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宇和島城の歴史と見どころ|伊達家の居城と現存天守

宇和島城 現存天守 100名城 愛媛県 伊達家
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愛媛県宇和島市の丘の上にそびえる宇和島城は、築城の名手・藤堂高虎が縄張りを行い、伊達家が長く城主を務めた名城です。現存12天守のひとつを持ち、宇和海を望む風光明媚な立地が特徴です。戦に備えた堅固な城づくりと、平和な時代の優美な天守が共存する、独特の魅力を持つ城です。この記事では、宇和島城の歴史や天守の見どころ、訪問のポイントを詳しくご紹介します。

宇和島城の歴史

藤堂高虎の築城

宇和島城の原型を築いたのは、築城の名手として知られる藤堂高虎です。慶長元年(1596年)に宇和郡7万石を与えられた高虎は、中世の板島丸串城を改修し、近世城郭として整備しました。高虎は海に面した地形を巧みに利用し、海水を引き込んだ水堀を設けるなど、独自の縄張りを施しています。高虎が手掛けた城は今治城や津城など多数ありますが、宇和島城はその初期の作品として重要な意味を持っています。

伊達家の入封

慶長19年(1614年)に伊達秀宗が宇和島10万石の藩主として入封しました。伊達秀宗は仙台藩主・伊達政宗の長男ですが、庶子であったため仙台藩を継ぐことができず、宇和島藩の初代藩主となりました。以後、伊達家は9代にわたって宇和島藩を治め、明治維新まで城主を務めます。

天守の再建

現在の天守は、2代藩主・伊達宗利が寛文元年(1661年)から寛文11年(1671年)にかけて行った大改修の際に建て替えられたものです。藤堂高虎時代の天守は三重三階の望楼型でしたが、伊達宗利はこれを取り壊し、新たに三重三階の層塔型天守を建設しました。戦乱が収まった太平の世を反映してか、防御よりも装飾に重点を置いた優美な天守となっています。

幕末と近代

幕末の宇和島藩は、7代藩主・伊達宗紀や8代藩主・伊達宗城のもとで開明的な藩政改革を推進したことで知られています。特に伊達宗城は幕末の四賢侯のひとりに数えられ、蒸気船の建造や西洋式軍事技術の導入に積極的でした。明治維新後は城の多くの建物が取り壊されましたが、天守は残り、昭和9年(1934年)に重要文化財に指定されています。

天守の建築的特徴

層塔型天守の優美さ

宇和島城天守は三層三階の層塔型天守で、各階が規則的に逓減していく端正な姿が特徴です。白漆喰の外壁に唐破風と千鳥破風を組み合わせた外観は、装飾性に富んだ優美なデザインです。実戦的な機能よりも城主の権威を示すことに重きを置いた、太平の世の天守と言えます。

天守台の特徴

宇和島城の天守台は、不等辺五角形という珍しい形状をしています。これは藤堂高虎が築いた時代の縄張りを引き継いだもので、地形に合わせた合理的な設計です。天守台の石垣は切込接ぎの丁寧な仕上げで、伊達家の財力と技術力を示しています。

内部の見どころ

天守内部は三階構造で、各階に歴史資料や武具の展示がなされています。最上階からは宇和海や宇和島市街地を一望でき、海の城としての立地を実感できます。天守の柱や梁には築城当時の木材が残されており、350年以上の時を刻んだ建築の重みを感じることができます。

城の防御機能と縄張り

海城としての立地

宇和島城は築城当時、三方を海に囲まれた海城でした。現在は埋め立てにより海岸線が後退していますが、かつては海水を利用した堀が城を囲み、海からの直接攻撃にも対応できる構造でした。藤堂高虎の巧みな縄張りが、地形を最大限に活用した防御を実現しています。

登り石垣

宇和島城には「登り石垣」と呼ばれる珍しい遺構が残っています。登り石垣とは、山の斜面に沿って麓から山頂まで石垣を築き、城の側面を防御する構造です。朝鮮出兵(文禄・慶長の役)で学んだ技術が日本に持ち帰られたものと言われており、国内で見られる城は限られています。

上り立ち門

城の搦手(裏手)にあたる上り立ち門は、現存する薬医門で、城内最古の建造物のひとつとされています。藤堂高虎時代の建築と伝えられ、高虎の築城技術を今に伝える貴重な遺構です。

見どころスポット

城山の自然

宇和島城が建つ城山は、暖温帯性の植物に覆われた自然豊かな環境です。登城路には大きな木々が茂り、四季を通じて豊かな緑を楽しめます。特に春には桜が城山を彩り、天守と桜の競演を堪能できます。

天赦園

城の南側にある天赦園(てんしゃえん)は、7代藩主・伊達宗紀が隠居所として築いた池泉回遊式庭園です。伊達家の家紋にちなんだ竹をテーマとした庭園で、さまざまな種類の竹が植えられています。藤棚や池、石橋など見どころが多く、城見学と合わせて訪れたいスポットです。

城下町の食文化

宇和島は鯛めしで有名な街です。宇和島鯛めしは、新鮮な鯛の刺身を特製のタレと卵でいただく独特の郷土料理で、炊き込みご飯の鯛めしとは異なる食べ方です。城見学の後に城下町で宇和島グルメを楽しむのも、城めぐりの醍醐味です。

アクセスと見学情報

交通手段

宇和島城へは、JR予讃線「宇和島駅」から徒歩約15分で城山の登城口に到着します。松山駅からJR予讃線特急で約1時間20分です。車の場合は、松山自動車道・宇和島朝日ICから約10分で、城山周辺に有料駐車場があります。

見学案内

天守の開館時間は4月から10月が9時から17時、11月から3月が9時から16時です。入場料は大人200円、中学生以下無料。城山の登城は無料で自由に行えます。登城口から天守までは徒歩約15分から20分の山道です。所要時間は天守見学を含めて約1時間から1時間半です。

登城の注意点

登城路はよく整備されていますが、それでも山道であるため歩きやすい靴を着用してください。途中に急な石段がありますので、体力に自信のない方はゆっくりと登ることをおすすめします。城山には複数の登城ルートがあるため、行きと帰りで異なるルートを選ぶと、城の異なる表情を楽しめます。

まとめ

宇和島城は、藤堂高虎の縄張りと伊達家の優美な天守が融合した、歴史の重層性を感じられる名城です。現存天守の中でも装飾性の高い美しい天守、海城としての独特の縄張り、登り石垣などの珍しい遺構が見どころです。四国の西端に位置する宇和島は少しアクセスに時間がかかりますが、その分訪問者も少なく、静かに城を堪能できる穴場の名城です。

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