外来語の漢字表記で間違いやすい漢字20選
外来語に漢字をあてた当て字は、読み方を知らなければ正しく読むことが困難です。カタカナ表記が一般的な現代でも、看板や文学作品では漢字表記の外来語を目にすることがあります。この記事では、外来語の漢字表記で特に間違いやすいものを20個紹介します。
食べ物・飲み物の外来語漢字
飲み物
| 漢字 | 正しい読み | よくある間違い | 由来 |
|---|---|---|---|
| 珈琲 | コーヒー | かがい | 音をあてた当て字 |
| 麦酒 | ビール | ばくしゅ | 麦で造る酒 |
| 牛乳 | ぎゅうにゅう | ミルク(漢字読みは正) | 牛の乳 |
| 葡萄酒 | ぶどうしゅ(ワイン) | ぶどうざけ | 葡萄で造る酒 |
| 洋酒 | ようしゅ | ようざけ | 西洋の酒 |
「珈琲」の漢字は、幕末の蘭学者・宇田川榕菴が考案したとされています。「珈」は女性の髪飾りの玉、「琲」は玉をつなぐ紐を意味し、コーヒーの実が連なっている様子を表したものです。
食べ物
| 漢字 | 正しい読み | よくある間違い | 由来 |
|---|---|---|---|
| 天婦羅 | てんぷら | てんふら | ポルトガル語temporaに由来 |
| 饅頭 | まんじゅう | まんとう | 中国語の饅頭に由来 |
| 麺麭 | パン | めんぽう | ポルトガル語poに由来する説 |
| 甘蕉 | バナナ | あましょう | 甘い芭蕉の実 |
| 乾酪 | チーズ | かんらく | 乾いた酪(乳製品) |
「天婦羅」はポルトガル語の「tempero(調味料)」や「temporas(四季の斎日)」に由来するとされています。日本の天ぷらは世界的にも知られた料理ですが、その名前が外来語由来であることは意外と知られていません。
日用品の外来語漢字
生活用品
| 漢字 | 正しい読み | よくある間違い | 由来 |
|---|---|---|---|
| 煙草 | たばこ | えんそう | ポルトガル語tabacoに由来 |
| 硝子 | ガラス | しょうし | ポルトガル語vidroとは別系統 |
| 石鹸 | せっけん | いしけん | 石のように硬い鹸(灰汁) |
| 釦 | ボタン | こう | ポルトガル語boto に由来 |
| 襦袢 | じゅばん | じゅはん | ポルトガル語gibo に由来 |
「煙草」は「たばこ」と読みます。「えんそう」ではありません。ポルトガル語の「tabaco」が日本に伝わり、「煙る草」という意味の漢字があてられました。「莨」一字で「たばこ」と読むこともあります。
衣服・布
| 漢字 | 正しい読み | よくある間違い | 由来 |
|---|---|---|---|
| 洋服 | ようふく | ようぶく | 西洋の服 |
| 合羽 | カッパ | がっぱ | ポルトガル語capaに由来 |
| 天鵞絨 | ビロード | てんがじゅう | ポルトガル語veludoに由来 |
「合羽」は「カッパ」と読みます。ポルトガル語の「capa(マント)」が語源で、日本では雨具を指すようになりました。「河童(かっぱ)」とは全く異なる言葉です。
文化・学問の外来語漢字
学問用語
| 漢字 | 正しい読み | よくある間違い | 由来 |
|---|---|---|---|
| 倶楽部 | クラブ | くらくぶ | 英語clubの音訳 |
| 浪漫 | ロマン | ろうまん | フランス語romanの音訳 |
| 型録 | カタログ | かたろく | 英語catalogueの音訳 |
「浪漫」は夏目漱石が「ロマン」の訳語として用いたとされています。「浪漫主義(ロマンしゅぎ)」は19世紀のヨーロッパで広まった文学・芸術運動を指し、日本では森鷗外や与謝野晶子が浪漫主義の代表的な文学者です。
娯楽・芸能
| 漢字 | 正しい読み | よくある間違い | 由来 |
|---|---|---|---|
| 歌留多 | カルタ | かるた(正) | ポルトガル語cartaの音訳 |
| 煉瓦 | レンガ | れんが(正) | 粘土を焼いた建材 |
「歌留多」はポルトガル語の「carta(カード)」に由来します。室町時代に南蛮貿易を通じて日本に伝わり、日本独自のカードゲーム文化として発展しました。百人一首かるたやいろはかるたなど、多様な形態が生まれています。
ポルトガル語由来の外来語が多い理由
南蛮貿易の影響
16世紀の南蛮貿易により、ポルトガルから多くの言葉が日本に伝わりました。「たばこ」「パン」「カッパ」「てんぷら」「カルタ」「ボタン」など、日常語として定着したポルトガル語由来の言葉は数十語にのぼります。
漢字をあてた経緯
江戸時代から明治時代にかけて、外来語に漢字をあてる作業が積極的に行われました。蘭学者や翻訳者が音や意味に合う漢字を工夫して選び、独自の当て字を生み出しました。これらの漢字は現在でも看板や商品名に使われることがあります。
外来語漢字の覚え方
語源とセットで覚える
外来語の漢字は語源を知ると記憶に残りやすくなります。「珈琲」がコーヒーの実の形に由来すること、「天婦羅」がポルトガル語由来であることなど、エピソードとともに覚えると忘れにくくなります。
実際に使われている場所を探す
喫茶店の看板に「珈琲」、居酒屋のメニューに「麦酒」と書かれていることがあります。街中で外来語の漢字表記を見つけたら、意識的に読み方を確認してみましょう。
まとめ
外来語の漢字表記は、日本語が外国語を取り込んできた歴史の証です。「珈琲」「煙草」「天婦羅」など、現在ではカタカナ表記が主流の言葉も、漢字で書かれると別の趣を感じさせます。外来語漢字の読み方と由来を知ることで、日本語の奥行きがさらに広がるでしょう。