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彦根城の歴史と見どころ|井伊家の居城と玄宮園

彦根城 国宝 100名城 滋賀県 現存天守
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滋賀県彦根市にそびえる彦根城は、譜代大名の筆頭・井伊家が14代にわたって守り抜いた名城です。国宝に指定された天守は、多彩な破風を組み合わせた華やかな外観が特徴で、現存天守の中でも特に美しい城として高い人気を誇ります。琵琶湖を望む景観と名勝・玄宮園の庭園美も見どころです。この記事では、彦根城の歴史から建築の特徴、庭園、城下町の魅力まで詳しくご紹介します。

彦根城の歴史

築城の背景

彦根城の築城は、関ヶ原の戦い(1600年)の後に始まりました。徳川四天王のひとりである井伊直政は、関ヶ原の功績により近江国18万石を与えられましたが、戦傷がもとで慶長7年(1602年)に亡くなります。その遺志を継いだ嫡男・井伊直継(のちに直勝と改名)の時代に、慶長9年(1604年)から築城が開始されました。

天下普請による造営

彦根城の築城は、幕府の命による天下普請として行われました。周辺の大名が動員され、約20年の歳月をかけて城の主要部分が完成しました。天守は大津城から、天秤櫓は長浜城から移築されたと言われており、他の城の建材を再利用した合理的な築城方法がとられました。こうした移築の伝承については諸説ありますが、複数の城の要素が融合した独特の建築となっています。

井伊家の居城として

彦根城は、江戸時代を通じて井伊家の居城であり続けました。特に井伊直弼は幕末に大老として日米修好通商条約の調印を主導し、安政の大獄を断行した人物として知られています。桜田門外の変で直弼が暗殺された後も、井伊家は彦根藩主として明治維新まで存続しました。

廃城の危機と保存

明治維新後の廃城令により、彦根城も取り壊しの危機に直面しました。しかし、明治天皇が北陸巡幸の途中で彦根を通過した際、大隈重信が城の保存を進言したことで取り壊しを免れたと伝えられています。昭和27年(1952年)に天守が国宝に指定され、現在は彦根市のシンボルとして大切に保存されています。

天守の建築美

三層三階の優美な姿

彦根城天守は三層三階地下一階の構造で、国宝天守の中では比較的小ぶりです。しかし、その外観は実に華やかです。切妻破風、入母屋破風、唐破風という三種類の破風を巧みに組み合わせた意匠は、変化に富んだ美しいシルエットを生み出しています。どの角度から見ても異なる表情を見せることから、「見る方向によって姿が変わる天守」とも称されています。

花頭窓と装飾

天守の2階には「花頭窓(かとうまど)」と呼ばれる上部が尖ったアーチ型の窓が設けられています。これは禅宗寺院の建築様式を取り入れたもので、装飾的な要素として天守に格式を添えています。また、最上階には高欄付きの廻縁があり、琵琶湖方面の眺望を楽しめます。

附櫓と多聞櫓

天守には附櫓(つけやぐら)と多聞櫓が連結されており、天守への入口を守る防御施設として機能していました。附櫓の入口は狭く、天守に攻め入る敵を阻む構造になっています。天守と附櫓、多聞櫓が一体となった姿は、実用性と美観を兼ね備えた設計の好例です。

城内の見どころ

天秤櫓

天秤櫓は、大手門と表門からの道が合流する要所に建つ重要文化財の櫓です。廊下橋(屋根付きの橋)を中心に左右対称の形をしており、天秤のように見えることからこの名がつきました。橋を落とせば本丸への侵入を阻むことができる、巧みな防御構造です。左右で石垣の積み方が異なるのも特徴で、向かって左が築城当初の牛蒡積み、右が後世に積み直された切込接ぎとなっています。

太鼓門櫓

本丸への最後の関門である太鼓門櫓は、城内に時を告げる太鼓が置かれていたことからこの名がつけられました。重要文化財に指定されており、門の上に櫓が載った堂々とした構えです。この門をくぐると、いよいよ天守のある本丸に到達します。

西の丸三重櫓

西の丸に建つ三重櫓は、重要文化財に指定された三階建ての隅櫓です。琵琶湖を見渡す位置に建てられており、湖からの敵の接近を監視する役割を担っていました。内部の見学も可能で、天守とは異なる実戦的な櫓の雰囲気を味わえます。

玄宮園と楽々園

名勝・玄宮園

彦根城の北東に広がる玄宮園は、延宝5年(1677年)に4代藩主・井伊直興が造営した大名庭園です。琵琶湖の水を引き込んだ池泉回遊式庭園で、池越しに彦根城天守を望む景観は彦根を代表する風景として知られています。中国の瀟湘八景にちなんで近江八景を模したとされ、園内には数寄屋風の建物が点在し、趣深い空間を形成しています。

紅葉と夜景

玄宮園は秋の紅葉の名所としても有名です。毎年11月に開催されるライトアップイベントでは、紅葉と天守が水面に映る幻想的な景色を楽しめます。春の桜、夏の緑、冬の雪景色と、四季を通じて異なる庭園美を堪能できるのも玄宮園の魅力です。

楽々園

玄宮園に隣接する楽々園は、井伊家の下屋敷として使われた建物群です。「槻御殿(けやきごてん)」とも呼ばれ、藩主の日常生活や接客の場として利用されていました。庭園と一体となった大名の暮らしぶりをうかがい知ることができる貴重な史跡です。

城下町と周辺の魅力

夢京橋キャッスルロード

彦根城の南側に位置する夢京橋キャッスルロードは、江戸時代の城下町を再現した通りです。白壁と黒格子の町家が並ぶ風情ある街並みで、近江牛を使った料理店や和菓子店、土産物店が軒を連ねています。彦根名物の近江牛や赤こんにゃくをはじめとする地元グルメを味わえる、城見学後の散策に最適なスポットです。

彦根城博物館

彦根城の表御殿跡に建てられた博物館では、井伊家伝来の武具や美術品、古文書などが展示されています。井伊家の赤備えの甲冑は特に見応えがあり、歴代藩主の遺品から彦根藩の歴史と文化を学ぶことができます。

アクセスと見学情報

交通手段

彦根城へは、JR琵琶湖線「彦根駅」から徒歩約15分です。京都駅からJR新快速で約50分、名古屋駅からJR東海道本線で約1時間15分と、関西・中京圏からのアクセスが便利です。駅から城へ向かう道沿いには案内表示が整備されており、迷うことなく到着できます。

見学案内

開館時間は8時30分から17時で、年中無休です。入場料は大人800円、小・中学生200円(玄宮園との共通券)。天守までは石段を登る必要があるため、歩きやすい靴を着用してください。所要時間は天守と玄宮園の見学で約1時間半から2時間、城下町散策を含めると半日程度です。

訪問のコツ

桜の季節(4月上旬)は彦根城最大の見どころですが、非常に混雑します。天守内の階段が急で狭いため、混雑時は待ち時間が発生することもあります。比較的空いている午前中の早い時間帯に天守を見学し、午後は玄宮園や城下町を散策するプランがおすすめです。

まとめ

彦根城は、華やかな天守の建築美、名勝・玄宮園の庭園、井伊家の歴史が一体となった城です。国宝天守の多彩な破風が見せる変化に富んだ外観、池越しに天守を望む玄宮園の絶景、近江牛を楽しめる城下町と、見どころが凝縮されています。琵琶湖畔に佇む井伊家の名城を、ぜひ訪れてみてください。

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