卒業写真|一人多い集合写真の意味がわかると怖い話
卒業から十年が経って、同窓会の案内が届いた。久しぶりにアルバムを引っ張り出した。
集合写真
クラスの集合写真を見た。三列に並んだクラスメイトたち。みんな若い。制服がまぶしい。先生が両端に立っている。
懐かしい顔を一人ずつ確認していった。
前列。左から、田中、山本、佐藤、鈴木、高橋、渡辺、伊藤。七人。
中列。小林、加藤、吉田、山田、中村、松本、井上、木村。八人。
後列。林、清水、斉藤、山口、阿部、石川、中島、前田。八人。
先生が二人。
合計二十五人。
おかしい。このクラスは二十三人だったはずだ。先生を含めても二十五人にはならない。
数え直し
もう一度、写真の顔を一人ずつ確認した。全員の名前と顔が一致する。知らない顔はない。
もう一度数えた。やはり二十五人。
卒業名簿を確認した。生徒二十三人、担任一人、副担任一人。合計二十五人。合っている。
いや、待て。
名簿の生徒数は二十三人。しかし写真の生徒数を数えると、先生二人を引いても二十三人だ。
では何がおかしいと感じたのか。
もう一度、写真をよく見た。
後列の右端。前田の隣に、もう一人いる。顔は他の生徒と同じように正面を向いている。制服を着ている。しかし、顔がぼやけてよく見えない。
写真のブレだろうか。いや、他の全員はくっきりと映っている。この一人だけがぼやけている。
名簿を見直した。後列の配置は、林、清水、斉藤、山口、阿部、石川、中島、前田。八人。
写真では九人いる。
九人目は名簿にいない。
同窓会
同窓会に参加した。幹事の佐藤に聞いた。
「卒業写真さ、後列の右端に一人多くない?」
佐藤は笑った。
「ああ、それ。みんな気づくんだけど、誰だかわからないんだよな。撮影のとき、隣のクラスの子が紛れ込んだんじゃないかって話になってたけど」
「隣のクラスに確認した?」
「したよ。でもその日、隣のクラスの撮影は午後だったんだ。うちのクラスの撮影は午前中。紛れ込むはずがない」
佐藤はビールを飲みながら続けた。
「もう一つ変な話がある。担任の先生にも聞いたんだけど、撮影のとき先生が人数確認したらしい。二十三人揃っていることを確認してからシャッターを切ったって」
「じゃあ、あの一人は」
「わからない。先生も写真を見て驚いたそうだ。撮影のときにはいなかったはずの人間が映っているって」
佐藤は声を低くした。
「ちなみに、あのぼやけた顔。拡大してみた人がいるんだけど。ぼやけているんじゃなくて、顔がないんだってさ」
私はそれ以上聞かなかった。アルバムは帰宅後、本棚の奥にしまった。