現存12天守完全ガイド|一覧・特徴比較・巡り方
江戸時代以前に建てられた天守が現存する城は、全国でわずか12城しかありません。これらの「現存12天守」は、日本の城郭建築を代表する貴重な文化遺産です。この記事では、現存12天守の一覧と特徴の比較、効率的な巡り方、各城の見どころを詳しく紹介します。すべての現存天守を巡る城めぐりの参考にしてください。
現存12天守とは
現存12天守とは、江戸時代以前に築かれ、戦災や天災を免れて現在まで残っている天守のことです。明治維新後の廃城令、太平洋戦争の空襲、火災などにより、多くの天守が失われましたが、12棟の天守が奇跡的に現存しています。
国宝5城と重要文化財7城
現存12天守のうち、5城が国宝に、7城が重要文化財に指定されています。国宝指定の5城は、姫路城、松本城、犬山城、彦根城、松江城です。重要文化財指定の7城は、弘前城、丸岡城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城です。
現存天守の価値
現存天守は、復元や模擬の天守とは異なり、実際に数百年の歴史を経てきた本物の建造物です。木造の構造体、当時の技術で施工された壁や屋根、年月を経た木材の風合いなど、現存天守だけが持つ歴史の重みがあります。
国宝5城の紹介
国宝に指定された5城の天守を紹介します。
姫路城(兵庫県姫路市)
姫路城は、日本を代表する城郭であり、世界文化遺産にも登録されています。白漆喰の美しい外観から「白鷺城」とも呼ばれます。大天守は五重六階地下一階の望楼型で、連立式天守の形式を持ちます。大天守のほか、三つの小天守と渡櫓が連なる壮大な構成は、日本の城郭建築の最高傑作とされています。見学には1時間半から2時間程度を見込むのがよいでしょう。JR姫路駅から徒歩約20分です。
松本城(長野県松本市)
松本城は、五重六階の天守を持つ平城です。黒い下見板張りの外観が特徴で、北アルプスを背景にした姿は絶景です。天守は連結式で、大天守と乾小天守が渡櫓で結ばれています。月見櫓が付設されているのも珍しい特徴で、戦のない太平の時代に増築されたものとされます。JR松本駅から徒歩約15分です。
犬山城(愛知県犬山市)
犬山城は、木曽川沿いの小高い丘の上に建つ城です。天守は三重四階地下二階の望楼型で、現存天守のなかでも最古級と言われています。天守最上階からの木曽川と濃尾平野の眺望は格別です。天守の構造は素朴で、初期の天守の姿をよく伝えています。名鉄犬山遊園駅から徒歩約15分です。
彦根城(滋賀県彦根市)
彦根城は、琵琶湖を見下ろす金亀山に築かれた城です。天守は三重三階の複合式で、唐破風や花頭窓などの装飾が施された優美な外観が特徴です。天守だけでなく、天秤櫓、太鼓門櫓、二の丸佐和口多聞櫓などの重要文化財が多数残されている点も魅力です。名勝「玄宮園」からの天守の眺めは必見です。JR彦根駅から徒歩約15分です。
松江城(島根県松江市)
松江城は、2015年に国宝に指定された最も新しい国宝天守です。天守は四重五階地下一階の複合式で、実戦を強く意識した質実剛健な造りが特徴です。天守内部の柱や梁がほぼ当時のまま残されており、木造建築の迫力を間近に感じられます。堀を巡る遊覧船「堀川めぐり」も人気です。JR松江駅からバスで約10分です。
重要文化財7城の紹介
重要文化財に指定された7城の天守を紹介します。
弘前城(青森県弘前市)
弘前城は、本州最北端の現存天守です。天守は三重三階の独立式で、規模は現存天守のなかでは小さいほうですが、東北地方唯一の現存天守として貴重です。弘前公園の桜は全国屈指の名所として知られ、春には約2,600本の桜が咲き誇ります。現在、石垣修理のため天守が曳家によって移動されており、本来の位置とは異なる場所に建っています。JR弘前駅からバスで約15分です。
丸岡城(福井県坂井市)
丸岡城は、二重三階の独立式天守を持つ城です。石瓦(笏谷石の瓦)を使用しているのが大きな特徴で、他の現存天守には見られない独特の外観を持っています。天守の内部は急な階段で構成されており、往時の天守の雰囲気をよく残しています。JR丸岡駅からバスで約20分です。
備中松山城(岡山県高梁市)
備中松山城は、現存天守を持つ唯一の山城です。標高約430メートルの臥牛山に建ち、天守は二重二階と現存天守のなかで最も小さいですが、山頂に建つ天守の姿は格別です。秋から冬にかけて雲海が発生し、天空の城のような幻想的な光景を見ることができます。JR備中高梁駅からバスとシャトルバスを利用します。
丸亀城(香川県丸亀市)
丸亀城は、総高約60メートルに及ぶ石垣の上に三重三階の天守が建つ城です。天守は現存天守のなかで最も小さいものの一つですが、石垣の壮大さが際立つ城です。山麓から山頂まで四段に積まれた石垣の美しさは、「石垣の名城」として高く評価されています。JR丸亀駅から徒歩約15分です。
松山城(愛媛県松山市)
松山城は、標高約132メートルの勝山の山頂に築かれた城です。天守は三重三階地下一階の連立式で、小天守と櫓が渡櫓で結ばれた壮大な構成です。天守へはロープウェイまたはリフトで上ることができます。天守最上階からは松山市街と瀬戸内海を一望でき、眺望は現存天守のなかでも屈指です。JR松山駅から市電とロープウェイを利用します。
宇和島城(愛媛県宇和島市)
宇和島城は、藤堂高虎が築いた城を、伊達氏が改修した城です。天守は三重三階の独立式で、白漆喰の優美な外観が特徴です。装飾性の高い天守は、実戦よりも城主の権威を示す役割が重視された時代の産物です。天守への登山道は整備されていますが、やや急な坂が続きます。JR宇和島駅から徒歩約25分です。
高知城(高知県高知市)
高知城は、天守と本丸御殿が両方とも現存する唯一の城です。天守は四重六階の望楼型で、本丸のほぼすべての建物が残されている点が大きな特徴です。山内一豊が築城し、享保の大火で焼失した後に再建された現在の天守は、1749年に完成したものです。JR高知駅から路面電車で約10分です。
効率的な巡り方
現存12天守をすべて巡るための効率的なルートを紹介します。
地域別アプローチ
現存12天守は、東北に1城(弘前城)、中部に3城(松本城、犬山城、丸岡城)、近畿に1城(彦根城)、中国に2城(松江城、備中松山城)、四国に4城(丸亀城、松山城、宇和島城、高知城)、山陰に1城(姫路城)と分布しています。四国に4城が集中しているため、四国を重点的に回るプランが効率的です。
おすすめルート
四国の4城は、レンタカーを利用すれば2日間で巡ることができます。丸亀城、松山城、宇和島城、高知城の順に回ると効率がよいでしょう。中部の3城(犬山城、松本城、丸岡城)は、名古屋を起点に2日間で回ることが可能です。
季節ごとの楽しみ
現存12天守を巡る際には、季節ごとの見どころも意識するとよいでしょう。春は弘前城の桜、秋は備中松山城の雲海、冬は松本城の雪景色など、季節によって異なる表情を楽しむことができます。
現存12天守めぐりのコツ
すべての現存天守を巡るための実践的なアドバイスを紹介します。
時間配分
各城の見学には、最低でも1時間から1時間半は確保しましょう。姫路城のような大規模な城では、2時間以上必要です。備中松山城のように登山を伴う城は、往復の時間も考慮する必要があります。
混雑対策
姫路城や松本城は、観光客が多く混雑することがあります。特に桜の季節や紅葉の時期は混み合うため、朝一番での訪問がおすすめです。平日の訪問も有効な混雑対策です。
スタンプとカード
日本100名城スタンプラリーに参加している方は、各城でスタンプを押し忘れないようにしましょう。御城印を集めている方は、販売場所を事前に確認しておくとスムーズです。
まとめ
現存12天守は、日本の城郭建築の歴史を今に伝える貴重な文化遺産です。国宝5城と重要文化財7城、それぞれに個性があり、建築様式や歴史的背景も異なります。すべてを巡ることは容易ではありませんが、一つひとつの天守を訪ねるたびに、城の知識と楽しみが深まっていくはずです。