という意味で使う人が多くいます。

本来の意味

「世間ずれ」の「ずれ」は「擦れ」であり、世間を渡ってきた経験から悪賢くなっていることを意味します。純朴さを失い、世渡りに長けている状態を表す言葉です。

正しい使い方の例

  • 彼は若い頃から苦労してきたため、かなり世間ずれしている。
  • 長年の商売で世間ずれした老練な交渉人だ。

10. 「にやける」

よくある誤用

「にやにや笑う」「薄笑いを浮かべる」という意味で使われることが圧倒的に多い言葉です。

本来の意味

「にやける」は漢字で「若気る」と書き、男性がなよなよとした様子をすること、女性のように色めかしい態度をとることを意味します。笑いとは直接関係のない表現です。

正しい使い方の例

  • 彼の仕草はどこかにやけていて、男らしさに欠ける。

ただし、この言葉は現在では「にやにやする」の意味で使う人が大多数を占めており、意味の変化が進んでいる言葉の一つです。

言葉の変化と正しさのバランス

言葉は時代とともに変化するものであり、誤用が広まった結果、新しい意味として辞書に採録されるケースもあります。しかし、本来の意味を知っておくことは教養として重要であり、文章を書く場面やフォーマルな場では正確な意味で使いたいものです。

特にビジネスの場面や文章では、言葉の正しい使い方が信頼性に直結します。日頃から辞書を引く習慣をつけ、正確な日本語を身につけていきましょう。

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