衣服の難読漢字20選|着物から洋服まで
着物や洋服に関する漢字には、普段あまり目にしない難読漢字が多く含まれています。呉服店の看板や時代小説に登場する衣服の名前を読めずに困った経験がある方もいるでしょう。この記事では、衣服にまつわる難読漢字を20個取り上げ、読み方と意味、由来を紹介します。
和装の基本的な漢字
日本の伝統的な衣服には独特の漢字が使われています。
着物の種類
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 襦袢 | じゅばん | 着物の下に着る肌着 | ポルトガル語のgiboに由来 |
| 袴 | はかま | 腰から下に着る衣服 | 「はかま」は脚を包む衣 |
| 褞袍 | どてら | 綿入りの防寒着 | 厚く温かい袍(ほう) |
| 羽織 | はおり | 着物の上に羽織る上着 | 羽のように軽く織ったもの |
| 被布 | ひふ | 着物の上に着る丈の短い上着 | 身体を被(おお)う布 |
「襦袢」はポルトガル語の「gibo(ジボン)」が日本語に変化したものとされています。室町時代に南蛮貿易を通じて伝わった西洋の下着が、日本の着物文化に取り入れられて独自の発展を遂げました。
着物の部位と装飾
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 衿 | えり | 着物の首まわりの部分 | 衣の禁(つつしむ)で首を包む |
| 裾 | すそ | 着物の下端 | 衣の居(すわる)部分 |
| 袂 | たもと | 着物の袖の下の袋状の部分 | 衣の夬(きめ)で決める |
| 帯揚げ | おびあげ | 帯の上辺を飾る布 | 帯を揚げて整える |
| 簪 | かんざし | 髪を飾る装身具 | 髪に挿す竹製の飾り |
「袂」は「たもと」と読みます。「袂を分かつ(たもとをわかつ)」は「別れる、関係を絶つ」という意味の慣用句として広く使われています。着物の袂は物を入れることもでき、手紙や小銭を入れるポケットのような役割も果たしていました。
布地・素材の漢字
織物の漢字
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 羅紗 | ラシャ | 毛織物の一種 | ポルトガル語のraxaに由来 |
| 縮緬 | ちりめん | 表面にしぼのある絹織物 | 縮んだ綿のような質感 |
| 紬 | つむぎ | 紬糸で織った絹織物 | 繭から糸を紬(つむ)ぐ |
| 絣 | かすり | 染め分けた糸で模様を出す織物 | 模様が掠(かす)れて見える |
| 銘仙 | めいせん | 平織りの絹織物 | 明(あきらか)な仙(美しい)織 |
「縮緬」は表面に細かい凹凸(しぼ)がある絹織物です。「ちりめんじゃこ」の「ちりめん」はこの織物の表面に似ていることから名付けられました。京都の丹後地方は縮緬の産地として知られています。
染色に関する漢字
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 藍染 | あいぞめ | 藍の葉から取った染料で染めること | 藍(あい)で染める |
| 茜 | あかね | 赤い染料を採る植物、またその色 | 赤い根を持つ植物 |
| 紅花 | べにばな | 赤い染料の原料となる花 | 紅(くれない)の花 |
「藍染」は日本を代表する伝統的な染色技法です。「ジャパンブルー」とも呼ばれる深い青色は、明治時代に来日した外国人を驚かせたとされています。藍の色が「青は藍より出でて藍より青し」ということわざを生みました。
洋服に関する漢字
洋装の漢字
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 背広 | せびろ | 男性用のスーツの上着 | 英語のSavile Rowに由来する説 |
| 外套 | がいとう | オーバーコートのこと | 外に着る套(かぶせもの) |
| 襯衣 | シャツ | 上半身に着る洋服 | 肌に親しい衣 |
| 洋袴 | ズボン | 下半身に着る洋服 | 洋式の袴 |
「背広」の語源には諸説あります。ロンドンの仕立て屋街サヴィル・ロウ(Savile Row)に由来するという説が有名ですが、「背幅が広い」服という日本語由来の説もあり、確定した定説はありません。
小物・装飾品の漢字
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 釦 | ボタン | 衣服を留める小さな部品 | 金属の口(くち)で留める |
| 足袋 | たび | 和装用の足を包む履物 | 足を入れる袋 |
| 草履 | ぞうり | 和装用のサンダル状の履物 | 草で編んだ履物 |
| 下駄 | げた | 木製の高さのある履物 | 下に駄(台)がある |
| 手袋 | てぶくろ | 手を包む防寒具 | 手を入れる袋 |
「足袋」は「たび」と読みますが、「旅」と同じ読みなのは偶然ではないという説があります。旅に出る際に足を保護するために履くものだから「たび」と呼ばれるようになったという説がありますが、これについては異論もあります。
衣服にまつわる慣用句
袖に関する慣用句
日本語には衣服の部位を使った慣用句が多くあります。「袖にする」は「冷たくあしらう」という意味で、「袖の下」は「賄賂」を暗に指します。「袖振り合うも多生の縁」は見知らぬ人と袖が触れ合うことさえ前世からの縁だという意味です。
帯に関する慣用句
「帯に短し襷に長し」は中途半端で使い物にならないことの例えです。帯として使うには短く、襷として使うには長いという、実際の衣服の寸法に由来する表現です。
襟に関する慣用句
「襟を正す」は姿勢や心構えを改めることを意味します。着物の襟元を正しく整えることから転じて、気持ちを引き締めるという意味で使われるようになりました。
衣服漢字の覚え方
衣へんの漢字を整理する
「衣」を部首に持つ漢字は衣服に関係するものが多いです。「裾」「袂」「襦」「袴」「褞」など、衣へんがついたら衣服関連の漢字だと推測できます。
着物を着る体験から覚える
着付け教室や和装体験では、衣服の各部の名称を漢字で学ぶ機会があります。実際に着物を手に取りながら「衿」「裾」「袂」を確認すると、漢字が体の感覚として定着します。
まとめ
衣服にまつわる難読漢字は、日本の服飾文化の豊かさを物語っています。和装の「襦袢」「袴」から洋装の「背広」「外套」まで、それぞれの漢字には衣服の特徴や歴史が刻まれています。衣服の漢字を覚えることで、日本語の語彙が広がるだけでなく、伝統文化への理解も深まるでしょう。