山陰地方の城ガイド|松江城・鳥取城・津和野城を紹介
山陰地方は、国宝・松江城をはじめとする個性豊かな城が点在する城めぐりの好適地です。戦国時代の激しい攻城戦の舞台となった鳥取城、山間に佇む津和野城、尼子氏の堅城・月山富田城など、山陰の城は歴史の奥深さを感じさせてくれます。この記事では、山陰地方を代表する城郭の歴史と見どころ、アクセス情報を紹介します。
松江城(島根県松江市)
松江城は、山陰地方を代表する名城であり、2015年に国宝に指定されました。
歴史
松江城は、1607年に堀尾吉晴によって築城が開始され、1611年に完成しました。堀尾氏のあとは京極氏を経て、1638年に松平直政が入城し、以後、松平家が明治維新まで松江藩主として城を守りました。明治維新後の廃城令の際には、地元の有志が買い戻して取り壊しを免れたという歴史があります。
見どころ
天守は四重五階地下一階の複合式で、実戦を意識した質実剛健な造りが特徴です。天守には「附櫓」が接続されており、天守への入口を防御する構造になっています。天守最上階の望楼からは、宍道湖と松江市街を一望する絶景が広がります。天守内部には、祈祷札が打ち付けられた柱や、包板(つつみいた)と呼ばれる柱の補強技法など、築城当時の技術を間近に観察できる見どころがあります。
堀を小舟で巡る「堀川めぐり」も松江城の大きな魅力です。約50分かけて城の周囲を一周する遊覧船は、四季折々の景色を楽しめます。冬季にはこたつ船も運航されます。
アクセスと周辺情報
JR松江駅からバスで約10分です。松江城の周辺には、小泉八雲記念館や武家屋敷が並ぶ塩見縄手があり、城下町散策を楽しめます。宍道湖の夕日は「日本の夕陽百選」にも選ばれた絶景で、城めぐりのあとに訪れるのがおすすめです。玉造温泉も近く、城めぐりと温泉の組み合わせも可能です。
鳥取城(鳥取県鳥取市)
鳥取城は、秀吉の兵糧攻めで知られる山城と、近世の石垣が共存する城です。
歴史
鳥取城の歴史は古く、戦国時代には因幡国の拠点として重要な役割を果たしました。1581年の鳥取城の戦いでは、豊臣秀吉が約4か月にわたる兵糧攻めで城を落としました。「鳥取の渇え殺し」として知られるこの戦いは、日本の攻城戦史上でも特筆すべき凄惨な戦いでした。江戸時代には池田氏が城主となり、山麓に近世城郭が整備されました。
見どころ
鳥取城は、山頂部分の中世山城と、山麓の近世城郭が一体となった独特の構造を持っています。山頂の天守台跡からは、鳥取市街と日本海を見渡す壮大な眺望が得られます。山頂までの登山道はやや険しいですが、30分ほどで到着できます。
山麓部分には、石垣が美しく残されています。特に注目すべきは「天球丸」と呼ばれる曲輪にある巻石垣です。石垣が崩壊するのを防ぐために丸い形に積み足された珍しい石垣で、全国的にもほとんど例がないとされています。仁風閣(じんぷうかく)は、明治時代に建てられた洋風建築で、国の重要文化財に指定されています。
アクセスと周辺情報
JR鳥取駅から徒歩約30分、またはバスで約10分です。鳥取砂丘と組み合わせた観光プランが人気です。
津和野城(島根県津和野町)
津和野城は、山陰の小京都と呼ばれる津和野の町を見下ろす山城です。
歴史
津和野城は、1295年に吉見頼行が築城したと伝えられています。その後、吉見氏が約300年にわたって城主を務めました。関ヶ原の戦い後には坂崎直盛、ついで亀井氏が城主となり、亀井氏が明治維新まで津和野藩主として治めました。山頂の城郭は、三十間台と呼ばれる本丸を中心に、石垣が山の尾根に沿って連なる壮大な構成です。
見どころ
津和野城の最大の見どころは、山頂に残る石垣群です。標高約367メートルの山頂に積まれた石垣は、霧に包まれることも多く、幻想的な雰囲気を醸し出します。天守台や三十間台からの眺望は素晴らしく、津和野の町並みと周囲の山々を一望できます。
城跡へのアクセスには、リフトを利用することができます。リフトの終点から本丸までは、さらに徒歩約20分の山道を歩きます。山道は整備されていますが、滑りやすい箇所もあるため、歩きやすい靴で訪問してください。
麓の津和野の町は、白壁と堀割に錦鯉が泳ぐ美しい町並みで知られます。殿町通りの武家屋敷跡や太皷谷稲成神社など、城下町の散策もあわせて楽しめます。
アクセスと周辺情報
JR津和野駅から徒歩約30分でリフト乗り場に到着します。津和野は山口県の萩と結ぶ路線もあり、萩城と組み合わせた旅も可能です。
月山富田城(島根県安来市)
月山富田城は、尼子氏の居城として知られる中国地方屈指の山城です。
歴史
月山富田城は、尼子経久をはじめとする尼子氏の拠点として、戦国時代に中国地方の覇権争いの中心的な舞台となりました。山中鹿介の奮戦でも知られるこの城は、難攻不落の要塞として恐れられました。毛利元就が攻め落とすまでに長い年月を要したとされ、その防御力の高さが窺えます。関ヶ原の戦いの後、堀尾吉晴が入城しましたが、山城の不便さから松江に居城を移しました。
見どころ
月山富田城は、標高約197メートルの月山に築かれた大規模な山城です。山頂部の本丸跡、二の丸跡、三の丸跡には石垣が残されており、山中御殿跡の広大な平坦地は城の規模の大きさを物語っています。花ノ壇と呼ばれる曲輪には復元建物があり、往時の山城の雰囲気を感じることができます。
登山道は整備されていますが、山頂まで約30分の登りがあります。山頂からの中海と島根半島の眺望は格別です。安来市立歴史資料館では、月山富田城と尼子氏の歴史を詳しく学ぶことができます。
アクセスと周辺情報
JR安来駅からバスで約30分です。安来節で有名な安来市は、足立美術館も近くにあり、城めぐりとあわせた観光が楽しめます。
米子城(鳥取県米子市)
米子城は、山陰地方有数の石垣を持つ平山城跡です。
歴史と見どころ
米子城は、1591年に吉川広家が築城し、その後、中村一忠が大規模に改修しました。天守は現存していませんが、本丸の高石垣が見事に残されています。標高約90メートルの湊山の山頂にあった天守台からは、中海、大山、日本海を一望する360度のパノラマが広がります。「国史跡」に指定されており、近年は整備が進んで訪問しやすくなっています。
アクセス
JR米子駅から徒歩約20分です。大山や皆生温泉と組み合わせた旅がおすすめです。
山陰の城めぐりモデルコース
山陰地方の城を効率よく巡るコースを提案します。
2泊3日コース
1日目は鳥取城と鳥取砂丘を巡り、鳥取市内に宿泊します。2日目は米子城を経由して松江城を訪問し、堀川めぐりと城下町散策を楽しみます。松江市内または玉造温泉に宿泊します。3日目は月山富田城を見学後、津和野へ移動して津和野城と城下町を巡ります。
交通手段
山陰本線を利用すれば、鳥取、米子、松江、安来の各城にアクセスできます。津和野はJR山口線で松江方面から直接行くことは難しいため、車の利用が便利です。レンタカーであれば、より自由度の高い城めぐりが可能です。
山陰の城めぐりの魅力
山陰地方の城めぐりには、他の地域にはない独特の魅力があります。
歴史の深さ
山陰地方は、尼子氏と毛利氏の争いをはじめ、戦国時代の激しい攻防の舞台でした。城にまつわる歴史のドラマを知った上で訪れると、遺構から歴史の息吹を感じ取ることができます。
自然との調和
山陰の城は、日本海側特有の自然環境の中に佇んでいます。宍道湖の夕日に照らされる松江城、霧に包まれる津和野城など、自然と城が織りなす風景は山陰ならではの魅力です。
観光との組み合わせ
鳥取砂丘、出雲大社、足立美術館、玉造温泉、萩の城下町など、山陰地方は観光スポットが豊富です。城めぐりとこれらの観光地を組み合わせることで、充実した旅を楽しむことができます。
まとめ
山陰地方は、国宝の松江城を筆頭に、鳥取城、津和野城、月山富田城、米子城など、歴史的に重要な城が揃う城めぐりの魅力的な地域です。戦国時代の攻城戦の歴史、多様な石垣の技術、日本海側の自然と調和した城景など、山陰ならではの城めぐりの楽しみがあります。温泉や観光地と組み合わせて、じっくりと山陰の城を巡る旅を計画してみてください。