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さそり座の見つけ方|アンタレスと夏の夜空の赤い星

さそり座 アンタレス 夏の星座 S字カーブ 天の川
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夏の夜、南の空の低い位置に赤く輝く星を見つけたことがあるでしょうか。それがさそり座の心臓にあたる1等星アンタレスです。さそり座は大きなS字カーブを描く印象的な星座で、夏の星空観察の主役のひとつです。

この記事では、さそり座の見つけ方、主要な星の特徴、オリオン座との関係を描いた神話、そして観測のポイントを紹介します。


さそり座の見つけ方と全体の形

さそり座は夏を代表する星座で、日本では6月から9月頃に南の空の低い位置に見ることができます。全天88星座のなかでも実際の生物の形に近い姿をしており、S字型のカーブが特徴的です。

アンタレスを目印にする

さそり座を見つける最初の手がかりは、赤く輝く1等星アンタレスです。夏の夜、南の空を見て低い位置に赤っぽい明るい星が見えたら、まずアンタレスを疑ってみましょう。アンタレスはさそりの心臓にあたる位置にあり、周囲の星よりもひときわ目立ちます。

アンタレスの名前はギリシャ語で「火星に対抗するもの」を意味します。火星もまた赤い天体として知られていますが、アンタレスの赤さはそれに匹敵するほどだったため、この名前がつけられました。見間違えないよう、火星は惑星なので位置が変わりますが、アンタレスは恒星なので常に同じ場所に見えるという違いがあります。

S字カーブをたどる

アンタレスを見つけたら、そこから上(北)方向に3つの星が縦に並ぶさそりの頭を探します。次にアンタレスから下(南)方向に目をやると、カーブを描きながら星が連なっていく尻尾部分が見えます。尻尾の先端はシャウラとレサトという2つの星で、釣り針のように曲がった形をしています。

さそり座は南北に大きく広がっているため、南の空が開けた場所でないと尻尾の先端まで見えないことがあります。日本では特に南の地方ほどさそり座全体を観察しやすく、沖縄では尻尾まできれいに見渡すことができます。


さそり座の主要な星

さそり座には個性的な星が多く含まれています。1等星から3等星まで明るい星が多いのも、この星座が見つけやすい理由のひとつです。

アンタレス(α星)

アンタレスはさそり座で最も有名な星で、赤色超巨星に分類されます。直径は太陽の約700倍に達し、もし太陽の位置に置いたら火星の軌道を超えるほどの大きさです。表面温度は約3500度と恒星としては低く、そのために赤みが強い色に見えます。

地球からの距離は約550光年で、質量は太陽の約12倍です。アンタレスは恒星の進化の終盤にあり、将来的には超新星爆発を起こすと考えられています。脈動変光星でもあり、約4年半の周期でわずかに明るさが変化しています。

シャウラ(λ星)

さそりの尻尾の先端付近にあるシャウラは、さそり座で2番目に明るい星です。1.6等級の青白い星で、アンタレスの赤とは対照的な色合いを見せます。シャウラはアラビア語で「針」を意味し、さそりの毒針にあたる位置にあります。

さそりの頭の星列

アンタレスの北側に並ぶ3つの星(δ星のジュバ、β星のアクラブ、π星)はさそりの頭を形成しています。特にジュバは見た目は単独の星に見えますが、実際には5つ以上の恒星からなる多重星系です。望遠鏡で観察すると主星と伴星が分離して見え、二重星の観察対象としても知られています。


さそり座にまつわるギリシャ神話

さそり座はギリシャ神話においてオリオン座と深い因縁で結ばれています。

オリオンとサソリの戦い

狩人オリオンは自分の力を誇り、「地上のすべての動物を退治してみせる」と豪語しました。この傲慢さに怒った大地の女神ガイアは、地中から巨大なサソリを送り出してオリオンに立ち向かわせました。

オリオンはあらゆる武器でサソリに挑みましたが、サソリの堅い甲羅を破ることができませんでした。最終的にサソリの毒針に刺されたオリオンは倒れ、命を落とします。ゼウスは両者の功績を認め、それぞれを星座として天に上げました。

永遠の追いかけっこ

天に上げられた後も、オリオンとサソリは天球上で正反対の位置に配置されました。さそり座が東から昇ってくるとオリオン座は西に沈み、オリオン座が東から昇るときにはさそり座は見えなくなります。

この配置は「オリオンは永遠にサソリから逃げ続けている」と解釈されてきました。夏にさそり座が南の空を支配し、冬にオリオン座が主役となるという季節の入れ替わりは、この壮大な神話ドラマの再現といえます。日本の星空愛好家の間でも、この2つの星座は「犬猿の仲」として親しまれています。


さそり座の周辺天体と天の川

さそり座の領域は天の川の中心方向に近く、多くの星雲や星団が集中しています。

散開星団と球状星団

さそり座の尻尾付近にはM6(バタフライ星団)とM7(トレミー星団)という2つの散開星団があります。どちらも肉眼でぼんやりとした光の塊として見え、双眼鏡で観察すると数十個の星がきらめく美しい姿を楽しめます。

球状星団のM4はアンタレスのすぐ西に位置し、双眼鏡でも丸い光の集まりとして確認できます。M4は地球から最も近い球状星団のひとつで、約7200光年の距離にあります。

天の川との共演

さそり座の尻尾は天の川の最も濃い部分と重なっています。特にシャウラ付近からいて座にかけての領域は、天の川銀河の中心方向にあたり、無数の星が密集しています。光害の少ない場所でこの付近を見ると、天の川が最も太く明るく見える壮観な眺めを体験できます。


さそり座の観測ガイド

さそり座は位置が低いため、観測にはいくつか注意が必要です。

ベストシーズンと時間帯

さそり座が最も見やすいのは7月中旬から8月上旬で、午後9時頃に南中します。この時期でも南の地平線からあまり高く昇らないため、南方向の視界が開けた場所を選びましょう。建物や山が南にあると尻尾の部分が隠れてしまいます。

6月は深夜に見頃を迎え、9月になると日没直後の西の空に傾きます。梅雨の時期と重なるのが難点ですが、梅雨の晴れ間をねらって観察してみてください。

観測場所の選び方

さそり座の全体を楽しむには、南の地平線まで見渡せる場所が理想的です。海岸や山の上、広い平野部など、南方向に遮るものがない場所を探しましょう。高原のキャンプ場や展望台が適しています。

夏の夜は気温が高いため冬ほどの防寒は不要ですが、蚊や虫への対策は必須です。虫除けスプレーや長袖の着用を心がけてください。また、夏場は大気の揺らぎが大きく星がまたたきやすい傾向がありますが、これは肉眼での星座観察にはそれほど影響しません。

さそり座はその独特のS字カーブと赤いアンタレスの輝きで、一度見つけたら忘れられない星座です。夏の夜空を見上げる機会があれば、南の低い空にサソリの姿を探してみてください。

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