Jupyter Notebook入門|インストールから活用まで
Jupyter Notebookは、Pythonのコードを書いてすぐに実行結果を確認できる対話的な開発環境です。データ分析やグラフの可視化に広く使われています。この記事ではインストールからセル操作、Markdownの書き方、グラフ表示までを初心者向けに解説します。
Jupyter Notebookとは
Jupyter Notebookは、ブラウザ上で動くプログラミング環境です。「ノートブック」と呼ばれるファイル(.ipynb)の中に、コード、実行結果、説明文をまとめて記録できます。
Jupyter Notebookの特徴
- コードをセル単位で実行し、すぐに結果を確認できる
- グラフや表をノートブック内に表示できる
- Markdown記法で説明文を書ける
- 実行結果ごとファイルに保存できるため、分析結果の共有に便利
どんなときに使うか
- データ分析: CSVやExcelのデータを読み込んで集計・可視化
- 機械学習: モデルの学習と評価
- 学習・教育: Pythonの学習やチュートリアルの作成
- プロトタイピング: コードを試行錯誤しながら書く
インストール方法
pipでインストール
# 仮想環境を作成して有効化
python -m venv venv
source venv/bin/activate # Windows: venv\Scripts\activate
# Jupyter Notebookをインストール
pip install notebook
Jupyter Notebookの起動
# Jupyter Notebookを起動
jupyter notebook
コマンドを実行すると、自動的にブラウザが開いてJupyterのダッシュボードが表示されます。表示されない場合は、ターミナルに表示されるURL(http://localhost:8888/...)をブラウザに貼り付けてください。
新しいノートブックの作成
ダッシュボードの右上にある「New」ボタンをクリックし、「Python 3」を選択すると、新しいノートブックが開きます。
セルの基本操作
Jupyter Notebookでは、コードや説明文を「セル」という単位で管理します。
セルの種類
- Code: Pythonのコードを記述・実行するセル
- Markdown: 説明文を記述するセル
- Raw: そのまま出力されるセル(あまり使わない)
コードセルの実行
セルにコードを入力して実行するには、以下のキーを使います。
Shift + Enter : セルを実行して次のセルに移動
Ctrl + Enter : セルを実行(移動しない)
Alt + Enter : セルを実行して新しいセルを追加
コードセルの例
# セル1: 変数を定義
name = "Python"
version = 3.12
print(f"{name} {version}")
# 実行結果
Python 3.12
# セル2: 前のセルで定義した変数を使える
print(f"{name}を学習中です")
# 実行結果
Pythonを学習中です
セル間で変数を共有できるため、段階的にコードを書いて動作を確認できます。
セルの操作ショートカット
セルの外側をクリックした状態(コマンドモード)で使うショートカットです。
A : 上にセルを追加
B : 下にセルを追加
DD : セルを削除(Dを2回押す)
M : セルをMarkdownに変更
Y : セルをCodeに変更
Z : 操作を元に戻す
Ctrl + S : ノートブックを保存
セルの中をクリックすると編集モードに切り替わります。Escキーでコマンドモードに戻ります。
Markdownセルの書き方
Markdownセルを使うと、コードの説明や分析の考察をノートブック内に記述できます。
基本的なMarkdown記法
# 見出し1
## 見出し2
### 見出し3
**太字のテキスト**
*斜体のテキスト*
- リスト項目1
- リスト項目2
- ネストしたリスト
1. 番号付きリスト1
2. 番号付きリスト2
`インラインコード`
数式の記述
Jupyter NotebookではLaTeX記法で数式を書けます。
インライン数式: $y = ax + b$
ブロック数式:
$$
\bar{x} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i
$$
テーブルの記述
| 項目 | 値 |
|------|------|
| 平均 | 75.3 |
| 中央値 | 72.0 |
| 標準偏差 | 12.5 |
Markdownセルを実行(Shift + Enter)すると、整形された表示に切り替わります。
グラフの表示
Jupyter Notebookの大きな強みは、グラフをノートブック内に直接表示できることです。
matplotlibでグラフを描画
import matplotlib.pyplot as plt
# 日本語表示の設定(環境に応じて調整)
plt.rcParams['font.family'] = 'sans-serif'
# 折れ線グラフ
months = ['1月', '2月', '3月', '4月', '5月', '6月']
sales = [120, 135, 150, 142, 168, 175]
plt.figure(figsize=(8, 4))
plt.plot(months, sales, marker='o')
plt.title('Monthly Sales')
plt.xlabel('Month')
plt.ylabel('Sales')
plt.grid(True)
plt.show()
棒グラフと円グラフ
import matplotlib.pyplot as plt
# 棒グラフ
categories = ['A', 'B', 'C', 'D']
values = [25, 40, 30, 35]
fig, axes = plt.subplots(1, 2, figsize=(12, 4))
axes[0].bar(categories, values, color=['#4CAF50', '#2196F3', '#FF9800', '#F44336'])
axes[0].set_title('Bar Chart')
# 円グラフ
axes[1].pie(values, labels=categories, autopct='%1.1f%%')
axes[1].set_title('Pie Chart')
plt.tight_layout()
plt.show()
pandasとの連携
import pandas as pd
# CSVファイルを読み込む
df = pd.read_csv('data.csv')
# データの先頭5行を表示(テーブル形式で表示される)
df.head()
# 基本統計量を表示
df.describe()
# pandasのplotメソッドでグラフを描画
df['sales'].plot(kind='bar', figsize=(8, 4), title='Sales by Category')
plt.show()
pandasのDataFrameはJupyter Notebookで自動的にテーブル形式で表示されるため、データの確認がしやすくなります。
便利な機能
マジックコマンド
Jupyter Notebookには、先頭に%をつけて使う特別なコマンドがあります。
# セルの実行時間を計測
%%time
result = sum(range(1000000))
# 実行結果
# CPU times: user 25.6 ms, sys: 0 ns, total: 25.6 ms
# Wall time: 25.7 ms
# 環境内のパッケージを確認
%pip list
# 変数の一覧を表示
%who
# 現在のディレクトリを表示
%pwd
シェルコマンドの実行
セルの先頭に!をつけると、シェルコマンドを実行できます。
# ファイルの一覧を表示
!ls
# パッケージをインストール
!pip install seaborn
ノートブックのエクスポート
メニューの「File」から「Download as」を選ぶと、ノートブックを別の形式でエクスポートできます。
.py: Pythonスクリプト.html: HTMLファイル(ブラウザで閲覧可能).pdf: PDFファイル
よくあるトラブルと対策
カーネルが応答しない
無限ループなどでカーネルが停止した場合は、メニューの「Kernel」から「Restart」を選んでカーネルを再起動します。再起動するとすべての変数がリセットされるため、必要なセルを上から順に再実行してください。
グラフが表示されない
matplotlibのグラフが表示されない場合は、以下のマジックコマンドをノートブックの先頭で実行してください。
%matplotlib inline
最新のJupyter Notebookではこの設定がデフォルトで有効になっていますが、環境によっては明示的に指定する必要があります。
セルの実行順序に注意
セルは任意の順序で実行できますが、変数の定義順序に注意が必要です。上のセルで定義した変数を使う場合は、必ず先にそのセルを実行してください。最終的にノートブックを共有する前に「Kernel」から「Restart & Run All」を実行して、上から順にすべて正しく動くことを確認しましょう。
まとめ
Jupyter Notebookは、Pythonのコードを対話的に実行できる環境です。セル単位でコードを実行し、グラフや表をその場で確認できます。Markdownセルで説明文を追加すれば、分析レポートとしてもそのまま使えます。まずはpip install notebookでインストールして、簡単なコードの実行とグラフ表示を試してみてください。