名古屋城の歴史と見どころ|金鯱と本丸御殿の魅力
名古屋のシンボルとして親しまれる名古屋城は、徳川家康が天下普請によって築かせた尾張徳川家の居城です。天守に輝く金の鯱(しゃちほこ)は名古屋の象徴として知られ、2018年に完成公開された本丸御殿は、江戸時代の最高峰の書院造を忠実に復元した傑作です。日本100名城のひとつである名古屋城の歴史と見どころを詳しくご紹介します。
名古屋城の歴史
名古屋城の前身は、1525年ごろに今川氏親が築いた「那古野城(なごやじょう)」です。その後、織田信秀が奪取し、信長が幼少期を過ごした城としても知られています。しかし、信長が清須城に拠点を移すと那古野城は廃城となりました。
現在の名古屋城は、1610年(慶長15年)に徳川家康の命で築城が開始されました。関ヶ原の戦い後、大坂の豊臣家への備えとして、また東海道の要衝を押さえる目的で計画されたものです。家康は加藤清正、福島正則、前田利光ら西国の20大名に命じて「天下普請」として工事を進め、わずか2年ほどで天守が完成しました。
特に有名なのは、加藤清正が担当した天守台の石垣です。清正石と呼ばれる巨石が今も残り、築城時の技術力の高さを物語っています。完成した名古屋城は初代藩主・徳川義直の居城となり、以後、尾張徳川家の居城として幕末まで続きました。
明治以降も名古屋城は保存され、1930年には城郭建築として初めて国宝に指定されました。しかし、1945年5月14日の名古屋大空襲により天守閣と本丸御殿が焼失。この戦災は名古屋城にとって最大の損失となりました。現在の天守閣は1959年に鉄筋コンクリートで再建されたもので、内部は博物館として利用されています。
金鯱の歴史と秘密
名古屋城といえば金鯱(きんしゃち)。天守の大棟の両端に載る一対の金鯱は、名古屋城の象徴であるとともに名古屋の街のシンボルでもあります。
初代の金鯱は、慶長期の築城時に造られたもので、純金の板(慶長大判)で覆われていました。使用された金の量は1,940枚(約215キログラム)にのぼると記録されています。この金鯱は城主の権威と財力を誇示するものであり、防火のまじないとしての意味も持っていました。
江戸時代を通じて、藩の財政難により金鯱の金の純度は徐々に下げられていきました。改鋳のたびに金の含有率が低下し、最終的には当初の品質からかなり落ちたものになっていたと言われています。
戦災で焼失した金鯱は、1959年の天守再建時に新たに制作されました。現在の金鯱には約88キログラムの18金が使用されています。雄(北側)は約2.62メートル、雌(南側)は約2.57メートルの大きさで、名古屋の空に黄金色に輝いています。
復元された本丸御殿
名古屋城の最大の見どころのひとつが、2018年に完成公開された本丸御殿です。1615年に徳川家康の命で建てられた本丸御殿は、京都二条城の二の丸御殿と並ぶ武家風書院造の最高傑作とされていましたが、天守とともに空襲で焼失しました。
幸いなことに、焼失前に詳細な実測図や写真、障壁画の大部分が保存されていたため、忠実な復元が可能となりました。復元工事は2009年に着工し、玄関・表書院(第一期)、対面所・下御膳所(第二期)、上洛殿(第三期)と段階的に進められ、2018年6月に全体が完成公開されました。総工費は約150億円です。
復元された本丸御殿の内部は、豪華絢爛な障壁画で彩られています。特に上洛殿は、三代将軍・徳川家光の上洛に合わせて増築されたもので、狩野探幽をはじめとする狩野派の絵師たちによる障壁画が壁面を飾ります。金箔をふんだんに使った装飾は、江戸時代初期の最高水準の美術工芸を今に伝えるものです。
復元にあたっては、木材の選定から彫刻、金具、障壁画の模写に至るまで、伝統技法が可能な限り採用されました。現代の技術で当時の意匠を再現するこの取り組みは、文化財復元のモデルケースとしても高く評価されています。
アクセスと見学情報
名古屋城へは、地下鉄名城線「市役所駅」7番出口から徒歩5分、または名鉄瀬戸線「東大手駅」から徒歩15分です。名古屋駅からは地下鉄で約10分とアクセス良好です。なごや観光ルートバス「メーグル」も名古屋城に停車します。
入場料は大人500円、中学生以下は無料です。本丸御殿の見学は入場料に含まれています。開園時間は9時から16時30分(天守閣・本丸御殿への入場は16時まで)です。
本丸御殿は靴を脱いで見学するため、脱ぎ履きしやすい靴がおすすめです。内部は撮影可能ですが、障壁画への接触は厳禁です。見学所要時間は天守閣と本丸御殿を合わせて約1時間半から2時間が目安です。
名古屋城の二之丸庭園は名勝に指定されている回遊式庭園で、四季折々の花が楽しめます。春の桜、秋の紅葉の時期には多くの来園者で賑わいます。名古屋グルメと合わせて、城下町の雰囲気を楽しむ一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
名古屋城は、徳川幕府の威光を示す壮大な城郭であり、金鯱と本丸御殿という二つの大きな見どころを持つ名城です。天下普請で築かれた石垣の迫力、忠実に復元された御殿建築の美しさ、そして金色に輝く鯱の姿は、訪れる人に江戸時代の栄華を実感させてくれます。木造天守復元の計画も進められており、これからも目が離せない城のひとつです。