「れる・られる」尊敬語の誤用|受身との混同に注意
「社長が来られました」「先生が話されました」のように、「れる・られる」は手軽に尊敬語を作れる便利な助動詞です。しかし、受身との混同や二重敬語など、誤用のリスクが高い表現でもあります。この記事では、「れる・られる」を尊敬語として使う際のよくある間違いと、正しい使い方を解説します。
「れる・られる」尊敬語の基本
「れる・られる」の付け方
動詞の種類によって「れる」「られる」の付け方が異なります。
- 五段活用動詞:未然形+「れる」→ 読む→読まれる、話す→話される
- 一段活用動詞:未然形+「られる」→ 食べる→食べられる、見る→見られる
- カ変動詞:来る→来られる
- サ変動詞:する→される
尊敬の度合い
「れる・られる」尊敬は、尊敬表現の中ではもっとも軽い敬意です。
- 軽い:「話される」
- 中程度:「お話しになる」
- 高い:「お話しくださる」
誤用パターン1:受身との混同
混同が起きる例
「れる・られる」には受身の意味もあるため、文脈によって尊敬か受身か判断しにくい場合があります。
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「課長が呼ばれた」
- 尊敬の意味:課長が誰かを呼んだ
- 受身の意味:課長が誰かに呼ばれた
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「先生が褒められた」
- 尊敬の意味:先生が誰かを褒めた
- 受身の意味:先生が誰かに褒められた
混同を避ける方法
曖昧さを解消するには、別の尊敬表現に置き換えるのが確実です。
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曖昧:「社長が怒られた」
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尊敬なら:「社長がお怒りになった」
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受身なら:「社長が○○に怒られた」
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曖昧:「部長が注意された」
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尊敬なら:「部長がご注意になった」
-
受身なら:「部長が○○から注意を受けた」
特に注意すべき動詞
受身と尊敬の両方の意味が成り立ちやすい動詞をまとめます。
| 動詞 | 「れる・られる」形 | 尊敬の意味 | 受身の意味 |
|---|---|---|---|
| 呼ぶ | 呼ばれる | 呼んだ | 呼ばれた |
| 褒める | 褒められる | 褒めた | 褒められた |
| 選ぶ | 選ばれる | 選んだ | 選ばれた |
| 叱る | 叱られる | 叱った | 叱られた |
| 招く | 招かれる | 招いた | 招かれた |
誤用パターン2:二重敬語
よくある二重敬語の例
「れる・られる」を他の尊敬表現と重ねてしまう間違いです。
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誤:「おっしゃられる」(おっしゃる+られる)
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正:「おっしゃる」
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誤:「お帰りになられる」(お帰りになる+られる)
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正:「お帰りになる」
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誤:「ご覧になられる」(ご覧になる+られる)
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正:「ご覧になる」
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誤:「お越しになられる」(お越しになる+られる)
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正:「お越しになる」
なぜ二重敬語が起きるか
二重敬語が起きる原因は、「より丁寧にしたい」という心理が働くためです。しかし、敬語を重ねれば丁寧さが増すわけではありません。むしろ、過剰な敬語は不自然に聞こえ、教養を疑われることもあります。
二重敬語の見分け方
以下のチェック方法で二重敬語を見分けられます。
- 「お〜になる」の形になっているか確認
- さらに「れる・られる」が付いていないか確認
- 特別な尊敬動詞に「れる・られる」が付いていないか確認
1つの動詞に尊敬表現が2つ以上あれば、二重敬語です。
誤用パターン3:可能との混同
尊敬か可能かわからない例
一段活用動詞に「られる」を付けた場合、尊敬と可能の両方に取れることがあります。
- 「先生はこの料理を食べられますか」
- 尊敬の意味:先生はこの料理を召し上がりますか
- 可能の意味:先生はこの料理を食べることができますか
混同を避ける方法
- 尊敬なら特別な尊敬動詞を使う:「召し上がりますか」
- 可能なら「〜できる」を使う:「お召し上がりになれますか」
「ら抜き言葉」との関係
口語では「食べれる」「見れる」のようにら抜き言葉が使われますが、ビジネスシーンでは正式な「食べられる」「見られる」を使いましょう。
正しい尊敬表現への言い換え
特別な尊敬動詞がある場合
特別な尊敬動詞がある動詞は、そちらを使うのが最善です。
| 「れる・られる」尊敬 | 特別な尊敬動詞 |
|---|---|
| 言われる | おっしゃる |
| 食べられる | 召し上がる |
| 来られる | いらっしゃる・お越しになる |
| 見られる | ご覧になる |
| される | なさる |
| 知られる | ご存じだ |
「お〜になる」形への言い換え
特別な尊敬動詞がない場合は、「お〜になる」の形が適切です。
| 「れる・られる」尊敬 | 「お〜になる」形 |
|---|---|
| 読まれる | お読みになる |
| 使われる | お使いになる |
| 待たれる | お待ちになる |
| 選ばれる | お選びになる |
| 休まれる | お休みになる |
場面に応じた使い分け
「れる・られる」尊敬が完全に不適切なわけではありません。社内の日常会話や、敬意のレベルが軽くて問題ない場面では使えます。
- 社内のカジュアルな場面:「部長、もう帰られましたか」(OK)
- 社外のフォーマルな場面:「○○様はお帰りになりました」(こちらが適切)
「れる・られる」が使いやすい場面
自然に使える動詞
一部の動詞は「れる・られる」尊敬のほうが自然に聞こえる場合があります。
- 「出席される」→「お出席になる」はやや不自然
- 「参加される」→「ご参加になる」はやや堅い
- 「利用される」→「ご利用になる」(どちらも自然)
文章のリズム調整
同じ文の中で「お〜になる」が続くと単調になるため、「れる・られる」を混ぜてリズムを変えることもあります。
- 「社長がお話しになり、その後部長が説明されました」(「お〜になる」と「れる」で変化)
まとめ
「れる・られる」の尊敬用法は手軽ですが、受身・可能との混同や二重敬語のリスクがあります。特別な尊敬動詞がある場合はそちらを優先し、ない場合は「お〜になる」形を使うのが無難です。文脈が曖昧になる動詞には特に注意し、別の尊敬表現に言い換えましょう。