にほんご研究室 にほんご研究室

間違いやすい動詞の誤用|「見れる」「食べれる」は正しい?

誤用 動詞 ら抜き言葉 日本語文法
広告スペース (article-top)

動詞の誤用は日常会話で頻繁に見られますが、ビジネス文書や公式な場面では正確な表現が求められます。ここでは「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」「れ足す言葉」など、動詞に関するよくある誤用を解説します。

ら抜き言葉

ら抜き言葉とは

一段動詞の可能形から「ら」を省略した表現です。「見られる」を「見れる」、「食べられる」を「食べれる」とする用法を指します。

主な例

ら抜き(非標準)標準形
見れる見られる
食べれる食べられる
来れる来られる
起きれる起きられる
着れる着られる

ら抜き言葉の現状

文化庁の世論調査では、ら抜き言葉を使う人の割合が年々増加しています。若い世代では「ら抜き」のほうが自然に感じる人が多くなっています。しかし、正式な文章や目上の人との会話では、標準形を使うのが無難です。

さ入れ言葉

さ入れ言葉とは

五段動詞の使役形に不要な「さ」を挿入する誤用です。「行かせる」を「行かさせる」とする用法です。

主な例

さ入れ(誤用)正しい表現
行かさせる行かせる
読まさせる読ませる
歌わさせる歌わせる
持たさせる持たせる

注意点

一段動詞では「させる」が正しい使役形です。「食べさせる」「見させる」は正しい表現であり、さ入れ言葉ではありません。五段動詞の場合に「さ」が不要になります。

れ足す言葉

れ足す言葉とは

五段動詞の可能形に不要な「れ」を付加する誤用です。「行ける」を「行けれる」とする用法です。

れ足す(誤用)正しい表現
行けれる行ける
書けれる書ける
読めれる読める
飲めれる飲める

五段動詞の可能形はすでに「〜ける」「〜める」で完結しており、「れる」を追加する必要はありません。

「全然〜ない」と「全然〜だ」

伝統的な用法

「全然」は本来、否定表現と組み合わせて使う副詞です。「全然わからない」「全然違う」のように、打ち消しの表現とセットで使います。

現代の用法

「全然おいしい」「全然大丈夫」のように肯定表現と組み合わせる用法が広まっています。実は夏目漱石の時代にも肯定表現との組み合わせは見られましたが、戦後の国語教育で否定専用とされた経緯があります。現在では辞書にも肯定用法が記載され始めていますが、フォーマルな場面では否定表現と組み合わせるほうが無難です。

「的を射る」と「的を得る」

正しい表現

「的を射る」が伝統的に正しいとされる表現で、「物事の核心をつく」という意味です。「的を得る」は誤用とされてきましたが、「当を得る」(道理にかなっている)との混同から広まりました。

現在の扱い

近年の辞書の中には「的を得る」を認めるものも出てきていますが、「的を射る」を使うほうが安全です。

「汚名を挽回する」の誤り

正しい表現

「汚名を返上する」または「名誉を挽回する」が正しい表現です。「汚名を挽回する」は「汚名を取り戻す」という意味になり、論理的に矛盾します。

誤用正しい表現
汚名を挽回する汚名を返上する / 名誉を挽回する

「役不足」の誤用

よくある間違い

「自分には力不足だ」という意味で「役不足だ」と使う人がいますが、これは正反対の意味です。

正しい意味

「役不足」は、その人の実力に対して役目が軽すぎることを意味します。力が足りないのではなく、力が余っている状態です。

誤用正しい表現
私には役不足です(力が足りない意味で)私には力不足です / 私には荷が重いです

まとめ

動詞の誤用には、ら抜き言葉、さ入れ言葉、れ足す言葉といった活用の問題と、慣用表現の意味の取り違えがあります。日常会話では許容されるものもありますが、ビジネスや公式な場面では正確な表現を心がけましょう。特に「役不足」「汚名を挽回」など意味が逆転する誤用は、コミュニケーション上の誤解を招くため注意が必要です。

広告スペース (article-bottom)

あわせて読みたい