文化庁調査でわかった言葉の誤用|半数以上が誤解する日本語
文化庁が毎年実施している「国語に関する世論調査」では、本来の意味とは異なる使われ方が広まっている言葉が数多く報告されています。ここでは、調査で誤用の多さが明らかになった言い回しを取り上げ、本来の意味と正しい使い方を解説します。
「上を下への大騒ぎ」の誤用
よくある間違い
「上や下への大騒ぎ」と言う人が多く見られます。
正しい意味
正しくは「上を下への大騒ぎ」です。上にあるものを下にし、下にあるものを上にするという意味から、物事が入り乱れて混乱する様子を表します。文化庁の平成18年度調査では、「上や下への」を使う人が58.8%と、正しい「上を下への」を使う人(21.3%)を大きく上回っていました。
「采配を振る」の誤用
よくある間違い
「采配を振るう」という言い方が広く定着しています。
正しい意味
「采配」はもともと武将が戦場で軍を指揮するために振った道具のことで、指図・指揮をすることを「采配を振る」と表現します。「振るう」を使うと意味が重複し不自然になるため、本来は「振る」が正しいとされています。文化庁の平成29年度調査では「采配を振るう」を使う人が56.9%、「采配を振る」を使う人が32.2%という結果でした。
「愛嬌を振りまく」の誤用
よくある間違い
「愛想を振りまく」という表現もよく使われます。
正しい意味
「愛嬌」はその人が持つ明るくにこやかな雰囲気そのものを指し、「愛想」は人に接するときの態度・振る舞いを指します。雰囲気は周囲に「振りまく」ことができますが、態度そのものは振りまくものではないため、本来は「愛嬌を振りまく」が正しいとされます。文化庁の平成27年度調査では「愛嬌を振りまく」49.1%、「愛想を振りまく」42.7%と拮抗しており、「愛想を振りまく」を用例として挙げる国語辞典も増えています。
「気が置けない」の誤用
よくある間違い
「気が置けない相手」を「油断できない相手」「気を遣う相手」という意味で使う人が少なくありません。
正しい意味
「気が置けない」は「相手に気配りや遠慮をしなくてよい」、つまり「打ち解けられる」「心を許せる」という意味です。反対の意味に誤解している人が多いことが文化庁の調査で繰り返し指摘されている表現で、誤解を避けるため「気の置けない友人」のように文脈を明確にして使うとよいでしょう。
「うろ覚え」の誤用
よくある間違い
「うる覚え」と表記・発音されることがあります。
正しい意味
正しくは「うろ覚え」です。「うろ(疎ら・空ろ)」は「はっきりしない」という意味で、記憶があいまいなことを表します。「うる覚え」は語感の似た誤記・誤読が広まったものです。
「舌鼓」の読み方
よくある間違い
「したづつみ」と読まれることが多くなっています。
正しい意味
「鼓」は単独では「つづみ」と読むため、本来の読み方は「したつづみ」です。ただし「したづつみ」も広く使われるようになったため、現在では両方の読みを認める辞書も増えています。
まとめ
言葉の意味や読み方は、多くの人が誤った形で使い続けることで、いずれ辞書にも認められるようになることがあります。ただし、文化庁の調査で誤用の多さが指摘されている言葉については、本来の意味・読み方を知っておくと、フォーマルな場面でも自信を持って使うことができます。