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高知城の歴史と見どころ|山内一豊の居城と追手門

高知城 現存天守 100名城 高知県 山内一豊
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高知県高知市の中心部にそびえる高知城は、天守と追手門がともに現存する日本で唯一の城として知られています。土佐藩初代藩主・山内一豊が築城し、以後山内家が16代にわたって居城とした名城です。本丸の建物群がほぼ完全な形で残っており、江戸時代の城郭建築を体感できる貴重な存在です。この記事では、高知城の歴史や建築の見どころ、訪問のポイントを詳しくご紹介します。

高知城の歴史

山内一豊の築城

高知城は、慶長6年(1601年)に土佐国24万2千石の領主となった山内一豊が、大高坂山(おおたかさかやま)に築城を開始したのが始まりです。一豊は関ヶ原の戦いでの功績により、掛川城から土佐に転封されました。それまで土佐の中心は長宗我部元親の居城・浦戸城でしたが、城下町の発展に適した大高坂山の地が新たな城地として選ばれました。

享保の大火と再建

享保12年(1727年)、城下町から出火した大火により、天守をはじめとする城内の建物の大部分が焼失してしまいます。その後、8代藩主・山内豊敷の時代に、宝暦3年(1753年)に天守が再建されました。現存する天守や本丸御殿はこの再建時のもので、創建時の姿をほぼ忠実に復元したとされています。

山内家の統治

山内家は初代一豊から16代豊範まで、約270年にわたって土佐藩を統治しました。幕末には15代藩主・山内容堂(豊信)が藩政改革を推進し、坂本龍馬をはじめとする志士たちを輩出する土壌を作りました。大政奉還の建白にも関わった容堂は、幕末の四賢侯のひとりに数えられています。

近代の保存

明治維新後、高知城は公園として一般に開放されました。城内の建物は大きな戦災を免れ、天守をはじめとする本丸の建物群が良好な状態で保存されています。昭和9年(1934年)に天守が重要文化財に指定され、その後も追手門や本丸御殿などが順次指定を受けています。

建築の見どころ

天守と追手門の共存

高知城の最大の特徴は、天守と追手門(大手門)がともに現存していることです。追手門から天守を見上げると、門の上に天守が重なって見える構図は、高知城を代表する風景として広く知られています。全国に現存する城の中で、天守と追手門の両方が残り、しかも一つの画角に収まる城は高知城だけと言われています。

本丸の建物群

高知城は本丸の建物群がほぼ完全な形で残っている点でも特筆に値します。天守、本丸御殿(懐徳館)、納戸蔵、廊下門、東多聞、西多聞、詰門、黒鉄門など、本丸を構成する建物の大部分が現存しており、江戸時代の城郭空間をそのまま体感できます。

天守の構造

高知城天守は四層六階の望楼型天守で、高さは約18.5メートルです。最上階には回縁と高欄が設けられ、高知市街を360度見渡すことができます。天守内部には石落としや鉄砲狭間が設けられており、装飾と防御を兼ね備えた設計がなされています。

本丸御殿(懐徳館)

天守に隣接する本丸御殿は、「懐徳館」と呼ばれ、藩主の居間や接客の場として使用されていました。天守と本丸御殿が直結している構造は高知城独自のもので、城主が天守と御殿を行き来しやすい設計になっています。御殿内部には、当時の生活空間を再現した展示があります。

城の防御機能

石樋による排水

高知は日本有数の多雨地域であり、高知城には豪雨に対応するための工夫が施されています。そのひとつが「石樋(いしどい)」と呼ばれる排水施設です。石垣の途中に石で造った樋(とい)を突き出すことで、雨水を石垣の外側に排出し、石垣内部に水が溜まって崩落するのを防いでいます。高知城の石樋は全国的にも珍しい遺構として注目されています。

詰門と廊下門

本丸への入口にあたる詰門は、二の丸と本丸をつなぐ渡り廊下を兼ねた独特の構造です。下層が門、上層が廊下になっており、平時は二の丸と本丸の連絡通路として、有事には門を閉じて防御施設として機能しました。廊下門も同様に、通路と防御を兼ねた巧みな設計がなされています。

忍び返しと鉄砲狭間

石垣の上には忍び返しの棘が設けられた箇所があり、敵兵の侵入を阻む工夫がなされています。塀や櫓の壁面には多数の鉄砲狭間が開けられ、あらゆる方向からの攻撃に対応できる構造です。

見どころスポット

追手門周辺

追手門は高知城の正門で、重要文化財に指定されています。追手門の前に立って見上げると、門の上に天守がそびえ立つ構図が広がり、高知城を代表する写真スポットとなっています。追手門周辺には石垣と堀が整備されており、城の正面としての威厳を感じることができます。

高知城歴史博物館

追手門の向かいに建つ高知城歴史博物館は、山内家伝来の資料約6万7千点を所蔵する博物館です。武具、古文書、美術工芸品など、土佐藩の歴史と文化を多角的に学ぶことができます。3階の展望ロビーからは高知城を正面に望むことができ、無料で利用できます。

日曜市

高知城の追手筋では、毎週日曜日に約300年の歴史を持つ「日曜市」が開催されます。約1.3キロメートルの通りに約400店の露店が並び、地元の野菜、果物、名物の芋天(いもてん)、田舎寿司などを楽しめます。城見学と合わせて日曜市を訪れれば、高知の食文化も堪能できます。

アクセスと見学情報

交通手段

高知城へは、JR高知駅から路面電車(とさでん交通)で約10分、「高知城前」電停下車、徒歩約5分です。バスの場合は「高知城前」バス停下車すぐです。車の場合は、高知自動車道・高知ICから約15分で、城の周辺に有料駐車場があります。

見学案内

天守・本丸御殿の開館時間は9時から17時(入館は16時30分まで)です。入場料は大人420円、18歳未満無料。高知城歴史博物館との共通券もあります。天守までは石段を登る必要がありますが、比較的緩やかな坂道で、15分程度で到着します。所要時間は天守と本丸の見学で約1時間、城全体を巡ると1時間半から2時間です。

おすすめの楽しみ方

日曜日に訪れれば、日曜市と高知城を両方楽しめます。城見学の後は、ひろめ市場で高知名物のカツオのたたきを味わうのもおすすめです。夜間にはライトアップされる時期もあり、昼間とは異なる幻想的な城の姿を楽しめます。

まとめ

高知城は、天守と追手門がともに現存する唯一の城であり、本丸の建物群がほぼ完全に残る稀有な城郭です。山内一豊の築城から幕末の激動まで、土佐の歴史を見つめ続けてきた名城は、建築・歴史・景観のすべてにおいて一級の見どころを持っています。南国土佐の明るい陽光のもとでそびえる高知城を、ぜひ訪れてみてください。

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