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PESTEL分析とは|6つの外部環境要因で戦略を立てる

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PESTEL分析は、PEST分析を拡張したマクロ環境分析のフレームワークです。政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4要因に、環境(Environmental)と法的(Legal)の2要因を加えた6つの視点から事業環境を多面的に把握します。

PEST分析との違い

PEST分析の限界

PEST分析は4つの視点でマクロ環境を分析する有用なフレームワークですが、環境問題やコンプライアンスの重要性が増した現代では、4要因だけでは十分に外部環境を把握できないケースがあります。

PESTELへの拡張

PESTEL分析は、環境要因と法的要因を独立した軸として追加することで、より包括的な分析を可能にしています。環境規制の強化やESG投資の拡大、国際的な法規制の複雑化といった近年のトレンドを体系的に捉えられます。

6つの分析視点

Political(政治的要因)

政治体制の安定性、政府の政策方針、税制の変更、貿易政策、国際関係などが含まれます。国内政治だけでなく、事業展開先の国や地域の政治情勢も考慮する必要があります。

Economic(経済的要因)

GDP成長率、インフレ率、為替レート、金利、失業率、消費者の購買力などが含まれます。国内経済の動向に加え、グローバル経済の影響も考慮します。景気循環の現在の位置を把握することも重要です。

Social(社会的要因)

人口動態、年齢構成、ライフスタイルの変化、価値観の変容、教育水準、消費者意識などが含まれます。少子高齢化、働き方改革、健康志向、多様性の尊重といった社会トレンドを幅広く捉えます。

Technological(技術的要因)

研究開発の動向、技術革新のスピード、デジタル化の進展、自動化・AI技術の発展、特許動向などが含まれます。自社の業界に直接関わる技術だけでなく、異業種からの技術転用の可能性も視野に入れます。

Environmental(環境的要因)

気候変動、環境規制、カーボンニュートラルへの対応、廃棄物処理、資源の持続可能性、自然災害リスクなどが含まれます。ESGの観点から、企業の環境対応が投資判断に影響する時代になっています。

Legal(法的要因)

労働法、消費者保護法、知的財産法、競争法、データ保護規制、業界固有の規制などが含まれます。国内法だけでなく、事業展開先の法制度やEUのGDPRのような域外適用規制にも注意が必要です。

PESTEL分析の実施手順

ステップ1:分析の目的と範囲を設定する

まず、何のためにPESTEL分析を行うのかを明確にします。新規参入の判断、中期計画の策定、リスク評価など、目的によって注目すべき要因が変わります。地理的な範囲(国内のみか海外を含むか)も設定します。

ステップ2:6つの視点で情報を収集する

各要因について、現状と今後の変化の方向性に関する情報を幅広く収集します。政府統計、業界団体のレポート、シンクタンクの予測、学術論文、ニュース記事などが情報源となります。

ステップ3:自社事業への影響を評価する

収集した情報を、自社の事業にとって「機会」になるものと「脅威」になるものに分類します。影響の大きさと発生の確度もあわせて評価します。

ステップ4:優先度をつけて整理する

すべての要因を同じ重みで扱うのではなく、自社にとっての重要度でランクづけします。影響度が大きく、発生確度が高い要因を優先的に戦略に反映させます。

ステップ5:戦略への落とし込み

分析結果をSWOT分析の「機会」と「脅威」に反映させ、具体的な戦略立案につなげます。

具体例:食品メーカーのPESTEL分析

政治的要因

農業政策の変更により、国産原材料の価格が変動する可能性があります。また、輸出入規制の変化が海外展開に影響を及ぼす可能性があります。

経済的要因

原材料価格の高騰が製造コストを圧迫しています。一方で、内食需要の堅調さが売上を下支えしています。為替変動は輸入原材料のコストに影響します。

社会的要因

健康志向の高まりにより、減塩食品や無添加食品への需要が増加しています。単身世帯の増加は少量パックの需要を押し上げています。高齢者向けの食べやすい食品へのニーズも高まっています。

技術的要因

AIによる需要予測技術が食品ロスの削減に寄与しています。フードテックの進展により、代替たんぱく質や培養肉などの新市場が生まれつつあります。

環境的要因

プラスチック容器の削減圧力が高まっており、容器包装の見直しが急務です。カーボンニュートラルへの対応として、サプライチェーン全体のCO2排出量削減も求められています。

法的要因

食品表示法の改正により、アレルギー表示や栄養成分表示の要件が厳格化しています。食品衛生法の改正でHACCPに沿った衛生管理が義務化されています。

PESTEL分析を効果的に行うコツ

チームで取り組む

一人の担当者では視野が限られます。異なる部門のメンバーを集めてワークショップ形式で実施すると、多角的な視点が得られます。

要因間の相互関係に注目する

6つの要因は独立しているわけではなく、互いに影響し合っています。例えば、環境規制の強化(法的要因)がEV技術の開発を加速させる(技術的要因)といった関連性を把握することが重要です。

時間軸を意識する

短期的に影響する要因と、中長期的にじわじわと効いてくる要因を区別します。時間軸を意識することで、対応の優先順位を適切に設定できます。

まとめ

PESTEL分析は、政治、経済、社会、技術、環境、法的の6つの視点からマクロ環境を分析するフレームワークです。PEST分析に環境と法的の要因を加えたことで、より包括的な外部環境分析が可能になっています。分析結果はSWOT分析と組み合わせることで、具体的な戦略立案に活用できます。まずは自社にとって影響の大きい要因を特定し、優先的に対応策を検討してみてください。

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