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GEマトリクスとは|9セルで事業を評価する方法

GEマトリクス 事業ポートフォリオ 戦略分析 フレームワーク 経営戦略
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GEマトリクスは、ゼネラル・エレクトリック社とマッキンゼー・アンド・カンパニーが共同開発した事業ポートフォリオ分析のフレームワークです。「市場の魅力度」と「事業の競争力」の2軸で構成される9つのセルに事業を配置し、投資判断の指針を得ることができます。

GEマトリクスの基本構造

GEマトリクスは、BCGマトリクスの4象限をさらに発展させた9セルの分析ツールです。

縦軸:市場の魅力度

市場の魅力度は、複数の要因を総合的に評価して決定します。市場規模、市場成長率、収益性、競争の激しさ、参入障壁、技術的安定性、規制環境などが評価項目に含まれます。単一の指標ではなく、複数の要因を加重平均して高・中・低の3段階に分類します。

横軸:事業の競争力

事業の競争力も同様に、複数の要因で評価します。市場シェア、シェアの推移、ブランド力、技術力、コスト構造、製品品質、流通網の強さなどが対象です。こちらも加重平均により高・中・低の3段階に分けます。

9セルの戦略的意味

3x3のマトリクスにより、9つのセルが生まれます。各セルに対応する基本戦略を紹介します。

投資拡大ゾーン(3セル)

市場の魅力度が高く事業の競争力も高い領域、および隣接するセル(高・高、高・中、中・高)は、積極的な投資を行うべきゾーンです。成長が見込め、競争上も有利なポジションにあるため、優先的に経営資源を配分します。

選択的投資ゾーン(3セル)

対角線上に位置するセル(高・低、中・中、低・高)は、選択的に投資を行うゾーンです。個別の事業状況を詳細に分析し、投資を続けるか現状維持とするか、事業ごとに判断します。

縮小・撤退ゾーン(3セル)

市場の魅力度が低く事業の競争力も低い領域、および隣接するセル(低・低、低・中、中・低)は、縮小または撤退を検討するゾーンです。経営資源を他の有望な事業に振り向けることが基本的な方針となります。

GEマトリクスの作成手順

ステップ1:評価要因を選定する

市場の魅力度と事業の競争力について、それぞれ5個から8個程度の評価要因を選定します。業界や事業の特性に応じて適切な要因を選ぶことが重要です。

ステップ2:各要因にウェイトを設定する

選定した要因に重要度に応じたウェイト(重み)を設定します。全要因のウェイトの合計が1.0になるように調整します。

ステップ3:各要因を評価する

各事業について、それぞれの要因を1点から5点のスコアで評価します。可能な限り客観的なデータに基づいて評価を行います。

ステップ4:加重スコアを算出する

各要因のスコアにウェイトを掛けて合計し、市場の魅力度と事業の競争力の総合スコアを算出します。

ステップ5:マトリクス上にプロットする

算出した総合スコアに基づき、各事業を9セルのマトリクス上に配置します。事業の売上規模を円の大きさで表すと視覚的にわかりやすくなります。

具体例:製造業のGEマトリクス分析

架空の電子部品メーカーを例に分析の流れを示します。

市場の魅力度の評価例

評価要因ウェイト半導体事業センサー事業コネクタ事業
市場成長率0.30452
市場規模0.20534
収益性0.25343
競争の激しさ0.15233
技術安定性0.10324
加重スコア1.003.453.752.90

事業の競争力の評価例

同様の方法で事業の競争力を評価し、2軸の総合スコアからマトリクス上の位置を決定します。この例では、センサー事業が投資拡大ゾーン、半導体事業が選択的投資ゾーン、コネクタ事業が縮小検討ゾーンに位置づけられると仮定します。

戦略的示唆

センサー事業には研究開発投資と設備増強を優先的に行い、半導体事業は収益性改善に注力しつつ投資判断を慎重に行い、コネクタ事業は段階的な縮小またはニッチ市場への特化を検討します。

BCGマトリクスとの違い

GEマトリクスとBCGマトリクスは、どちらも事業ポートフォリオの分析ツールですが、いくつかの違いがあります。

評価軸の違い

BCGマトリクスは市場成長率と相対的市場シェアという2つの定量指標のみで評価します。一方、GEマトリクスは複数の要因を総合的に評価するため、より多面的な分析が可能です。

セル数の違い

BCGマトリクスは4象限、GEマトリクスは9セルで分類します。9セルのほうがより細かい区分ができるため、事業ごとの戦略の違いをきめ細かく検討できます。

適用のしやすさ

BCGマトリクスはシンプルで直感的に使えますが、GEマトリクスは評価要因の選定やウェイト設定に手間がかかります。分析の精度を求める場合はGEマトリクスが、迅速な全体俯瞰にはBCGマトリクスが適しています。

GEマトリクスの強みと限界

強み

GEマトリクスの最大の強みは、多面的な評価が可能な点です。市場成長率やシェアだけでは見えない事業の実態を、多角的な視点から評価できます。また、9セルへの細分化により、「投資か撤退か」の二者択一ではなく、段階的な戦略判断が可能になります。

限界

評価要因の選定やウェイト設定に主観が入りやすいという課題があります。担当者の判断によって結果が変わる可能性があるため、複数の視点で検証することが重要です。また、作成に時間と労力がかかるため、スピードが求められる場面には不向きです。

まとめ

GEマトリクスは、市場の魅力度と事業の競争力を多面的に評価し、9セルで事業ポートフォリオを分析するフレームワークです。BCGマトリクスよりも精緻な分析が可能ですが、評価の主観性という課題もあります。複数の事業を抱える企業が投資配分を検討する際に有効なツールであり、BCGマトリクスと併用することでバランスの良い分析ができます。

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