中部地方の城ガイド|松本城・犬山城・金沢城・丸岡城
中部地方は、国宝天守を2つ擁する城めぐりの聖地ともいえる地域です。松本城、犬山城の国宝天守をはじめ、金沢城、丸岡城、名古屋城、岡崎城など、歴史的に重要な城が数多く点在しています。この記事では、中部地方を代表する城郭の歴史と見どころ、アクセス情報を紹介します。
松本城(長野県松本市)
松本城は、五重六階の天守を持つ国宝の城です。
歴史
松本城の前身は、戦国時代に小笠原氏が築いた深志城です。その後、武田氏、織田氏を経て、1590年に石川数正が入城し、近世城郭として整備されました。現在の天守は、石川数正とその子・康長の時代(1593年〜1594年頃)に築かれたとされています。その後、松平氏、堀田氏、水野氏、戸田氏と城主が替わりながら、明治維新を迎えました。
見どころ
天守は黒い下見板張りの外観が印象的で、「烏城(からすじょう)」の異名を持ちます。五重六階の大天守、乾小天守、渡櫓、辰巳附櫓、月見櫓の五棟が連なる複合連結式の天守群は、国宝に指定されています。天守最上階からは北アルプスの山並みを一望でき、四季折々の絶景が広がります。堀に映る逆さ天守は、松本城を代表する撮影スポットです。
アクセスと周辺情報
JR松本駅から徒歩約15分です。城下町の中町通りや縄手通りには、蔵造りの商家や土産物店が並び、散策が楽しめます。浅間温泉や美ヶ原温泉も近く、城めぐりと温泉を組み合わせた旅がおすすめです。
犬山城(愛知県犬山市)
犬山城は、木曽川沿いの丘に建つ国宝天守の城です。
歴史
犬山城は、1537年に織田信康(織田信長の叔父)によって築かれたと伝えられています。戦国時代には尾張と美濃の国境に位置する軍事上の要衝として、たびたび戦いの舞台となりました。江戸時代には尾張藩の付家老・成瀬氏が城主となり、明治維新後も成瀬家が個人で所有するという全国的にも珍しい歴史を持ちます。2004年に財団法人に移管されました。
見どころ
天守は三重四階地下二階の望楼型で、現存天守のなかでも最古級と言われています。天守最上階の回廊(高欄の間)からは、木曽川と濃尾平野を360度見渡すことができます。回廊は手すりが低く、スリルのある眺望体験です。天守内部の急な階段や木の質感から、往時の天守の雰囲気を存分に味わうことができます。城下の犬山城下町は、江戸時代の町割りを残す風情ある通りで、食べ歩きスポットとしても人気です。
アクセスと周辺情報
名鉄犬山遊園駅から徒歩約15分、または名鉄犬山駅から徒歩約20分です。木曽川の鵜飼い(5月〜10月)と組み合わせて訪問するのもおすすめです。
金沢城(石川県金沢市)
金沢城は、加賀百万石の前田家の居城として知られる名城です。
歴史
金沢城の前身は、一向一揆の拠点であった金沢御堂です。1583年に前田利家が入城し、以後、前田家の居城として明治維新まで約280年間にわたって加賀藩の中心でした。天守は1602年の落雷で焼失し、以後再建されませんでした。その代わりに三階櫓が城のシンボルとして機能しました。
見どころ
金沢城は「石垣の博物館」と呼ばれるほど多様な石垣が残っていることが最大の特徴です。野面積み、打込接ぎ、切込接ぎの三種がすべて揃い、色紙短冊積みや亀甲積みなどの装飾的な石垣も見ることができます。2001年に木造で復元された菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓は、伝統的な築城技術を現代に伝える貴重な建造物です。玉泉院丸庭園も復元され、ライトアップも行われています。隣接する兼六園とあわせて訪問するのが定番のコースです。
アクセスと周辺情報
JR金沢駅からバスで約15分です。兼六園、ひがし茶屋街、近江町市場など、城下町の観光スポットが豊富です。
丸岡城(福井県坂井市)
丸岡城は、石瓦が特徴的な現存天守の城です。
歴史
丸岡城は、1576年に柴田勝家の甥・柴田勝豊によって築かれました。その後、城主は安井家、本多家、有馬家と替わりました。天守の建築年代については、1576年の築城時とする説と、寛永年間(1624年〜1644年)に建てられたとする説があり、議論が続いています。
見どころ
天守は二重三階の独立式で、笏谷石(しゃくだにいし)の石瓦を使用しているのが最大の特徴です。通常の粘土瓦ではなく石の瓦を使うのは、北陸の豪雪に耐えるための工夫とされます。天守内部の階段は非常に急で、ロープを使って上り下りする箇所もあり、往時の城の厳しさを体感できます。城の周囲には約400本の桜が植えられており、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。
アクセスと周辺情報
JR丸岡駅からバスで約20分です。東尋坊や永平寺など、福井県の観光スポットと組み合わせた旅がおすすめです。
名古屋城(愛知県名古屋市)
名古屋城は、徳川御三家筆頭の尾張徳川家の居城です。
歴史
名古屋城は、1610年に徳川家康の命により天下普請で築かれました。西国大名への備えとして、20家の大名が動員されて石垣が築かれました。天守は1945年の空襲で焼失し、1959年に鉄筋コンクリート造で外観復元されました。本丸御殿は2018年に木造で完全復元され、往時の豪華絢爛な内装を見ることができます。
見どころ
本丸御殿は、障壁画や天井画が精緻に復元されており、名古屋城最大の見どころです。特に上洛殿の極彩色の障壁画は圧巻です。石垣は天下普請で築かれた堅固なもので、各大名の刻印が多数確認されています。西南隅櫓、東南隅櫓、西北隅櫓の三つの隅櫓は、現存する重要文化財です。
アクセスと周辺情報
名古屋市営地下鉄名城線「市役所」駅から徒歩約5分です。名古屋市中心部にあり、アクセスは良好です。
岡崎城(愛知県岡崎市)
岡崎城は、徳川家康の生誕地として知られる城です。
歴史と見どころ
岡崎城は、15世紀に西郷氏が築いた城を、松平氏(のちの徳川氏)が居城としたものです。1542年に徳川家康がこの城で生まれました。天守は1959年に鉄筋コンクリート造で復興されました。城内には家康ゆかりの史跡が点在し、「三河武士のやかた家康館」では家康の生涯を学ぶことができます。
アクセス
名鉄東岡崎駅から徒歩約15分です。
高遠城(長野県伊那市)
高遠城は、桜の名所として名高い山城跡です。
歴史と見どころ
高遠城は、武田氏の家臣・秋山信友が城主を務めた城で、1582年の織田信忠による攻城戦で知られています。城主の仁科盛信(武田信玄の五男)が奮戦の末に討ち死にした悲劇の城です。現在、天守や石垣は残っていませんが、約1,500本のタカトオコヒガンザクラが植えられ、「天下第一の桜」と称される花見の名所です。
アクセス
JR伊那市駅からバスで約25分です。桜の見頃は例年4月上旬から中旬です。
中部の城めぐりモデルコース
中部地方の城を効率よく巡るモデルコースを提案します。
2泊3日コース
1日目は名古屋城と犬山城を巡ります。名古屋を起点に、午前中に名古屋城、午後に犬山城を訪問します。2日目は松本城と高遠城を巡ります。名古屋から特急で松本に移動し、松本城を見学後、高遠城へ足を延ばします。3日目は金沢城と丸岡城を巡ります。松本から金沢へ移動し、金沢城と兼六園を見学後、丸岡城を訪問します。
城下町グルメも楽しむ
中部地方の城下町は、それぞれ独自の食文化を持っています。名古屋の味噌カツや手羽先、松本のそば、金沢の海鮮、犬山の城下町グルメなど、城めぐりとあわせて各地の味覚も楽しんでみてください。
まとめ
中部地方は、国宝天守の松本城と犬山城をはじめ、金沢城、丸岡城、名古屋城など、個性豊かな名城が集まる城めぐりの好適地です。それぞれの城が異なる歴史と特徴を持ち、石垣の技術、天守の構造、城下町の文化など、多角的に城の魅力を楽しむことができます。