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弘前城の歴史と見どころ|桜の名所として名高い北の名城

弘前城 現存天守 100名城 青森県
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青森県弘前市に佇む弘前城は、東北地方で唯一の現存天守を持つ城です。津軽氏の居城として約260年にわたる歴史を刻み、現在は弘前公園として市民に愛されています。春には約2,600本の桜が咲き誇り、「日本一の桜の名所」とも称される弘前城。日本100名城にも選ばれたこの北国の名城の歴史と魅力を詳しくご紹介します。

弘前城の歴史

弘前城は、津軽藩初代藩主・津軽為信が1603年(慶長8年)に築城を計画したことに始まります。しかし、為信は築城を見届けることなく1607年に没し、実際に城を完成させたのは二代藩主・津軽信枚(のぶひら)でした。1611年(慶長16年)に城が完成し、弘前藩の藩庁として機能を開始しました。

当初の天守は五層の壮大なものでしたが、1627年(寛永4年)に落雷で焼失してしまいます。その後、約200年にわたって天守のない状態が続きました。現在の天守は、1810年(文化7年)に九代藩主・津軽寧親(やすちか)が幕府の許可を得て再建したもので、本丸南東隅の辰巳櫓を改築する形で建てられました。三層三階の天守は規模こそ控えめですが、東北の厳しい気候に耐え、200年以上の歴史を持つ貴重な現存建造物です。

明治維新後、弘前城は1895年に弘前公園として一般に開放されました。1903年ごろから桜の植樹が始まり、以来、桜の名所として全国的に知られるようになりました。現存する天守は1952年に国の重要文化財に指定されています。

建築と城郭の特徴

弘前城は、岩木山を背にした台地の上に築かれた平山城です。本丸、二の丸、三の丸、四の丸、北の郭、西の郭の6つの郭から成り、三重の水堀と土塁で守られています。総面積は約49万平方メートルと、東北地方屈指の広さです。

現存する天守は三層三階建てで、高さ約14.4メートルです。白壁と黒い板張りが交互に見える外観は、東北の城に多く見られる素朴な美しさがあります。天守内部は展示室となっており、津軽藩の歴史資料や藩士の武具が展示されています。

弘前城には天守のほかにも、5棟の城門と3棟の櫓が現存しています。いずれも重要文化財に指定されており、一つの城にこれだけの現存建造物が残っているのは全国的にも珍しいことです。特に追手門(大手門)は、弘前城の正門として堂々たる風格を備えています。

城の北側には北の郭があり、武徳殿休憩所から天守と岩木山を望む眺めは格別です。冬には雪をかぶった岩木山と天守のコントラストが、津軽ならではの趣深い風景を見せてくれます。

桜まつりと四季の魅力

弘前城の最大の魅力といえるのが、毎年4月下旬から5月上旬にかけて開催される「弘前さくらまつり」です。約2,600本の桜が城内を埋め尽くし、期間中は200万人以上が訪れる日本を代表する桜の名所です。

弘前の桜が特別に美しいとされる理由のひとつに、独自の剪定技術があります。りんごの剪定技術を桜に応用した「弘前方式」により、一つの花芽から咲く花の数が通常より多く、ボリューム感のある花付きが実現しています。満開の桜は「桜のじゅうたん」とも表現されるほど密度が濃く、他の桜の名所とは一線を画す美しさです。

外堀の水面に散った花びらが一面に広がる「花筏(はないかだ)」は、弘前さくらまつりの象徴的な風景です。ピンク色に染まった堀の水面は幻想的で、多くの写真家や観光客を魅了しています。夜桜のライトアップも行われ、ぼんぼりに照らされた桜と天守の姿は夢のような美しさです。

桜の季節以外にも、弘前城は四季を通じて楽しめます。夏は緑深い城内で涼をとることができ、秋には約1,000本のカエデが色づく紅葉まつりが開催されます。冬は「弘前城雪燈籠まつり」が行われ、雪と光のアートが城を幻想的に彩ります。

石垣修理と天守の曳家

弘前城では現在、本丸石垣の大規模な修理工事が進められています。天守が建つ本丸の石垣は、長年にわたって外側に膨らむ「はらみ」が進行しており、このまま放置すると崩落の危険があるためです。

この修理に際して、2015年に天守を約70メートル移動させる「曳家(ひきや)」が行われました。天守の重量は約400トンですが、レールの上を滑らせる技術で3か月かけて仮設の場所に移されました。天守が石垣から離れた状態は100年ぶりのことで、普段は見られない角度から天守を鑑賞できる貴重な機会となっています。

石垣の修理は一つひとつの石を取り外し、積み直す地道な作業です。石垣には約3,000個の石が使われており、すべての石に番号をつけて元の位置に戻す作業が進められています。修理完了は2025年度以降の予定で、天守が元の位置に戻されるのはさらにその後になります。

アクセスと見学情報

弘前城へのアクセスは、JR弘前駅から路線バスで約15分「市役所前」下車徒歩約5分、または徒歩で約30分です。東京からは東北新幹線で新青森駅まで約3時間、新青森から弘前まではJR奥羽本線で約30分です。弘前空港はありませんが、青森空港からはバスで約55分です。

弘前公園の入園は無料ですが、本丸・北の郭エリアの有料区域は大人320円、子供100円です。さくらまつり期間中はさらに広い範囲が有料となります。天守の開館時間は9時から17時(さくらまつり期間中は7時から21時)です。

弘前は城下町の面影を残す街で、城の周辺には仲町武家屋敷街や禅林街など歴史ある街並みが広がっています。また、弘前はりんごの産地としても有名で、アップルパイの食べ歩きマップも人気です。城めぐりと合わせて、津軽の文化と食を楽しんでみてください。

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