旅行の写真|写ってはいけない人の意味がわかると怖い話
去年の夏、家族四人で沖縄に旅行した。帰ってきてからデジカメの写真を整理していて、妻が言った。
発見
「ねえ、この人。何回も写ってない?」
妻がパソコンの画面を指差した。ビーチで撮った写真の背景に、黒い服を着た男性が写っていた。日差しの強いビーチで黒い長袖は目立つ。
「偶然だろう」
次の写真。水族館の前で家族四人を撮ったもの。背景の人混みの中に、同じ黒い服の男性がいた。こちらに背を向けている。
「また写ってる」
妻が不安そうに言った。
写真を順番に確認していった。ホテルのロビーでの写真。レストランでの写真。首里城での写真。国際通りでの写真。
すべての写真に、黒い服の男性が写っていた。
確認
二十三枚の写真。そのすべてに同じ人物が写っている。距離は写真によってまちまちだが、必ず画面のどこかにいる。
「旅行中に気づかなかったよね」
気づかなかった。二泊三日の間、ビーチにも水族館にも首里城にもこの男性がいたことになるが、現地では一度も意識しなかった。
写真を拡大してみた。黒い長袖シャツに黒いズボン。帽子はかぶっていない。髪は短い。
顔を確認しようとしたが、すべての写真で顔が映っていなかった。こちらに背を向けているか、横を向いているか、他の人の影に隠れているか。二十三枚中、一枚も正面の顔が映っていない。
最後の写真
最後に撮った写真は、帰りの空港で撮った家族写真だった。
この写真にも男性は写っていた。搭乗ゲートの近くに立っている。他の写真と同じく、こちらには背を向けている。
しかし一つ、他の写真と違うことがあった。
男性の足元に影がなかった。空港の照明の下で、周囲の人には影がある。男性にだけ、影がない。
妻は写真のデータをすべて消した。
「消したほうがいいと思って」
私も同意した。
ただ、一つだけ気になることがある。旅行の写真は二十三枚だった。しかし、デジカメの撮影枚数カウンターは二十四枚を示していた。
二十四枚目は、私たちが撮った覚えのない写真だ。確認する前に妻がデータを消してしまったので、何が写っていたのかはわからない。
もし二十四枚目が、あの男性がこちらを向いて撮った写真だったとしたら。消してしまってよかったのだと思う。